◆「くり山」【大宮】
…先週月曜日。
偶の休日、一日だけの休日、貴重な休日…。
晩は御近所さんと酒を酌み交わす事に成っており、十九時半の招集を前に、
独り、「大宮酒場 エビス参」で肉刺し的な物とホッピーを堪能し、
すっかり酩酊した所で、今宵の目的地の此方へと向かう。
前々から御邪魔したいと思っていた此方へと、御招待頂き光栄だ。
…此の日の口開けはホッピーだった為、と言うより、最近、外で呑むと、
殆どホッピーから入る為、久し振りに本物の麦酒を頂いてみよう。
普段、家で呑んでいる密造酒の様な似非麦酒とは訳が違う。
黄金色が美しく、苦味も爽快で、冷たくて何とも刺激的で旨い。
御通しはブロッコリー。
…発注権限は御近所さんが握っているので、大人しくして任せる。
最初に遣って来たのは海鞘。
酒の摘みらしくて良いな。
随分と赤々として、何かを髣髴とさせており、卑猥で素敵だ…。
クニュッとした食感で、独特な苦味も少なく食べ易いか。
…「鮨処 いっしん」が閉店して早一ヶ月半。
すっかり寿司、〆鯖を頂く事も無くなり、ぽっかりと心に穴が開いているが、
御近所さんは此の〆鯖が絶品だと薦めて来る。
勿論、「いっしん」の其れと比べられないし、比べられる訳ではないが、
〆具合、塩気、酸味、夫々異なるが、此れは此れで旨い。
…此れ又、御近所さん御薦めの一品らしい。
普段、メンチカツと言う物を滅多に頂かないので、久し振りだ。
ソースをぶっ掛け、箸で千切り、いざ頬張ろう。
シャオっと言う軽い衣の食感の後、迸る肉汁が溢れ、何とも言えない至福。
偶に頂くと旨いもんだな。
辛子とマヨネーズを塗して頂くのも乙で良い。
…我が儘を承知で、発注を願い出る。
如何しても、酒を呑むに当たり、刺身が無いと駄目な口なので。
手頃な刺身三点盛りが有る様なので、此れを御願いする。
構成は間八、鮪、烏賊。
何れも分厚く切られ、食べ出は十分で、此れで六〇〇円なら御得だろう。
シコッとした食感の間八、ねっとりとした鮪、地味な烏賊。
…御近所さんの好物の様だ。
僕は、嫌いではないのだが、自分では頼む事が無いので、
こう言う時でないと頂けないので貴重だ。
限定二、三食の代物の様で、其れこそ貴重品だ。
烏賊が丸々一杯が丸焼きされ、中からは腸が溢れ出し、無残な姿を晒している。
身の香ばしさ、腸の濃厚さが堪らない。
…又しても、出過ぎた真似をして、発注を願い出る。
如何も、歳をしてから、マカロニサラダと言う物に惹かれる。
主役が炭水化物と言う点でも好感が持てる。
ツンと来る辛子の辛さが心地好く、鼻詰まりが治りそうな感じ。
此れは麦酒の摘みに際限無く頂けそうだ。
…冬の味覚、白子が此方でも取り揃えられている。
個人的には白子ポン酢が一番なのだが、先日此方で其れを頂いた御近所さんが、
余り…と低評価だった為、天麩羅へと変更されて発注される。
熱熱の衣の中から、トロンとした嫌らしい、雄の匂いの白濁液が蕩けて出る。
矢張り、冬は旨い物が多くて愉しいわぃ。
…気に成るメニューが有るので発注してみる。
饅なんて、滅多に頂く事は無いのだが、刺身が合わさっている様なので。
我が故郷・深谷では、中学生の給食で「葱饅」が出る程で、
月の献立表を見た時、「呑み屋かよ！」と突っ込んだ程。
此方の「ミックスぬた」は、小鰭、鮪、鮭、蛸、胡瓜、若布が入る。
酢味噌の味も宜しく、中々に旨い。
酒はどれだけ呑んだかは失念したが、此の後、帰宅し、拙宅で又しても、
店屋物のザーピーを発注して呑んだ様な呑まない様な…。
