続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「どん辰」【郡山】

◆「どん辰」【郡山】

 …昨日から郡山に入り、今日で二日目の中日。
  仕事の進捗も良く、時間に追われる様な緊迫感は無く、比較的、余裕を持って仕事が出来ている。
  今日も十八時迄作業を行い、郡山駅周辺の宿へと戻って来る。
  昨晩は気の合う同僚の方々と呑みに行き、僕としては今日も呑む気満々で居たが、
  やんわりと断られてしまい、今宵は独りぼっちだ…。
  時間的に未だ早いので、宿でパーソナルなコンピュータで少し仕事をし、
  十九時を廻った頃、晩御飯を食べに、郡山駅方向に当て所無く歩き出す。
  途中、桃色繁華街の非常に魅惑的な誘惑に負けそうに成るが、先ずは腹拵えだ。
  駅と直結した建物の一階に、海鮮丼を売りにする店を発見し、何度か逡巡するも、
  他に目星も当ても無いので、此方に御厄介に成る事にする。
  何でも、「魚の北辰」と言う魚屋が経営する「北辰鮨」の海鮮丼専門店だとか。
  其れならば外れは無いだろうと、店頭の券売機と向かい合う…。

 ◎「アサヒスーパードライ生ビール」三〇〇円
 …仕事終わりは呑まずには居られないとばかりに、麦酒の食券を購入。
  何と、三〇〇円で頂けるとは願ったり叶ったりだ。
  然し、値段も値段なので、缶麦酒が出て来るのかと思いきや、ちゃんとジョッキで御出座し。
  チンカチンカに冷え、汗だくの一日を締め括るには最高だ。
  グイッと呷れば爽快感が堪らなく、喉元をプリン体が駆け抜けて行く。
  胃袋が宜しく言っている…。

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 ◎「特上にぎり」一三七〇円
 …此方は海鮮丼が主力商品だが、如何も、麦酒の摘みには成り辛いので、矢張り寿司が良い。
  其処はちゃんと、握り寿司も取り揃えてあるのが嬉しい。
  呑みに行く予定が頓挫したので、其の分の呑み代が浮いたと思えば安いものだと、
  清水の舞台からバンジージャンプしたつもりで、「特上にぎり」の食券を購入し、発注。
  偶の出張なのだから、其れなりに満喫しないと駄目だ。
  麦酒を呷り、半分程を呑み終えた頃合いで番号を呼ばれる。
  此方は立ち喰い蕎麦屋方式で、食券を手渡し、出来上がると呼ばれ、自分で取りに行く。
  病院で薬を調合して貰ったかの様に取りに立ち、盆を受け取り席に戻る。
  此れは可也立派なシースーだ。
  器にぎっしりと、所狭しと犇めき合う様に盛り込まれている。
  先ずは、好きではない物から頂くのが、貧乏性の僕の主義だ。
  と言う訳で、玉子から。
  甘いので、普段は発注する事は皆無だが、盛られている物は頂く。
  確りと醤油に漬ける様にして頂けば、醤油の味が勝つので食べ易い。
  鉄火巻きは上に浅葱があしらわれており、赤身の部位がちゃんと巻き込まれている。
  ともすると、申し訳程度にしか入っていない寿司屋も有るので、此れならば心丈夫だ。
  続いては、紫蘇が乗った烏賊を。
  コリっと言う歯触りで、「鮨処 いっしん」の烏賊の様に、寝かして甘味を出すと言う感じではない。
  紫蘇の風味が心地好い。
  此の白身は鯛だろうか、鱸だろうか、今一、分からない。
  普通、此の手の寿司の盛り合わせならば鯛が入るが、見た目、鱸に見える。
  淡白乍ら、派手さは無いが、昆布〆にしたら旨味が引き立ちそうな感じだ。
  お次の此れは、間八かしら。
  ハマチよりも身が確りとして、身はシコっとした食感で、血合いの部位はコリっとしている。
  帆立貝は肉厚で、プリッとして、口から食み出そうだ。
  矢張り、生の貝の旨さと言うのは格別だ。
  牡丹海老も結構立派な大きさで、口に入れると、ブリブリとした甲殻類特有の食感で、
  口内に甘味が一杯に拡がり、麦酒のプリン体との相性は抜群だ。
  鮪は二貫有り、夫々の見た目の違いは分かり辛いが、恐らくは赤身から。
  先程の鉄火巻きの様に、さっぱりとして、且つ、ネットリとした味わいが特徴的。
  子持ち昆布も入っているとは、痛風患者としては有り難いの極み。
  サクサクとした歯触りで、魚卵がプチプチ弾けて行き、昆布の磯の風味が鼻腔から抜ける。
  次は、もう一貫の鮪、きっと中トロだろう。
  先程の鮪よりも脂が乗っており、濃厚さが感じられる。
  流石に生鮪か如何かは分からないが、生鮪の丼も有ったので、そうだと思いたい。
  そして、「鮨処 いっしん」では御馴染みの煮穴子
  侮っていたが、中々如何して、トロットロに蕩けるふんわりとした柔らかさで、
  此れは、恐れ入谷の鬼子母神だ。
  仮に、僕がヅラだったら、ちゃんとシャッポを脱いで脱帽する…。
  そろそろ〆が迫り、此れ又、嬉しいと言うか、珍しい所で、イクラ巻きだ。
  筋子巻きは有っても、手巻き寿司でもないのに、イクラ巻きとは素敵だ。
  プチプチとイクラの濃厚な味わいは人を幸せにして呉れる。
  さて、名残惜しいが、締め括りは、プリン体の王様・雲丹。
  一度で良いから、雲丹を蓮華で掬い、思いっ切り食べるのが夢、と言う位に好きだ。
  尤も、ちまちました量を食べるから美味しいのだろうがね…。
  雲丹特有の甘味がふわっと感じられ、苦味も無く、存分に堪能する。
  麦酒も二杯頂き、其の帰りしな、本気で桃色繁華街に行きたくなってしまうのを必死で堪え、
  後ろ髪を引かれる思いで、寂しい気持ちで宿に帰る…。