三貫清水で蛍狩り【宮原】

■「三貫清水」〔宮原〕

　…昨晩、食後に散歩に出掛けた。
　　場所は「三貫清水」周辺。
　　新大宮バイパスの北側、鴨川の東側に広がる雑木林。
　　其の南北には鎌倉街道が通っている。
　　此の一帯には沼地が二箇所有り、其れ等を「三貫清水」と呼んでいる。
　　名前の由来は、其の昔、太田道灌が此の地を狩りで訪れた際、
　　土地の人が此の清水を汲んで茶を点てて出した所、
　　「とても旨い」と言って三貫文の褒美を授かったとの事。

　　此の辺りは豊かな自然が残されており、湧き水のせせらぎや、
　　野鳥の囀り、虫の音が聞かれる癒しの空間だ。
　　そして極め付けは、何と、蛍が見られると言う。
　　実際に行って、葦が生える沼地に目を凝らすと、
　　緑色の淡い光が飛び交うのが見られた。
　　今日日、蛍が見られるとは、少し感動し、童心に帰った。
　　数を数えられただけでも、一〇匹以上は肉眼で光を確認出来た。
　　何とも幻想的と言うか、旧き良き日本の夏と言う感じ。

源氏蛍より小さい平家蛍だが、力強く光を放っている。

　　僅か一週間と言う短い命を生きる為に…。
　　蛍は秒速五〇㌢で飛ぶと言う。
　　櫻の花弁が無風状態で舞う速度も秒速五〇㌢だと言う。
　　牡丹雪が舞い降りる速度も秒速五〇㌢だと言う。
　　人間が美しいと感じる感性は秒速五〇㌢なのかも知れない…。