「鮨処いっしん」【日進】 - 続・ＲＯＣＫ‘Ｎ’ＲＯＬＬ退屈男

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◆「鮨処いっしん」【日進】

　…土曜日。
　　相変わらず訳の分からない暑さが続いており、絶命しそうに過酷で、夏と言う季節が心底嫌い。
　　何故、こんな季節が有るのか、許せない心持ちで一杯だ…。
　　こんな暑い日は、呑んでなきゃ遣ってられないので、毎度の昼酒をしに此方へ。

　◎「生ビール（中）」五八〇円
　…灼熱地獄の中を歩いて出掛け、店に入れば客は誰も居ないし、涼しいし、安堵する。
　　座敷席に上がり込み、何時もの端っこに陣取ると、黙っていても麦酒が出て来る。
　　此の日最初の食事が此の麦酒で、正しい休日の形だ…。
　　「暑い！」と言葉を発し、汗を拭い、黄金色のプリン体をグイッと呷る。
　　身体全体に染み渡る様な何とも言えない心持ちで、最高の贅沢だ。

　◎「ふぐの白子」五一〇円
　…壁に貼り出されたメニューを見ると、二週間振りに河豚の白子が有り、
　　此処ぞとばかりに発注しようとすると、ママさんが其れよりも前に持って来て呉れる。
　　ポン酢をなみなみと浴びせ掛け、白子を「づけ」の状態にして頂く。
　　プルンプルンの河豚の白子は、真鱈の白子より多少はあっさりした印象。
　　然し、円やかで滑らかな口当たりは心地好く、クリーミーな味わいが口一杯に拡がる。

　◎「鰯」一六〇円
　…寿司に取り掛かり、此処最近は小鰭が不漁の影響で価格高騰が続いて入荷が無いので、
　　旬の光物を堪能するべく、先ずは鰯から御願いする。
　　見るからに白っぽく、脂が載っているのが分かる。
　　口に入れると、トロンとした口当たりで、且つ、青魚の風味が感じられて旨い。

　◎「〆さば」二三〇円
　…お次は何時もの〆鯖。
　　夏場の鯖は脂の載りが薄く、マスターも余り薦め辛い時が多いと言うが、
　　此方の場合は、多少、素材が悪くても、其れを補って余り有る仕込みの技が有る。
　　生の鯖の味わいが残る程度に軽く〆、鯖本来の味を損ねていない。

　◎「生サンマ」三二〇円
　…金曜日に「魚定食丸や」にて「サンマサシミ定食」を頂き、今季初の秋刀魚を味わったが、
　　矢張り、此方では秋刀魚を寿司で頂かないと…。
　　初物を頂くと言うのは、旬を大事にする日本人らしくて好きだ。
　　ピカピカと光り輝き、新鮮其のものの秋刀魚は、脂が載って格別。

　◎「鰺」二三〇円
　…更に光物攻勢を続ける。
　　此処最近、トロの様な脂の載りで、非常に美味しい季節を迎えている鰺。
　　肉厚に切られた身は、口の中でトロ～ンと蕩け、其れで居て、プリプリとした弾力が有る。
　　恐らくは、今の時期の鰺は塩焼きにしたら、此れ又、最高に旨かろう。

　◎「いさき」二三〇円
　…僕の中ではすっかり旨い魚として定着している伊佐木。
　　「ミサキ」や「イサキ」は如何してこうも素晴らしいのだろう…。
　　今回のは脂の載りは控え目で、然程のコクは強くは無いが、
　　白身魚特有の旨味が十分に凝縮されており、さっぱりし乍らも旨さが感じられる。

　◎「えび明太子」一六〇円
　…此方を訪れるようになって、初めて此の「えび明太子」とやらを頂いてみる。
　　メニューに並ぶ様に成ってから、随分と経つが、プリン体フェチだが縁が無かった…。
　　甘海老と思しき海老が明太子風の味付けを施されて軍艦に乗っている。
　　プリプリとした海老の弾力と、明太子の辛味が印象的で、予想以上に旨い。

　◎「まぐろ」二三〇円
　…すっかり定位置を確保した鮪。
　　今迄は何時でも何処でも鮪は頂けるからと安穏と構えていたが、
　　本当に旨い鮪はそうそう巡り会えず、此方では生鮪の旨さに出会えると今更乍らに気付く…。
　　さっぱりとした赤身は、口の中でネットリとした旨味が拡がる。

　◎「やりいか」三二〇円
　…鮪と来れば烏賊を頂いて、紅白揃って目出度い感じにしてみる。
　　烏賊に関しても、此方で頂くようになってから旨さを再発見する。
　　少し寝かせた烏賊は柔らかく、筋張って噛み切れないと言う事は一切無い。
　　此方もネットリと深い甘味が存分に感じられる。

　◎「すじ子」三二〇円
　…すっかり酩酊し、良い心持ちになりつつあるので、そろそろ〆へと向かう。
　　此方でのセットアッパーは筋子と決まっている。
　　鮭ではなく姫鱒の筋子だが、味付けが非常に宜しく、粒もしっかりとプチプチ弾ける。
　　プリン体が次々と弾ける感覚が堪らなく、何時迄も味わっていたいとさえ思う…。