◆「天下一品」【大宮】
…昨晩。
遂に今週末から、世間様は夏休み気分で浮かれやがって、こちとら、
蟹工船に乗船する過酷な苦役の毎日に突入し、心身を擦り減らす事は確定。
行き成り、土曜日から労働し、週末もへったくれも無く、早くも日焼けする…。
昨日は六時起きで役務に向かい、二十二時過ぎ迄の激務に襤褸雑巾の様。
今年一番疲労したと言って良いかも知れない。
翌日は何とか一日だけ休日を確保したので、何とか打ち上げをしたいと、
二十三時四十五分に大宮駅に到着し、ぶらり途中下車の旅に出る。
時間も時間で、ゆっくり呑んでも居られないし、日中、何も食べていないので、
空腹感も何とかしたいと、其の両方を満たせる此方に飛び込む。
…カウンター席に通され、取りも直さず、ルービーを発注。
朝御飯以来の真面な味の付いた物を体内に摂り入れる。
喉を大きく開き、黄金色のプリン体を流し込む。
嗚呼、過酷な労働の後の御褒美だ。
爽やかで切れの有る炭酸が喉を突き刺し、思わず唸ってしまいそうだ。
と来れば、必然的に此れを発注してしまう。
勿論、此方の叉焼は、「ラーメン 二郎」や「ジャンプ」の其れとは劣り、
絶品ではないのは十分に心得ているが、今の僕には、此れが必要なのだ。
御褒美とヴィタミンＢ壱が。
其処其処の叉焼に、どっさりの九条葱に、少し酸味の効いた醤油のテレレ。
二杯目のルービーは「クリアアサヒ」に格下げで。
…終電車の都合も有るので、悠長に呑んだくれても居られないので、
とっととメンラーを発注してしまおう。
ルービーと叉焼で空腹感も落ち着いたので、「こってり中華そば（並）」でも、
まあ、何とか我慢出来るかなと思ったが、其処は矢張り、堪え性の無い馬鹿。
気付けば「大」を発注している。
大は小を兼ねるし、後は寝るだけだし良かろうと、こう言う時だけ前向き…。
何時もより大き目の丼が運ばれて来る。
矢も楯も堪らず、蓮華でプースーを啜ろう。
相変わらず、此のとろみにはＷＡＫＵＷＡＫＵしてしまう。
鶏ガラの旨味がたっぷりと凝縮されたプースーは、滋味に富んだ感じがする。
唇にベトッと纏わり付く様な、ボテッとしつつも重さを感じさせない、
滑らかで、円やかで、何とも言えない、唯一無二の味わいだ。
麺は加水率高目のツルツルした物だが、べっとりとプースーが絡み付き、
茹で加減云々は、最早、如何でも良いが、此のプースーに良く合う。
叉焼はムチッと、麺麻はポリポリとした食感。
最後は滋味を余す事無く、全部飲み干し、何とか終電車でぐったりと帰宅する。
