続・ROCK‘N’ROLL退屈男

続・ROCK‘N’ROLL退屈男 B面⇒https://twitter.com/RandR_taikutsu

「手打うどん さわいち」【大和田】

イメージ 1

◆「手打うどん さわいち」【大和田】

 ◎「肉なす汁うどん」八三〇円

 …土曜日の昼辺りから、徐々にサザエさん症候群を患い始め、とっくの疾うに、
  絶望の淵に立ち、丸で、東尋坊の突端に爪先立ちしているかの様な気分…。
  あんなに待ち侘び、恋焦がれ、期待にAカップの胸を膨らませた週末の休日も、
  容赦無く、延長して呉れる気配も無く、スパッと終わりを迎えようとしている。
  朝は怠く、八時過ぎに何とか寝床から這い出し、風呂に入って身を清める。
  午前中は極めて自堕落に、何もする気力は無く、抜け殻の様にして過ごす。
  漸く、十一時半を廻り、野暮用がてら大宮の街に出て、さあ、今度は最後の昼餐。
  昨日、「手打ちうどん 袋屋」に行くも、何時も通りの大混雑で振られたので、
  何とは無しに饂飩の気分の為、未訪の「手打ちうどん 駕籠休み」にしよう。
  氷川参道脇の店舗に向かえば、何てこったい、閉店ガラガラ…。
  日曜日営業で不定休との事だが、偶さか御邪魔した日が不定休に当たるとは。
  何とまあ、僕らしいと言うか、相変わらずの運の無さで、不幸な人間だ…。
  気を取り直し、第二候補として決めていた此方へと突撃する。
  今から一〇年程前に一度だけ御邪魔した事が有り、其の当時とは、
  北に数十米移転しており、如何やら、代替わりしている様だ。
  店舗前の砂利の駐車場に一台だけ空きが有り、停め難い位置に何とか駐車。
  戸を開けて店内に入れば、多くの客で賑わっており、糞餓鬼も蠢いている。
  失敗したかなと思うも、一分程で席に通されてヨッコイショーイチ。
  献立表を捲り、何にすんべぇかなと、熟考に入る。
  武蔵野饂飩なので、つけ饂飩が良いが、何だか、カレー南蛮、カレーつけ饂飩と、
  カレー味の献立が充実しており、道理で店内がカレー臭が充満している訳だ。
  大いに惹かれるが、カレーだと、当たり前だが、カレー味が強過ぎて
  約一〇年振りに御邪魔して頂くには、些か勿体無い気がするので、
  献立表の一番上に一番人気として載っている「肉なす汁うどん」を発注。
  饂飩の量は並盛りで良いか訊かれるが、「元祖 田舎っぺ」なら間違い無く、
  二〇〇円増しの「特大盛り」にしても八六四円だが、此方では並盛りで八三〇円、
  「中盛」で一八〇円増し、「大盛」で三六〇円増しなので自重…。
  厨房内には、代替わりしたと思しき、先代の弟子氏である御店主に御婦人三人。
  御店主はネクタイを締め、其の上に和の白衣を着込み、辻調理師専門学校講師、
  「料理天国」に出て来そうな佇まいで、何だか期待が持てそうだ。
  冷茶を啜り、一緒に出された飴色の大根の煮物で凌ぐ。
  人気店で混雑しているので、時間が掛かるのは致し方無いなとヂッと待つ。
  只管に待つ。
  三〇分待つ。
  事に依ると、今から小麦の種を蒔いているのではと思い始めた頃、
  女中さんが盆に乗せて配膳して呉れ、其の饂飩の太さを見て合点が行く。
  此れは茹で時間が掛かるわね。
  其の極太の饂飩を一本手繰り、つけ汁にドヴンと浸して啜る。
  強靭にも程が有る腰で、表面はややザラッとしているが、ツルっとした喉越し、
  通りの良さが有り、此れを確りと噛み締め、粉の風味をじっくりと味わう。
  口内であうんあうん言いそうな弾力で、「元祖 田舎っぺ」にも引けを取らない。
  茹で置きせず、注文が入ってから茹でると言うだけあり、瑞々しさが感じられる。
  つけ汁は武蔵野饂飩の定番、醤油味の甘辛く、濃い味で期待通りの味。
  白出汁、返しは全て天然で国産の物を使用し、毎朝仕込んでいると言う。
  人工的なえげつなさは皆無で、先代の下で修業して会得した高い技術と、
  惜しみない愛情と情熱に依る賜物であろう。
  つけ汁の具の豚肉は、加須の「松村牧場」の「香り豚」と言う。
  甘味が有って軟らかく、つけ汁の表面にはきらきらと脂が染み出して浮いている。
  其れと、脂と旨味を吸った茄子、榎茸、葱が入り、香ばしくもある。
  矢張り、根っからの埼玉県人、深谷生まれなので、武蔵野饂飩や煮餺飥、
  紐革饂飩、水団の様な小麦粉文化がデオキシリボ核酸に刷り込まれているな。
  良し、今度は「カレーつけうどん」か「カレー南」にしようかしら…。