続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「多万里食堂」【大宮】

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◆「多万里食堂」【大宮】

 ◎「チャンポンメン」八〇〇円

 …昨晩は呑み会の後、独りで大宮で仕上げの呑み、〆のラーメンと、
  素晴らしい迄の流れに、日頃のストレスや疲労が吹き飛んだ思いだ。
  終電車に乗車し、危うく乗り過ごしそうに成りつつも何とか帰宅し、
  直ぐ様、寝床で気絶し、夜中に鼻詰まりで呼吸困難に陥りそうに成るも、
  朝は九時過ぎ迄動けず、ぐったりと重たい身体に逆戻り…。
  起きて風呂に入り、身を清め、全うな人間に戻る。
  午前中は極めて自堕落に過ごし、昼を前に漸く動き出す。
  晩は十七時半から、御近所さんと「鮨処 いっしん」に御邪魔する予定の為、
  前田推し、もとい、前倒しで動かないといけないのでね。
  取り敢えず、眼鏡を新調したいので、大宮駅周辺に行こうと自動車を走らせる。
  今日は何だか、鉄道博物館前も大渋滞だし、矢鱈と混んでいるな。
  さて、大宮駅に到着し、先ずは腹拵えだが、晩御飯が早い予定なので、
  軽く、ササっと、重くない物が宜しいと考え、あっさり系のラーメンかしら。
  其処で思い付いたのが、予てからの宿題店で、「高島屋」の裏にひっそり佇む、
  一九四六年創業と言う、老舗の食堂のラーメンが旨いと言う情報は有ったが、
  中々、踏み入る勇気を持てずに居たので、此の際、突撃してみよう。
  年季が入って古びた、蔦の絡まる店構えで、店頭には待ち客一人。
  此れならば御の字と並び、店頭に貼り出されたメニューの一例を眺める。
  当初は五五〇円と言う、昭和の中華蕎麦と言う誉れ高い「ラーメン」の予定も、
  先日、「らーめん つけめん 鶏の穴」で頂いた「とりちゃんぽん。」が旨く、
  其れに惹かれ、「チャンポンメン」と言うのが目に留まり、一気に魅せられる。
  手書きで「夛万里の味を是非」と書かれちゃ、気に成らずには居られない。
  五分足らずで中に入り、直ぐに先払いで食券を購入する。
  女中さんが算盤で計算して呉れ、此の辺りも昭和で時間が止まっている。
  合成樹脂の券を受け取り、空いているテーブル席に腰掛ける。
  店内に音楽やレディオは流れておらず無音で、人々が啜るラーメンの音だけが、
  ヅルヅルと高らかに響いており、此れは此れで異様ではあるが、正しい形だ。
  食券を回収され、「チャンポンメン」は少々時間が掛かると告げられる。
  と言っても、其れから一〇分と掛からずに出て来るのだから素晴らしい。
  其の出て来た丼を見ると、僕が知っている「ちゃんぽん」とは様子が異なる。
  炒め合わせた具材が上に乗った物だと思っていたが、見る限りは餡掛けだ。
  そう、猫舌の人間が恐怖を覚える、熱々テレレ。
  一瞬怯んだが、まあ、此処迄来たのだから、気持ちを切り替えて頂こう。
  先ずは、蓮華でプースーから啜れば、当然乍ら粘度は高い。
  極力、テレレではなく、プースーを啜ってみると、うん、塩味だ。
  湯麺の上に餡掛けのテレレをぶっ掛けた物、と言うのが一番分かり易かろう。
  塩味のプースーは優しい味わいで、あっさりとした口当たり。
  昔懐かしいと言う言葉で片付けたくはないが、旧き良き時代の味がする。
  麺を引っ張り出せば、見事な迄の極細麺で、縮れは余り無く、真っ直ぐな感じ。
  此の麺が実にしなやかで、茹で具合は軟らか目だが、喉越しが良い。
  太さで言ったら、其れこそ、冷麦と大して変わらない程に細い。
  餡掛けはと言うと、豚肉、キャベツ、韮、木耳、葱が入り、上から溶き玉子。
  此の玉子の半熟具合、否、殆ど生玉子な感じが絶妙だ。
  余計にとろみが増すのだが、塩気も和らぎ、角が取れて円やかに成る。
  八〇〇円は少々値が張るが、今度は「ラーメン」、「チャーハン」目当てに、
  麦酒なんぞ軽く引っ掛けたい、そんな気分の昭和の食堂だ。