続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「らーめん 元楽」【蔵前】

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◆「らーめん 元楽」【蔵前】

 

 ◎「特製元らーめん」六九〇円

 

 …火曜日。

  先週金曜日の夜半からの急な喉の痛みから始まり、土日は何とか持ち堪えるも、

  週が明け、労働が始まると共に具合が悪くなり、怠さと火照りで容易じゃない。

  月曜日はふらふら、汗だくで帰宅し、何時もより少し早く床に就く。

  其の甲斐も有ってか、此の日は何とか動ける様に成り、至って普通に労働に行く。

  そんな僕に御褒美か、運良く独りぼっちで昼御飯に出る機会に恵まれる。

  そうは言っても、言うなれば病み上がり、否、病中だろうか。

  こう言う時は燃料を体内に注入しないと駄目だ。

  燃料と言えば、給油だ。

  と言う訳で、背脂の補給、即ち、給油をしに九月十一日以来、

  一ヶ月半振りの御無沙汰、創業二十四年の老舗の此方へ御邪魔する。

  十四時も廻っているので、混雑は解消されており、暖簾を潜って入店。

  店内は数人の客のみで、安心し切って券売機で食券を購入する。

  勿論、何時もの「特製元らーめん」だが、増税で四〇円の値上げは止むを得ない。

  食券をおやっさんに手渡せば、毎度の通り、背脂がたっぷりだが大丈夫かと、

  確りと確認作業を受け、問題無い旨を伝え、止まり木にヨッコイショーイチ。

  冷水を汲み、グイっと呷り、出来上がりをヂッと待つのみ。

  厨房内はおやっさん二人体制で、夢路いとし・喜味こいしと同じ編成。

  背脂をチャッチャと振る工程を薄ぼんやりと眺める。

  そうこうして居ると、一〇分程で、何処を持ったら良いのか分からない程、

  背脂が付着した丼を、手を滑らせない様に慎重に手元へと下ろしたら、

  先ずは蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。

  表面には淡雪の様な背脂が降り注ぎ、色はロイクーだが、此れが吃驚する程、

  あっさりとして諄くなく、塩辛さの無い甘味さえ感じる味わいに唸る。

  店内に醤油の薫りが充満しているが、濃い味ではなく、上品さすら漂う。

  コクが有り、香ばしい醤油ダレは切れ味は鋭いが、角の取れた円やかさ。

  豚骨スープには、豚骨の中でも大腿骨である拳骨だけを使用し、

  軟骨部分が多く、膠原質を多く含んでいる為、長く煮込むと車厘状に成り、

  円やかな味になると言い、徹底的に灰汁を取り乍ら、野菜、鶏ガラ等と一緒に、

  三日間煮込み、濃厚なスープを作り出すと言う触れ込み。

  主役とも言うべき背脂は、厳選した物を炒め、下茹でし、手洗いして、

  余分な脂肪や汚れ、灰汁を取り去り、豚骨スープで二時間煮込むと言う。

  甘味が有って、芳醇な味わいに虜に成ってしまう。

  麺はと言うと、此方では五種類の麺を使い分けていると言い、

  此の「特製元らーめん」には、中太の真っ直ぐな麺を使用している。

  麺が淡雪の様な背脂を絡め取る様に、確りと纏わり付いて来る。

  具の叉焼は、厳選した豚のバラ肉を使用し、丁寧に一本ずつ筋切りして、

  余分な脂身を削ぎ落とし、一九九五年の創業以来受け継がれて来た秘伝のタレで、

  肉の美味しさを閉じ込めたと謳い、一本二八〇〇円で店内でも販売している程。

  蕩けると言う感じではないが、プースーの熱で戻され、箸で切れる程に軟らかい。

  具は他に、濃い目の味付けが良いロイクーな麺麻、茹で玉子半個、葱。

  食べ進むに連れ、徐々に味も濃くなり、醤油ダレのコクと旨味も堪能。

  最後は油分を確りと飲み干して給油完了する、高燃費で型は旧いが、

  時化にも弱いぽんこつおぢさん…。