続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「いさば寿司」【吉野原】

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◆「いさば寿司」【吉野原】

 ◎「いさば寿司(13貫)」一七〇〇円+「うに」四五〇円+「いさば汁」二〇〇円
 
 …もう、週末の休日が終焉を迎えようとしており、絶望の淵に立っている。
  何だろう、常に胸の辺りにもやもやとして、何かが閊えている様な感覚で、
  翌日からの事を考えると、盗んだバイクで走り出したりはせず、
  貰ったバイクを手で押して、夜の校舎の窓硝子を拭いて回りそうだ。
  根は真面目なので…。
  普通ならば、休日の最終日は、翌日からの仕事で変な事が起こらない様、
  家でヂッとして祈り、大人しくしているのが普通だが、
  食糧の買い出しも有るので、早目に動き始め、早目に帰宅し、早目に寝よう…。
  十一時半に家を出、先ずは昼御飯を済ませてしまおう。
  休日最後の昼餐は、先週の「ステーキ 宮」に続き、旨い物を頂きたい。
  偶には、シースーなんて良かろう。
  「鮨処 いっしん」が店仕舞いしてから早二年。
  すっかり、旨い寿司を頂く事は不可能に成ってしまったので、最早、何でも良い。
  其処で、以前から気に成っていた、「埼玉県魚市場」内に在る此方に決定。
  正午前に到着し、駐車場に停め、食堂が四店軒を連ねる南側に位置している。
  白い暖簾を跳ね上げ、木戸を開けて中に入ると、意外と広くて吃驚。
  出入口は別々だが、隣の同じ系列店の「魚がし天ぷら」と店内で繋がっており、
  昔で言うと、「モスバーガー」と「ちりめん亭」の店内が一緒みたいな感じか。
  「ヤマショウフーズ」と言う仲卸業者の経営の様で、仕入れは良いだろうな。
  さて、此方は回転寿司店ではなく、所謂、廻らない寿司店だが、
  券売機で食券を購入する形と言うのが珍しく、又、明朗会計で有難い。
  握り寿司の盛り合わせが主力の様で、七貫の「七福」、九貫の「いなせ」、
  十一貫の「小江戸」、十三貫の「いさば寿司」と有り、「うに」や「中とろ」等、
  一貫ずつの単品の釦も有るが、初めてなので、此処は矢張り無難に、
  屋号を冠した、一番高級で量の有る「いさば寿司」が安心だろう。
  序に「うに」、粗汁と言う「いさば汁」の釦も押っぺしてしまう堪え性の無さ…。
  まあ、今に始まった事では無いので良かろう。
  正午前の為、空席が有り、L字型のカウンター席の端っこにヨッコイショーイチ。
  食券を目の前の板さんに差し出し、緑茶を自分で汲みに立ち、出来上がりを待つ。
  五分強で、先ずは粗汁の「いさば汁」が配膳される。
  鰤と思しき粗がゴロゴロ入り、身もたっぷりと付着しており、食べ出は十分。
  濃厚な鰤の脂が染み出し、旨味もふんだんに有り、味噌の濃さも丁度良い。
  そして、着席から一〇分一寸と、思いの外早く、先ずは寿司下駄の七貫、
  少し遅れて、長皿の六貫、最後に追加発注の雲丹の御出座し。
  此の手の盛り込みの寿司を頂くのは随分と久し振りの気がする…。
  さて、重苦しいサザエさん症候群は一時忘れ、寿司に没頭しよう。
  先ずは、玉子焼きから遣っ付け、甘いのを先に片付けたら、此処からが本番、
  「鮨処 いっしん」でも初っ端に発注していた小鰭から行ってみよう。
  佐賀県産と言い、公表してないが、松雪泰子と一緒だ…。
  そんなS・A・G・A事情は兎も角、身は厚くはないが、〆加減も宜しく、
  酢の酸味が、草臥れた心身にスッと馴染んで行く様な感覚で中々。
  鰹は叩きで、生姜、浅葱と一緒に頂けば、さっぱり目で、初鰹の様な味わい。
  鮭は諾威産と言い、言ってみれば本場で、濃厚で蕩ける脂が印象的。
  白身の魚は鯛だろうか。
  プリッと身が引き締まっており、上品な甘味と旨味がじんわりと広がる。
  鮪の赤身は濠太剌利産と言う事で、此れ又、外人さん。
  ねっとりとした味の濃さは無いが、あっさりとして食べ易い。
  軍艦の鮟鱇肝は、板場で銀紙を巻いた筒状の物が見えたので、自家製だろう。
  恐らく、中華人民共和国産だろうが、臭味も余り無く、及第点か。
  付け板の寿司のトリは、北海道産と言う秋刀魚で、脂の乗りは程好い。
  其れこそ、「鮨処 いっしん」が無くなってからと言うもの、寂しい事に、
  生の秋刀魚を頂く事がめっきり減ったので、こうして頂けるのは嬉しい。
  お次は平皿へと移り、茨城県産と言う穴子から。
  此れはもう、「鮨処 いっしん」の足元にも及ばず、改めて偉大さを感じつつ、
  閉店してしまった喪失感に打ち拉がれ、身は硬く、パサつき気味で残念。
  二貫盛られているのは中トロで、此の鮪も同じく濠太剌利産との事。
  脂の乗りが凄く、口内の熱でゆっくりと融け出し、其の余韻が残る。
  イクラの乗った軍艦は、鮭を叩いた物との親子共演。
  尤も、本当の親子か如何かは不明で、先ず間違い無く、赤の他人、否、他鮭だ。
  イクラは北海道産と言う事で、安心、安定の美味しさ、プチプチ感。
  そして、大きさの有る生の海老は赤海老の様で、亜爾然丁産と言う羅甸系。
  ブリンとした甲殻類特有の食感が心地好く、甘味が強く、ねっとりと濃厚。
  大トリはと言うと、宮城県産と言う雲丹。
  盛り込みの中の物は雲丹の量も少ないが、別注の雲丹はこんもりと山盛りだ。
  明礬の嫌な苦味は丸で無く、雲丹本来の蕩ける甘味が濃密で、中々に良い。
  矢張り、僕の最期の晩餐は、馬穴一杯の雲丹を蓮華で掬って食べる事だな…。
  正午を過ぎると待ちが発生する様に成り、食べ終わったらそそくさと退店。
  単品で、青森県産の北寄貝、三重県産の鰆なんてのも有り、此れは再訪有りだ。