「手打そば・うどん処七福」【渋川】 - 続・ＲＯＣＫ‘Ｎ’ＲＯＬＬ退屈男

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　◎「モツ煮込み定食（ざる）」九五〇円

　…毎晩寝苦しく、寝付きも悪く、睡眠時間が削られている。
　　朝起きると、異様に身体が重く、何だかぐったりとしている…。
　　今朝は珍しく、隣家の換気扇の排気口からは油の臭いは飛んで来なかったが、
　　毎朝此の時間に成ると油臭く、五時半頃には自然と目が覚める様に成ってしまったのが腹立たしい…。
　　今朝は七時過ぎに起床し、今回、群馬県の担当と成ってしまった為、
　　高崎線、上越線を乗り継ぎ、人も疎らな過疎地へと出掛ける。
　　更に其処から乗り合いバスに揺られ、えっちらおっちら、重たい鞄を提げて歩く…。
　　動き出してしまえば此方のもので、意欲を持って仕事に取り組み、没頭する。
　　そんな中、十三時に昼休憩とし、昼御飯を摂る事にする。
　　渋川と言えば、「いち林飯店」に行きたいと思っていたが、生憎の定休日。
　　ガッカリと項垂れ、仕方無く、其の近くに在る此方に飛び込みで入ってみる。
　　店先に大きな木の板に「店主が怠け者で暇な店」と大々的に記されており、此の緩さが良い…。
　　民家風の店内に入り、目の前の四角囲みのカウンター席に腰掛ける。
　　卓上のメニューを見ようと思うも、店頭に掲げられていた御薦めメニューをチラッと見、
　　店に入る前に即決しているので、メニューは用無しだ…。
　　其れは、プリン体フェチが見て見ぬ振りを出来ない「モツ煮定食」。
　　其れを発注すると、蕎麦か饂飩が付く様で、何の気無しに「蕎麦で」と御願いする。
　　すると、「『ざる』が良いですかね？」と訊かれるので、こちとら生来の暑がり、
　　熱い蕎麦よりは冷たい蕎麦の方が良いので、「はい」と返事をすると、
　　「『ざる』は五〇円増しに成ります」とさらりと言われ、まんまと一杯喰わされる…。
　　確かに、メニューには「ざる」は五〇円増しと記されているが、生憎、メニューは熟読していない。
　　「あちゃー…」と額を叩いて悔しがろうにも、もう後には引き下がれないので其の儘で…。
　　僕恒例の「後のフェスティヴァル」を又しても開催してしまう。
　　「あ～ぁ…」とガッカリし乍ら待っていると、盆に載った定食が運ばれて来る。
　　もつ煮込み、御飯、御香香、蕎麦、蕎麦湯が所狭しと載っている。
　　主役のもつ煮込みをまじまじと見てみると、何と、萌やしが入っている。
　　三十四年間無駄に生きているが、もつ煮込みに萌やしが入っているのは初めてだ。
　　店頭のメニューの黒板には、「モツの旨味がたっぷり」と記されており、早速、此れから頂く。
　　もつはプルプルとした食感で柔らかく、仰せの通り、旨味が凝縮している印象。
　　味付けはあっさり目の醤油ベースで、コッテリとした感じは無い。
　　具の萌やしはシャキシャキとしているが、此れで嵩が増している感じがし、
　　又、純粋にもつを味わいたい場合には余分な存在に成ってしまい勝ち。
　　プリン体たっぷりの食べ物が、野菜に侵食された印象で、物足りなさが残る。
　　然し、総体的な味としては悪くなく、御飯をバクバク掻っ込みたくなる。
　　御香香は此方の一押しの古漬けの沢庵らしく、独特の酸味が出て、此れが嫌味の無い酸味で良い。
　　蕎麦はと言えば、黒っぽい色をしているが、十割蕎麦では無い様だ。
　　群馬県産の蕎麦粉を使用し、自前で粉を挽いているとの事で、腰が感じられ、
　　スルスルと喉越し良く入って行き、こう暑い時には非常に助かる。
　　只、蕎麦つゆが少々味気無い感じで、味の奥行きが浅く感じられてしまう。
　　もっと濃口で、気持ち甘味が有ると個人的には好み…。
　　然し、最後は蕎麦湯で割り、ドリンク感覚で飲み干す。
　　少々値は張ったが、腹も其の分、ポンポコリンに成り、午後の業務へと戻る…。

～御負け～
　渋川での仕事を終え、安中へと向かう。
　安中駅の南側、言ってみれば一等地には、山の斜面一体に「東邦亜鉛安中製錬所」が広がっており、
　其の昔、子供の頃は此の風景が何だか恐ろしく、物々しさに怯えたものだが、
　物心付いた頃より、此の工場の風景に異様に惹かれ、上田の祖父母の家に出掛ける際、
　「特急あさま」の車窓から眺めるのが好きだった…。
　今では、「工場萌え」と言われるマニアに人気だとか…。
　此の光景は、何時見てもぞくぞくする。
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