続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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メヒコ「ウニピラフ弁当」【上野】

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メヒコ「いわき ウニピラフ弁当」一〇〇〇円


…日曜日から茅ヶ崎に出張で出掛けるも、日曜日、月曜日と発熱で意識朦朧の中で仕事を熟す。
 御蔭ですっかり疲弊し切り、火曜日には何とか解熱して復活するも、猛烈な喉の痛みと、
 リンパ腺の腫れは引かずに昨夜遅くに帰宅し、荷を解いたのも束の間、
 新たに荷造りをし直し、今日から再び、旅の生活に出てみる…。
 上野駅発一〇時丁度の「スーパーひたち」十五号に乗車し、目指すは福島県原ノ町駅
 風邪の病み上がりに、東北地方の寒風は身に堪えるだろうと思い、
 此の暑がりの僕が、数年振りに、羽毛の詰まった上っ張りを引っ張り出して着込んで出掛ける…。
 日立駅を過ぎた辺りから、太平洋が見え、白波を立て乍ら、陽光に煌いている。
 天気は頗る良く、眩い陽射しが、日光に弱い僕に燦燦と降り注ぐのが不快だ…。
 十三時〇九分の原ノ町駅着に合わせた集合時間の為、昼御飯は済ませて置く。
 予め、乗車前の上野駅売店で駅辨を購入していた。
 各地の駅辨が取り揃えられている中から、砂場から砂金を掘り出す様にして見付けたのが、
 此の「ウニピラフ弁当」で、「シーフードレストラン メヒコ」と言う所の物らしい。
 此れならば、病み上がり乍らも腹っ減らしの腕白ポンコツ中年の胃袋と心を満たして呉れる…。
 正午を数分前にして、昔で言う平駅、今で言ういわき駅を発車した頃に食べ始める。
 「雲丹」と言う単語には殊更、プリン体フェチの世を儚んだ廃人は敏感だ。
 雲丹はプリン体の王様で、揺ぎ無い地位を築いているからだ。
 贅沢にも、其の雲丹を、西洋気触れの洋風炒飯にしてしまうなんぞ、勿体無い極みだ…。
 だからこそ、しっかりと此の舌で味わって遣ろうと思う。
 厚紙の蓋を開けると、プラスティック製の容器が現れ、其の蓋も取っ払う。
 すると、東京読売巨人軍好きの僕が狂喜乱舞する様な橙色が詰まっている。
 開封前の「どうせ、雲丹なんて、耳掻きで穿る程の量しか入っていないのだろうよ…」と言う読みが、
 真っ向から覆され、ブルジョアジーを気取りたくなる程の量の雲丹が出迎えて呉れる。
 矢張り、裏切らないのはプリン体だけだ。
 雲丹、イクラ、鮟鱇肝、白子、鱈子、ホルモン、魚粉ガッツリつけ麺…。
 行儀良く、茶で口内を清めてから、割り箸を割り、厳かな儀式の様にして喰らい付く。
 米は粳米を使用し、此れを葡萄酒、醤油、バターで味付けをし、雲丹と一緒に炊き込むと言い、
 雲丹の奥深い旨味、まったりとしたコク、仄かな苦味が全て染み出しており、
 電車に揺られ乍ら、宛ら、洋風料理店で頂いているかの様な高級な心持ちにさせて呉れる。
 西洋炒飯なんぞ、此処何年も頂いていないが、辨當の枠に囚われない旨さだ。
 此れ又、冷めた状態でも味が害われず、此れが温かかったら、さぞや旨かろうと思いを馳せる。
 普段、冷めた食事と言うのが大嫌いで、冷めた仕草で熱く見るのは好きなのだが、
 其れを補って余り有る旨さで、駅辨としては非常に素晴らしい出来。
 此の為に、態々、「辨當」と言う書庫を作った価値は有る。
 個人的には、上に載ったピーマンと西洋松茸が邪魔な気がするが、味に免じて許そう…。