◆「中華そば 葵」【蕨】
◎「特製塩そば」一一〇〇円
…生きる希望の星の週末の休日も、あっと言う間に、呆気無く終わろうとしている。
金曜日にはあれだけ頼もしく、解放感たっぷりだったのに、今と成っては、
明日からの過酷な一週間を思うと、心がぞみぞみして来る…。
何もかも投げ捨てて蒸発したい気持ちだが、そんな勇気も無く、
もっと悠然と、自信満々に生きてみたいものだ。
風前の灯火の休日最後の日曜日は、八時過ぎにのそのそと起き出し、
午前中は極めて自堕落に、非生産的に過ごし、一〇時半過ぎに買い出しがてら、
昼御飯を摂りに出て、一先ず、川口方面へと自動車を走らせる。
野暮用を一つ済ませたら、さあ、昼御飯だ。
滅多に川口に来る事も無いので、川口市内で有名な、人気のラーメンを頂きたい。
其の中でも、「中華そば 葵 ララガーデン川口店」、「自家製麺 竜葵」、
「濃厚鶏そば 葵」、「ガチ盛りラーメン アオイロー」の系列の本店の此方。
運良く店外に待ちも無く、駐車場も一台のみ空いており、すんなりと入店。
入って左奥の券売機へと案内され、食券を購入するが、如何やら、
券売機の左上に「塩そば」が配されているので、恐らく、此れが一押しだろう。
折角なので、具の全部入りであろう「特製塩そば」が良かろう。
食券を購入し、運良く空いている止まり木にヨッコイショーイチ。
食券を提示し、冷水を呷り、出来上がりをヂッと待つ。
厨房内は男性二人体制で、東京ダイナマイトと同じ編成。
一〇分と掛からず、丼が熱いからと手元へと下ろして呉れ、期待が高まる。
何せ、若い婦女子の肉襞色をした叉焼がでろりと、三枚もへばり付いている。
先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
澄んだ煌めくプースーは、一口啜っただけで、旨味の洪水に襲われる。
心の中で「あ゛~」と唸り、味覚が大いに刺激される。
丸鶏、鶏ガラ、葱、鯖節、宗田節、片口鰯、潤目鰯、椎茸、昆布、浅蜊、干し貝柱、
厳選された素材が使用されているのが窺え、迸る旨味に打ちのめされる。
すっきりとして、塩気は角が取れて丸みを帯び、あっさりな清湯スープ。
麺は綺麗に盛り付けられ、箸で手繰って崩すのが申し訳無い程。
細麺で、噛むとバツっと千切れると言うよりは、しなやかさが際立っている印象。
自家製麺と言い、喉の通りが頗る良く、するすると入って来る感覚が心地好い。
具の叉焼は、先述の通り、若い婦女子の肉襞色をした低温調理の物。
噛むとむっちりとした食感と共に、しっとりとした淫靡で卑猥な舌触り。
味付け玉子はと言うと、ぷるんとした半熟で、味付けの醤油ダレの味わいが好み。
ねっとりと濃厚で、プースーに浸して啜るのも一興。
岩海苔は風味が良く、具は他に穂先麺麻、白髪葱。
最後はプースーを愛しむ様に全て飲み干し、存分に堪能して最期の昼餐を終える。