◆「志奈そば 田なか」【向原】
◎「得のせ田なか 鯵ニボそば醤油」九五〇円
…月曜日。
最早、所定の休日日数を消化しようなんて考えるのは諦めた。
何だろう。
自営業で週一日の定休日、其れ位の感覚で居た方が良いのかも知れない。
週に一度でも休めれば御の字と考える様にしている。
身を粉にして労働して、其れで心身が壊れれば、ハイ左様ならだろう。
さて、話は遡って月曜日。
組成に伴い、漁協の所属が変わる為、引っ越しをせねば成らない。
雨の中、池袋の街を、台車に荷物を積んでゴロゴロと移動する。
昼前に新しい漁協に異動し、借りて来た猫の様に、居心地の悪さを覚えつつ、
十三時過ぎに一先ず、昼御飯を摂りに、外気を吸いに出る。
池袋と言っても、大塚に近いので、土地勘も余り無く、食べる場所にも困る。
文明の利器・携帯電話で、先ずはラーメン店探し。
此処からならば、何度も訪れている「麺場 七人の侍」も近いのだが、
新たに店を開拓してみたいと思った所に、此方が引っ掛かる。
名前は聞いた事が有ったが、未訪なので行ってみよう。
東池袋の路地を彷徨い、何とか辿り着く。
行列でも出来ているかと思ったが、空席も有る様だ。
佇んでいると、中から女店員氏が扉を開けて呉れ、中へと入る。
先ずは券売機で食券を購入するが、此方は珍しい、鯵煮干しのラーメン。
初めてなので奮発して、全ての具が乗った「得のせ」にしてみよう。
吉と出るか、凶と出るか…。
カウンター席に腰掛ければ、女性一人客も居り、人気店なのが頷ける。
流行りの小洒落た店と言った雰囲気だ。
冷水を呷り、疲労に打ちひしがれていると、一〇分程でラーメン配膳。
早速、蓮華を手に取り、プースーから啜ろう。
おっ、とろみが有るぞ。
意外にも、餡掛けの様なとろみで驚くが、味わいはと言うと、
動物系のガラを一切使わず、魚介類のみを使用したと言うが、
とろみが有る所為か、動物系が入っているかの様な力強さとコクも有り、
煮干しとは違った、上品な風味の鯵煮干しがガツンと来る。
其れで居て、優しい味わいがじんわりと身体に染み渡り、一気に魅了される。
麺を引っ張り上げれば、細麺で、加水率は低目で、ツルツルし過ぎず、
とろみの有るプースーとの絡み、持ち上げも良く、しなやかさも兼ね備える。
噛むと、バツっと千切れる食感も好み。
さて、叉焼はと言うと、バラ肉の薄切りだが、厚味は五ミリメートル程。
赤身はホロっと、脂身はトロっと、鉄板の出来栄えで、味付けも良いが、
気持ち、豚肉の独特の風味が感じられ、駄目ではないが、秀逸と迄は行かない。
他には、麺麻ではなく、山水母が入るのが面白い。
ポリポリと言う歯触りが新鮮で、此れは此れで良いか。
味付け玉子は黄身がねっとりとゼリー状で、半熟具合は素晴らしい。
海苔、唐辛子を塗した白髪葱、三つ葉が入り、綺麗に纏まっている印象。
曜日限定メニューも有る様なので、此れは愉しみが増えたわぃ。
其の前に、漁協に出社出来るか如何かが怪しいが…。
