続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「いさば寿司」【吉野原】

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◆「いさば寿司」【吉野原】
 
 ◎「いさば寿司(13貫)」一七五〇円+「うに」四八〇円
 
 …心休まる休日だが、相変わらずの熱帯夜続きで、熟睡は出来て居らず、
  夜中に何度も起き、眠ると言うのは実に難しい。
  そんな事を考えたら、寝るにも考え込んでしまいそうだ。
  何度も浅い眠りを繰り返し、八時過ぎに漸く起き出そうと言う気に成る。
  午前中は極めて自堕落に、非生産的に過ごし、正午を前に家出する。
  所用の後は、昼御飯にしよう。
  ラーメンでも良いのだが、偶にはシースーを頂きたくなる。
  日本人だもの。
  と成れば、大宮総合食品地方卸売市場、埼玉県魚市場敷地内の此方が良い。
  「鮨処 いっしん」が閉店して、丸三年。
  すっかり、旨い寿司を毎週頂く暮らしからも遠ざかり、寿司に飢えている。
  正午過ぎに到着し、店内に入り、先ずは券売機で食券を購入する。
  此方の寿司盛りで一番高級な「いさば寿司(13貫)」にするが、
  五〇円の値上げは致し方無く、序に単品の「うに」の釦をポチっとな。
  一週間生き抜いた御褒美だ…。
  出入口は別々だが、隣の同じ系列店の「魚がし天ぷら」と店内で繋がっており、
  其方は空席が有るが、シースーの此方は満席で、暫しの待ち。
  十五分程、グッと堪えた後、止まり木が空き、案内されてヨッコイショーイチ。
  食券を提示し、冷茶を汲みに立ち、前回、二月二十三日には無かったが、
  寿司の卓上にも、天麩羅の卓上に有る自家製惣菜が置かれており、嬉しい事に、
  高血圧患者の親友、烏賊の塩辛が有り、其れを摘めば、実に旨いわね。
  此れだけ、延々と頂き、只管に塩分摂取に励みたい程…。
  そして、烏賊の塩辛を御替わりした頃、先ずは付け板に乗ったシースーの登場。
  少し遅れて、皿に盛られた高級なシースーの御出座し。
  追加のニーウーも一緒に盛り付けられている。
  先ずは、甘い玉子焼きから遣っ付けたら、シースーに取り掛かろう。
  赤身はさっぱりとしつつも、しっとりとして、鮪らしいねっとり感。
  右上の白身は鰆だろうか。
  産卵時期は春なので、魚偏に春と書くが、旬の時期は秋から冬と言う。
  続く白身は何だろうか、平政だろうか。
  シコッと言う食感が良く、脂の乗りは控え目だが、旨味が感じられる。
  鰹は叩きで、皮目は香ばしく、身はさっぱりとしている。
  鮭は諾威産だろうが、脂が乗り、蕩ける味わいで、今や寿司の定番と言って良い。
  白魚は、九月に入って次々と崩御遊ばされた我が家の目高を想い起こさせる…。
  さて、過去二回の訪店で、孰れも入っていなかったのが〆鯖だ。
  「鮨処 いっしん」の絶品の〆鯖が懐かしく、其れを超える物は有り得ないのだが、
  さっぱりとはしているが、中々に、旨さの有る〆鯖だ。
  此れを握ったのは、何を隠そう、其の「鮨処 いっしん」で修業をされた方だ。
  日進で「海鮮料理 和」を営まれている筈だが、何故だか此方にいらっしゃる。
  板場を仕切っておられるので、此の〆鯖も氏の仕込みに依る物なのだろう。
  続いては、高級な皿へと取り掛かる。
  中トロは品の良い脂の乗りで、赤身とトロの両方の良さを堪能出来る。
  海老は亜爾然丁産の赤海老だろうが、甲殻類特有のプリッとした食感と甘味。
  そして、「鮨処 いっしん」の名物の一つだったのが煮穴子
  勿論、此れにも期待が持てる。
  以前の物よりも、ふっくらと軟らかく、名店の味に近付いた印象。
  イクラと鮭の軍艦は親子共演で、言ってみれば「親子丼」。
  何とも桃色気分にさせて呉れる…。
  大トロは確りと脂が乗っているが、諄さは無く、寿司の王様の風格。
  大トリに控えしは、雲丹二貫。
  明礬の臭味や苦味とは一切無縁で、芳醇な甘味と旨味が迸る。
  雲丹、酢飯、海苔が三位一体と成って口内で解れて行き、至福が訪れる。
  十四貫をぺろりと平らげ、「鮨処 いっしん」の面影も感じる事が出来、
  感涙に噎び乍ら退店する社会不適合者…。