◆「フレンチバル セゾニエ」【宮原】
…日曜日。
東秩父村、小川町経由でやっとこさっとこ帰宅し、打ち上げへと向かう。
一月十一日以来、二ヶ月半振りに、「麺屋 六文銭」系列の此方へ。
偶には趣きを変え、ちったぁ小洒落た物を頂くのも良かろう…。
◎「サッポロ生ビール」三二四円
…日中は運転し通しだった為、昼間に麦酒を飲る事も出来ずに我慢。
運転の疲労を取り去るべく、此の日の口開け。
ジョッキではなく、グラスでの提供だが、今日日、此の価格は有難い。
グイッと呷れば、炭酸の爽快感が駆け抜け、生きていて良かったと痛感。
長生きはしてみるものだな。
…料理の発注権は御近所さんが握っており、口を挟む余地は無い。
手始めに出て来たのは、春の味覚、螢烏賊と言うのが小粋だ。
マリネ、まりね、渡辺満里奈と、御決まりの駄洒落を心で呟き、
螢烏賊を摘めば、酢の爽やかな酸味が心地好く、さっぱりしているのだが、
螢烏賊の腸の濃厚さがコクを生み、新玉葱の甘味も感じられる。
◎「カモもも肉のコンフィ サラダ仕立て」六八〇円
…続いては、鴨の腿肉の入った生野菜の様だ。
ダーサラのテレレは、シーザードレッシングの様で、此れならば頂ける。
鴨肉を頂てみると、おおっ、何とも香ばしく、旨いと唸ってしまう。
「コンフィ」が何だか分からないが、旨けりゃ何でも良い。
鴨肉の脂身の旨さは、最近、特に絶妙だと感じる。
中々、子供の時分は鴨肉なんて食べなかったしな…。
◎「本日鮮魚のカルパッチョ仕立て」八二〇円
…御近所さんが白葡萄酒を発注する様だが、其れに合う摘みを訊いている。
可愛い女店員さんから返って来た中に、カルパッチョが入っていたので、
此れだけは僕の意見を聞き入れて貰う。
今日の魚は平鯛との事。
前回は真鯛の昆布締めだったが、洋風と言えども、酒席に生魚が無いと駄目で。
今回は赤茄子、新玉葱、オリーブ、合法ハーブが上に乗って華やかだ。
白身は瑞瑞しく、さっぱりとしているが、旨味が詰まっている感じで良いな。
◎「アルマデチリ シャルドネ」一八八〇円
…葡萄酒好きの御近所さん発注の白葡萄酒。
智利産の物で、青林檎の様な淡く爽やかな酸味と、新鮮な口当たりが心地好い、
辛口の白葡萄酒と言う触れ込みだが、如何せん、味音痴、馬鹿舌なもので…。
智利の首都、散地牙峩から南に約二五〇キロメートルに位置する、
智利最大の葡萄酒産地、マウレ・バレーの中に在るヴィラ・アレグレは、
火山灰と砂質から成る土壌と成っており、水捌けが良く、
広大で平坦な葡萄畑はたっぷりと日光を浴びる条件となっており、
地中海沿岸と似た気候で、冬場の豊富な雨と夏場の乾燥、
日夜の温度差が葡萄に素晴らしい香りと色合いを与えると言うが、何のこっちゃ。
◎「殻付きカキのオーブン焼き エシャロット風味」五四〇円
…さて、前回も頂いたが、牡蠣フェチの御近所さんの発注で此れを。
冬は牡蠣は欠かせないし、貝好きには堪らないわね。
天火で焼かれた牡蠣は熱熱で、ルーシーがたっぷり溢れ出ている。
橄欖油が掛けられており、檸檬を搾り、いざ喰らい付く。
流石に一遍に頬張るには勿体無いので、一口ずつ味わってね。
プリッとして、トゥルンとして、嗚呼、旨い!
赤茄子と、ショリショリしたエシャロットの風味も良い。
◎「イイダコのハーブバター焼き エスカルゴ風」八二〇円
…何だか、続々と蠱惑的な料理が遣って来るぞ。
「エスカルゴ風」としてあるが、蝸牛は入って居なくて安心する…。
飯蛸はプリッとコリッとし、食感が中々だ。
味付けは赤茄子のテレレに、合法ハーブのバターと言う組み合わせ。
此のテレレを付属の麺麭に付けて頂けば、其れだけで十分に摘みと成る。
◎「アルマデチリ カベルネ・ソーヴィニヨン」一八八〇円
…おっと、今度は赤葡萄酒に切り替わった様だ。
此方は前回も頂いているが、味は憶えていない…。
新鮮なベリー系の香りの中に、微かにスパイシーさを感じる、
ジャムの様な味わいと言うが、此れ又、僕の馬鹿舌ではね。
赤葡萄酒は大体、炭酸の抜けたファンタとしか形容出来ないので。
◎「特製ビーフシチュー」九九九円
…前回も頂いた此方を、御近所さんもお気に召した様で発注した模様。
赤葡萄酒にはクーニー、其れ位は僕でも分かる。
此の手の煮込み料理は、家では食べられないのでね。
肉の繊維の一本一本に迄、味が染み込んでいる様な感じで、
勿論、繊維に沿っていとも簡単に解れ、此れは旨いわね。
デミグラスソースもコクが有り、あっさりし過ぎず、濃厚で良い。
芽キャベツが春らしさを感じさせる。
…お次もクーニーで。
ビフテキは、そう滅多には頂けないのでね。
一〇〇グラムと量は多くないが、一口でも頂ければ良い。
軟らかくて蕩けると言う肉質ではないが、程好い噛み応えが有り、
牛臭さは無いが、肉を喰らっていると言う風味が感じられる。
テレレはさっぱり目で、筍が入り、此れも又、春仕様に成っている。
◎「魚介類のトマトソース」七六〇円
…さて、〆はゲッティーだ。
前回も頂いた此方の費用対効果が素晴らしかったので、再発注で。
勿論、麺は自家製麺を選択。
デュラムセモリナ粉一〇〇パーセントと言う麺は、モッチリ感が凄いの何の。
此れは癖に成る。
具も海老、烏賊、浅蜊と入り、都内ならば優に一〇〇〇円超えだろう。
◎「カルボナーラ」七六〇円
…もう一品はクリーム系を。
然し、此方の此の麺でなら頂いてみたい。
ベーコンと新玉葱が入り、濃厚なテレレに、モッチリとした麺の組み合わせ。
口の周りが汚れるのを気にせず、一心不乱に黙々と頂きたい。
此の後は拙宅に雪崩れ込み、日本酒をしこたま呑み、深夜迄二次会…。