今日は日がな一日、来たるべき来週の、飛行機での出張に備え、
部屋の大掃除をし、親が死後の後片付けに来ても良い様に身辺整理に充てる。
独り者の中年の部屋なんて、散らかり放題で、目も当てられたものではない!
前回、掃除をしたのは何時以来だろうと悩んでしまう程に、汚くても平気だ…。
然し、自分が死んで、其の後片付けに来た人間の迷惑を少しでも減らそうと、綺麗にしておく。
明日、少し遣っ付ければ何とか成る位には片付き、夕方以降は極めて自堕落に過ごす…。
昼御飯の「ジャンクガレッジ」の腹持ちが良く、二十一時半に漸く晩御飯の買い出しに出掛ける。
部屋が多少は片付き、部屋で食事を摂る事に抵抗が無くなって来る。
折角の花金なので、例によって「ストロングゼロ」を買い込み、
肴は鮮魚コーナーの鰹の叩きに手が伸びたが、冷蔵庫に玉子と納豆が有るのが引っ掛かり、
絹漉し豆腐一丁と、瓶詰めのなめ茸を購入して帰宅する…。
単純に、豆腐の上に、納豆となめ茸を混ぜ合わせた物をぶち撒け、
更に卵黄を落とすと言う、決して、料理とは言えない代物。
此の原案は、其の昔、ペー氏から、豆腐の上に納豆と卵黄を載せると言うのは聞いて試したが、
今回は頓知を効かせ、大好物のなめ茸の瓶詰めを和える。
風呂から上がり、冷凍庫に入れて置いた酎ハイの栓を抜き、一口呑めばパラダイス!
大掃除と言う大仕事を遣って退けた達成感が旨さを倍増させる。
さて、件の「なめ茸納豆豆腐卵黄載せ」。
此れは箸で食べると、何かのリハビリみたいに成ってしまうので、大人しく匙で掬って頂く。
普段は、此の豆腐に載っている物を御飯にぶっ掛けて掻っ込むのが好きだ。
なので、此れが美味しくない筈が無い!
パンツ一丁で首からバスタオルをぶら提げた、松の木におじやをぶつけた様な不細工な初老が、
顔を皺くちゃにし乍ら、「なめ茸、美味しい~」と独り言を言う姿は、正直、気持ち悪い…。
此処に拳銃が有ったら、蟀谷を撃ち抜いて自害したい心持ちだ…。
然し、吃驚する程に旨いのだから致し方有るまい。
此の世で一番旨い物を問われたならば、此れを挙げたい程だ。
なめ茸は凄いな。
減塩なんてしちゃ駄目だ!
塩分万歳!