◆「Ken’s kitchen」【日進】
…昨晩。
ゆったりとした気分で、心行く迄、「鮨処 いっしん」を堪能したかったが、
六人組、四人組の囂しい会話に辟易とし、折角の旨い寿司と酒が、
不味く成るのが嫌なので、滞在一時間半弱で、大して酔えずに御暇する。
呑み直しとばかりに、近所に住む知人が来店していると言う情報を受け、
すっかり御馴染みと成った此方に雪崩れ込み、酒を酌み交わす。
◎「生ビール」四一〇円
…改めて、仕切り直しで、先ずは麦酒から。
他に客も無く、ゆっくりと、心静かに落ち着いて酒が呑める。
騒ぎたいなら、チェーンの居酒屋にでも行くべきで、場所を弁えろと。
本人達は騒いでいる自覚は無いだろうが、周りからしたら至って不快…。
此方ではそんな心配も無く、黄金色のプリン体を堪能する。
◎「ヴィッラ・サンタンドレア」二一六〇円
…人数も居るので、葡萄酒を発注しよう。
マスターに御任せで出て来たのが、此の白葡萄酒。
色は輝きの有る黄緑色で、檸檬や橙の皮等の柑橘系の香りや、
刈った芝や林檎等の香りも感じられ、確りしたした味わいで、
完熟した果実の旨味と程好い酸味、無機塩類的な余韻を残し、
口の中で広がる清清しさが心地好い、厚味と酸味が上手く調和して いる、
そんな触れ込みだが、葡萄酒には全くの門外漢の僕には何のこっちゃ…。
唯一分かるのは、すっきりとして旨いと言う事のみ。
◎「ポークカツレツ(パルミジャーノ)」八一〇円
…確りと寿司を頂くつもりが、志半ばで退店して来たので、満腹ではない。
と言う訳で、クーニー、行っちゃおうかな。
「鶏肉のグリルDiavola(悪魔風)」は頂いた事が有るので、
昼時にも出していると言う、此れを発注してみよう。
洋風豚カツと言う事か。
檸檬を搾り、フォークとナイフで適度に切って、喰らい付く。
下味が確りと付いており、此れに粉チーズのコクが加わって最高だ。
厚味は無いが、豚肉の旨味が凝縮された、ジューシーな味わい。
付け合わせに、西洋松茸の揚げ焼きが添えられているのも面白い。
此りゃ、酒が進むぞ…。
二七〇〇円
…御近所さんとの話も弾み、酒が進んで仕方が無いので、もう一本。
開栓しても暫く持つと言うので、此の赤葡萄酒を行っちゃおう。
縁に柘榴石の輝き、赤紫がかった色、煮詰めたジャムや伊太利亜酢、
少し野性的な多肉質小果類の香りが有り、色合いや香りとは対照的に、
柔らかい仄かな甘さのある果実味で、タンニンも十分有るが、
果実味が上手く補い、丸味を帯びた味わい、綺麗な後味が有ると言うが、
此れ又、何が何やら分からないが、旨い事だけは間違い無い。
◎「生ハムとオリーブ」四三二円
…御近所さんが、オリーブが美味しかったと言うので、
マスターに訊いてみると、生ハムと一緒に、安価で出して呉れると言う。
折角の提案を無下に断る道理が無いので、頂いてみよう。
生ハムはしっとりとした口当たりと、塩気が心地好く、葡萄酒と良く合う。
オリーブは好物と言う訳ではないが、今と成っては普通に頂ける。
子供の時に食べられなかった西洋風漬物と似た様な感じか。
最後は毎度乍ら、大滝詠一師匠の名曲を流して頂き、御満悦で酒を飲る。
すっかりヘベのレケで、一週間振りに愉しい時間を過ごす駄目中年…。