◆「博多 一風堂」【本厚木】
◎「博多細つけ麺」七八〇円
…金曜日。
前日の木曜日に続き、此の日もBOOK厚木へと仕事に向かう。
結構な頻度で、BOOK厚木へと来ており、前日の木曜日も御多分に洩れず、
「横浜家系ラーメン 壱七家」で「ラーメン」+「のり」を頂いたが、
此の日は趣きを変え、何を今更、と言う気がするが、今や、海外にも進出し、
大きなラーメンチェーン店へと成長した此方へ御邪魔してみる。
前回、此方のチェーンのラーメンを頂いたのは、優に一〇年前を超えていよう。
何処で頂いたかさえも思い出せないが、其れだけ、回避していたと言う事か…。
そんな此方に足を向かせたのは、夏季限定のつけ麺が有ると言うからだ。
つけ麺だけなら珍しくもないし、食傷気味だが、つけ汁は豚骨スープのみ、
麺は極細麺と言う組み合わせに惹かれてしまい、いざ入店。
空席も有り、カウンター席に通され、メニューを眺める。
通常の「白丸元味」、「赤丸新味」には目も呉れず、限定メニューを発注。
辛味噌を付けるか如何かを訊かれ、折角なので御願いしてみる。
冷水を呷り、出来上がりをヂッと待とう。
然し、博多ラーメンなので、麺の茹で時間が短い為、大して待たずに出て来る。
つけ汁、麺、そして、件の辛味噌が小皿で提供される。
白濁したつけ汁の表面には、黄色い液体が掛かっており、何でも橄欖油らしい。
此れは益々、気に成るわぃ。
いざ、極細の麺を手繰り、つけ汁にドヴンと浸して啜る。
つけ汁の基本は、此方の売りである「博多絹ごしとんこつスープ」。
能書きとしては、さらりとしているのに、濃厚で高級感の有る旨味で、
博多豚骨ラーメンの伝統的な製法を踏襲し乍ら、独自の「熟かさね製法」で、
味に何層もの深味を実現し、特注のスープ釜でたっぷりと十八時間炊き、
更に丸一日、低温熟成させて仕上げ、丸で絹の様に滑らかで、
円やかな味わいの豚骨スープと言う、堂々たる謳い文句だ。
昔に頂いた時よりも、濃厚さを感じ、此れならば、濃厚民族でも満足行く濃さ。
橄欖油の香りが鼻腔を駆け抜け、洋風な感じも、時折、連れて来る印象。
橄欖油のみならず、阿利襪の実が入っているのは、個人的には要らないかな…。
麺は、冷水できっちりと〆られて、喉越し、食感、歯応え、何れも秀逸。
此の粉は、力強い腰を生み出す強力粉を中心に、数種類の小麦を独自に配合、
更に旨味の強い二等粉を敢えて合わせ、福岡県産ラーメン専用小麦である、
「ラー麦」を加えており、もっちり心地好い噛み応えと、
サクっと軽い歯切れの良さ、滑らかな喉越し、最後に香り立つ小麦本来の風味、
此れ等を実現する、「一風堂」独自の小麦粉らしいが、何のこっちゃ。
そして、此方の麺には、「白丸元味」用の「丸刃麺線二十六番」と、
「赤丸新味」用の「丸刃麺線二十二番」と言うのが有るらしいが、
此のつけ麺の麺は、何方なのかの判別は出来る訳も無いが、
低加水麺と言う点では、「丸刃麺線二十二番」なのかしらと推察してみる。
さて、中盤から、小皿の辛味噌を麺に塗して頂いてみる。
辛味噌に数種類の辛味香辛料を混ぜ合わせた特製の物と言うが、此れが良い。
辛いのが駄目なのだが、心地好い辛さで、味がピリッと引き締まると言うか、
辛さの中に旨味が有り、後を引く、病み付きに成る感じで、此れは良いな。
具は刻み叉焼、阿利襪の実、葱のみ。
此方の叉焼も二種類有る様で、ことこと、とろとろ、じっくりと炊き込む事で、
継ぎ足し乍ら守り続ける秘伝の醤油ダレを芯迄染み込ませ、
此れが「一風堂」が独自に編み出した「かさね炊き製法」との事で、
更に真空低温熟成で味を落ち着かせると共に、豚肉本来の旨味を凝縮させ、
噛み締める程に味わい深い「王道の肩」と、トロトロ感が堪らない、
「王道のバラ」の二つらしいが、此れ又、何方かと言う判別は無理!
最後は、旨味の凝縮されたつけ汁をグイッと呷り、コラーゲンを摂取。
恐らく、一〇年以上振りに御邪魔したが、偶には新たな発見も有って良いな。