…昨日。
待ちに待った、待望の土日の週末を迎える。
心身共に疲労が激しく、必要以上に行動的な予定も無い。
朝は七時半に起き出すも、午前中は極めて自堕落に過ごす。
十一時過ぎに家を出、伸び切った頭髪を切り落としに表参道へ出掛ける。
原宿駅に降り立つと、何かの祭りの様な騒ぎで、眉間に皺が寄る。
散髪の前の腹拵え、昼酒にと、「九州じゃんがららあめん」を見ると、
店外の階段に迄、レジ前の行列が溢れており、直ぐ様、回避。
仕方無く、前回と同様、こちらで旭川ラーメンを頂こう。
運良く、一番奥の端っこの席も空いている…。
◎「生ビール」五二〇円+「とろ肉別皿盛り」七二〇円
…羽織って来て激しく後悔した上っ張りを脱ぎ、着席し、発注を済ます。
先ずは、取りも直さず、麦酒が無いと始まらないので。
摘みは無しで、「特選とろ肉らーめん」でも良いかなと思ったが、
前回、別皿で単品のとろ肉が発注出来るのを知り、いざ決行。
良く晴れた、清々しい陽気の昼間に、麦酒を呷る爽快感たるや格別だ。
此れが屋外だったら、もっと清涼感が味わえただろうな。
程無くして、とろ肉も遣って来て、万事整う。
丸で、刺身を思わせる様な切り身は、見た目から旨さが滲み出ている。
豚一頭から僅か二~三〇〇グラムしか取れないと言う貴重な頬肉で、
鮪のトロの様な軟らかさと深い味わいを兼ね備えていると言う通り、
ムチッとした赤身の弾力と、トロンと蕩ける脂身の軟らかさが最高だ。
四切れを麦酒の摘みとして頂き、残りはラーメンに乗せてみよう。
◎「しおらーめん」八七〇円
…とろ肉を摘みとして頂いたので、ラーメンは普通の物で我慢。
金さえ出せば、一二九〇円の「特選とろ肉らーめん(しお)」でも良いが、
月末で、既に赤字なので、グッと堪えよう…。
此方の「しおらーめん」と言えば、言う迄も無く、勝手知ったる味。
日本各地に支店展開し、今は亜米利加、加奈陀、香港、台湾、新嘉坡、
馬来西亜、印度尼西亜、比律賓、泰国にも在るので、随分と手広い。
旭川の本店でも頂いた事が有るが、塩ラーメンと聞くと、あっさりして、
さっぱりとた、澄んだプースーと言うのが専らだが、濃厚民族としては、
矢張り、こってりとして、コクが無いと、食べた気がしないので、
其の点で、此方の塩ラーメンを頂いた時は衝撃的だったな…。
プースーを一口啜れば、何とも言えないコクと甘味が口内を駆け抜けて行く。
遠くの方で、大蒜の風味も感じられる気がする。
豚骨、野菜、干魚を夫々に合った温度で煮出した後、混ぜ合わせ、
完成させていると言い、最後の一滴迄飲み干せる事を意識している為、
必要以上に塩分を加えていないと言うのが売りで、其れが甘味の所以だろう。
麺は細い縮れ麺で、鹹水が少ない低加水なので、表面はややザラッとしている。
ツルツルなのも、喉の通りが良いのだが、ざらつきが有る方も好きだ。
プースーとの絡みも宜しいので。
具に取り掛かってみると、叉焼は二切れ入っている。
赤身と脂身が程良く調和した、豚バラ肉の一部分だけを使用し、
長時間煮込まない事で、肉本来の旨味がする味に仕上げていると言うが、
矢張り、とろ肉との旨さの差は歴然で、其れは如何ともし難い。
とろ肉はプースーに浸す事で、より一層軟らかく成り、プルントゥルン。
麺麻は細切りで、ギリギリ迄塩分を抜き、シャキッとした歯応えが特徴で、
スープを活かす様、味付けはしていないと言うので、物足り無さは否めない。
木耳は幅約三ミリメートルに切り揃えられ、食感の印象は弱い。
勿論、最後はプースーを全て飲み干し、腹を出っ張らせてみる駄目中年…。