続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「寝台特急カシオペア号ダイニングカー」

◆「寝台特急カシオペア号ダイニングカー」

 …今日、三十六歳の誕生日を迎え、其れも含め、一週間の休暇を頂戴し、
  夢の寝台特急に乗車し、涼しい北海道を巡る旅に出た僕…。
  大宮駅十六時四十五分発の「カシオペア」号に、緊張感と、優越感を持って乗車する。
  八号車二十三番の個室は二階席で、眺めも良い。
  大宮駅を出、宇都宮駅郡山駅、福島駅と順調に途中駅を停車して進み、
  福島駅を過ぎて暫くした所で、刻限は二〇時を示す。
  此の一世一代の旅に際し、晩御飯の予約をしておいた。
  仏蘭西料理、懐石料理から選択出来、二〇時一〇分から、滅多に頂かない仏蘭西料理とやらを予約。
  車内放送で準備が整った旨が流れ、車内を縦断し、三号車へと向かう…。

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 ◎「ハウスワイン 寝台特急カシオペア オリジナルラベル赤」一八〇〇円
 …小洒落た、否、相当洒落た食事処に通された様な感じで、テーブル席へと案内される。
  先ずは飲料のメニューを渡され、此処は矢張り、誕生日と言う目出度い、否、目出度くもないか…、
  一応の記念と、滅多に乗車する事が出来ない「カシオペア」号に乗車した記念も込め、
  葡萄酒なんぞを頂いてしまおうと、一生に一度の優雅な旅を満喫する。
  葡萄酒は、米利堅の加州の「ラウンドヒル」と言う銘柄らしく、品種はカベルネソーヴィニヨン。
  辛口と言う感じはなく、やや甘めと言う印象を受ける。
  メニューの能書きには、確りとした味わいの中に、膨よかな香りと優しい飲み口と謳っている。
  専ら、葡萄酒に関しては全くの門外漢なので、味の方は分からないが、
  兎にも角にも、此の優雅な晩餐を演出して呉れさえすれば良い。

 ◎「フランス料理コース」七八〇〇円

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  ○「サラダ仕立てのオードブル(アスパラガス、フルーツトマト、帆立貝と蟹のサラダバルサミコ風味)」
  …先ずは、前菜とでも言おうか、野菜が運ばれて来る。
   と言っても、海産物が一緒に盛り付けられているので、豪勢且つ華やかだ。
   普通の家庭なら、「フルーチェ」や「シャービック」辺りを盛り付ける硝子の器には、
   彩り豊かな食材が、綺麗に、上品に収まっている。
   蟹はと言うと、僕の食べ慣れた物は、解凍して身がスカスカに成った物だが、
   此れは身が詰まっていると言うか、密度が高く、其れで居て甘味が強い。
   帆立貝もしっとりしつつもプリプリで、肉厚の身は、磯の香りが良い。
   更に、上にはプリン体イクラがあしらわれ、ルビーの様な輝きを放っている。
   「銀座じょわいよくちゅーるマキ」も形無しだ…。
   野菜嫌いの僕が頂ける数少ない野菜の一つ、パラガスが入っているのも高得点だ。

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  ○「魚料理(平目の湯葉包み蒸 バジルのムスリーヌ添え 青森産ニンニクのクリームソース)」
  …続いては、魚料理が出て来ると言う。
   「CASSIOPEIA」の文字が印字された白い皿の中心に、四角い物体が鎮座。
   皿の大きさの割りには随分と小振りだが、此れが上品と言うものなのだろう。
   僕が日常的に頂いている、「二郎」系やら、「すた丼」とは訳が違う…。
   白身魚の平目が湯葉に包まれて蒸し上げられ、上には赤茄子を微塵切りした物が盛られ、
   テレレは白と緑の二色が綺麗に層に成っている。
   不器用にもナイフとフォークを駆使し、湯葉で包まれた玉手箱を開ければ、平目が顔を覗かせる。
   テレレは非常に円やかでクリーミーな口当たり。
   遠くの方で微かに大蒜の風味が感じられるが、凡そ、大蒜とは思えない滑らかさ。
   コクが有り、湯葉の優しい味わいとも調和し、平目の淡白な旨味を引き出している。
   東京湾のヘドロの様な色の緑は、伊太利亜産の香草だろうか。

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  ○「肉料理(牛フィレのソテー 温野菜添え 赤ワインソース)」
  …魚の次は、待ってましたとクーニー登場。
   折りしも、車窓は仙台の街へと移っている。
   さて、肉と言えど、「らぁめん ほりうち」の「チャーシューざるらあめん」で豚肉の塊は頂いても、
   中々、皇族関係でもない限り、こうして牛肉を頂く事は貴重だ。
   切ると、中はレア状態で、血が滴る様な赤々とした感じが僕好み。
   決して最上級と言う様な肉ではないが、赤身の旨味、噛み応え、柔らかさが堪能出来る。
   フィレ肉と言う事も有り、執拗い感じは無く、寧ろさっぱりとしている。
   葡萄酒のテレレも甘からず、辛からず、此処でダチョウ倶楽部なら、旨からずと言うのだが、
   中々如何して、肉は人を元気にして呉れる力が有るので、偶に頂くと精が付く。
   肉の周囲には、人参、南瓜、じゃが芋、オクラ、赤茄子、茸が配置されている。

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  ○「デザート(特選デザートとフルーツの盛り合わせ)」
  …〆は、甘い物が出て来ると言う。
   僕には良くは分からないが、アイスクリームと、茶色のは珈琲味のフワフワした物、
   そして、果物はキウイとマンゴーが盛り合わせられている。
   茶色いフワフワした物の上には、北海道の形の白いチョコレートが乗っており、気が利いている。
   苦い珈琲と一緒に此れ等を頂けば、一層、優雅な心持ちに成る。

 存分に、此の上無い誕生日の晩餐を堪能し、酩酊して個室に戻る三十六歳児…。