◆「名代 富士そば」【新橋】
◎「煮干しラーメン」四五〇円
…水曜日。
今週も、やっとこさっとこ、えっちらおっちら、休日に漕ぎ着ける。
昨日、不意に上司から齎された話に、目の前が真っ暗に成り、茫然自失、
虚脱感に見舞われ、一気に気持ちがドーンと陥没し、絶望の淵に立たされる…。
矢張り、今年は本厄で、今迄の苦労、努力は報われないのだなと痛感する。
世の中、上手く行かない事ばかりで、生きる希望を失くす…。
さて、気を取り直して、話は遡って水曜日。
此の日も、朝は池袋に出向き、午後から蟹工船に乗船と言う暮らし。
其の前に昼御飯を摂ろうと思うも、最近は金も無いので、空腹を遣り過ごし、
一〇〇円の麺麭一つで我慢したりしているが、偶には贅沢をしてみよう。
新橋に移動し、一部で話題と成っている此れを頂きに。
「富士そば」で出す「煮干しラーメン」の費用対効果が良いと言う。
今日日、高級料理と成ったラーメンが、四五〇円で頂けるのは嬉しい。
貧乏を拗らせているので、此れは是非、頂いてみねば成るまい。
店内に入れば、何時も通り、演歌が流れている。
券売機で「煮干しラーメン/味噌ラーメン」の食券を購入し、
「煮干しで」と告げ、食券を手渡し、冷水を汲んで着席。
二、三分で出来上がり、病院で薬を貰う様に呼ばれて取りに行く。
まあ、見た目は仕方無いな。
四五〇円じゃ、学生食堂のラーメンの様な佇まいだが、文句は言えない。
蓮華を手に取り、先ずはプースーから啜ろう。
ガツンと来る様な煮干しの衝撃は勿論無いが、煮干しの風味は感じられ、
全体的な味わいは円やかで、甘味も有り、出汁が効いている感じがする。
此れは、思いの外、良いかも知れない。
「出汁と風味が決め手」と謳っているのも、強ち、嘘ではない。
麺は勿論、茹で麺を湯通ししただけだろうが、プリプリした食感が残っている。
緩い縮れが効いており、中華麺と言った感じの麺だが、存在感は控え目に、
プースーを引き立てる役割と言った感じで、出しゃばった感じは無い。
具は、パサパサの叉焼、茹で玉子半個、麺麻、若布、葱、そして、
落語「時そば」宜しく、夜空に翳せば月が透けて見えそうな鳴門が入る。
プースーは全て飲み干し、プリン体を漏れ無く摂取し、一定の満足感を得る。
此れは此れで良いなと言い聞かせ乍ら、蟹工船乗船の為、波止場に向かう…。