続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「喫茶 ハイマート」【沼田】

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◆「喫茶 ハイマート」【沼田】


 ◎「生姜焼きセット」六〇〇円

 …此処数日は、仕事を終えて帰宅してから、パーソナルコンピューターで仕事をする事が多く、
  床に入る時間も午前零時を過ぎ、そして朝は五時半に、隣家の換気扇の排気口から、
  胸焼けする様な揚げ物の油の臭いが流入して来る為に叩き起こされ、
  八時前には電車に乗り、長時間揺られ、群馬県の山の中へと出掛けているので、
  夕方も十八時辺りに成ると、目がショボショボして来て眠い…。
  そんなこんなで、今日も今日とて、観光ではなく、山間を縫う様に走る上越線に揺られ、
  「おい、一寸、大丈夫かよ…」と言いたくなる様な、人気の居ない場所へと遣って来る。
  長野県の血が半分入っているので、山は非常に落ち着く心持ちがするので好きなのだが、
  如何せん、群馬県と言う場所に個人的に拒否反応が有る為、今一馴染めない…。
  二時間以上掛かって沼田駅に降り立ち、乗り合いバスに乗車し、仕事に向かう。
  十三時半に終了し、沼田市内を移動し、次の仕事に取り掛かる。
  時機を逸し、昼御飯を摂るのが遅れ、十四時半過ぎに抜け出して昼御飯を摂る事にする。
  周囲を見渡すも、其れらしい店は跡形も無く、取り敢えず、沼田駅迄歩けば何とか成るだろうと、
  何の根拠も無しに歩き始め、灼熱の太陽がギラギラする中、汗を拭き拭き辿り着く。
  然し!
  全く店が無い…。
  此の街の人は一体、食事を摂らなくても生きて行ける人種なのだろうかと思う程に無く、
  首都圏とは思えない光景に、余計に暑さがジワジワと浮き上がって来る様だ…。
  駅前に土産物屋が在り、丁度、其の二階が喫茶店に成っている様で、
  其の階段の脇にメニューが掲げられており、運良く食事のメニューも有る為、
  此れを逃したら、今日は昼御飯抜きに成るだろうと思い、一縷の望みを賭けて階段を昇る。
  店内には四組の客が、冷やし珈琲等を飲み乍ら、午後の一時に語らっている。
  揺蕩う煙草の煙の渦の中を泳ぐ様にして、壁際のテーブル席に腰掛ける。
  時間も時間なので、「食事、未だ大丈夫ですか?」と訊くと、大丈夫だと言うのでホッと一安心。
  メニューを眺めると、喫茶店らしい簡易的な食事しか無く、カレー、サンドイッチ、
  そして、中でも一番食事っぽい「生姜焼きセット」を発注してみる。
  「カレーライス」と同価格の六〇〇円と言うのが如何も胡散臭いが、背に腹はかえられない…。
  歩いて火照った身体を冷ますべく、水をグイグイ遣っていると、店主の倅らしき青年が配膳しに来る。
  盆に載った配置を見て、思わず目を疑う。
  盆の中心には味噌汁が大きめの漆器に入って置かれており、主役の筈の生姜焼きはと言えば、
  右隅に小ぢんまりと、然も、僕が知っている生姜焼きが盛られている皿とは大きく異なり、
  「ヤマザキ春のパンまつり」で貰えそうな、御洒落小鉢の様な器に、申し訳程度に盛られている。
  今日日、六〇〇円と言うのには何か裏が有るのだろうなと踏んだ通りだ…。
  まあ、食事に有り付けるだけでも有り難いので、良しとしよう。
  先ずは味噌汁から啜ると、味は濃い目で、汗で塩分を出し切った身には丁度良い。
  然し、具が麩だけと言うのが、貧乏臭くて残念だ。
  さて、端っこに追い遣られた生姜焼きに掛かるとしよう。
  火の熱ですっかり縮み上がってしまい、何だか余計に小さく見えてしまう…。
  齧ると、生姜の風味が強めに感じられ、甘さは無く、さっぱりと爽やかな印象。
  出来合いの辨當のおかずの生姜焼きの様な風情さえ漂っている。
  此れは決して批判ではなく、此れは此れで良いのだ、と言う事なので悪しからず…。
  其の下に敷かれた千切りキャベツは、生姜焼きの汁を吸って、すっかりクタクタに成っており、
  此れが味が染みて、個人的には地味だが好き。
  然し、厄介なのが、千切りキャベツが入っているにも拘らず、別皿で生野菜が付く点。
  レタスを細く切った物に、醤油ドレッシングが掛かっており、上には何故か揉み海苔…。
  野菜を増やすのならば、其の分、肉の量を増やして呉れれば良いのにと、強く思う。
  御蔭で、流石の御飯っ喰いの僕でも、おかずが足りなく成って、御飯が余りそうになる。
  何とか御香香と味噌汁で誤魔化しつつ、事無きを得る。
  腹拵えも一応は出来、夕方からのもう一頑張りの力の足しに成る…。