◆「煮干中華そば専門 煮干丸」【大宮】
…生きるって、大変だ。
色々な事が起こるし、苦難や困難な事の方が遥かに多く、
悲しく、悔しく、努力の報われない事も多々有り、生きているのが嫌に成る…。
今迄の此の苦労は何だったのだろうかと、涙が溢れて来る。
昨日からずっと溜め息ばかりで、此の先、御先真っ暗の真っ暗闇。
此れから益々胃の痛む思いをせねば成らないと思うと、遣り切れない思いだ。
眠れぬ夜を過ごし、今日は休日だが、七時には目が覚めてしまう。
朝っぱらから憂鬱な気持ちを抱え、午前中は何の遣る気も起こらずぼんやり。
午後からの野暮用の為、正午前に家を出て、大宮駅に降り立つ。
気分は晴れないが、昼御飯を摂ろうと、正月に新規開店した此方へ。
川越に在る「中村屋総本山」の二号店と言い、煮干し専門店。
最近はすっかり煮干しに御執心で、気付けば、此れで三本連続で煮干し…。
…ビルヂングの一階には呼び込みが居るも、こちとら、最初から其のつもり。
階段で二階に上がると、踊り場に券売機が設えられ、先ずは食券を購入。
何だか、昼間っから呑みたい気分なので、「瓶ビール」の釦を押す。
尤も、何でも無い時でも昼間っから呑んでいるが…。
ラーメンの食券も購入し、店内に入り、窓側のカウンター席に腰掛け、
食券を手渡し、程無くして瓶麦酒と冷えたコップを受け取る。
手酌でグイッと呷り、嫌な事を呑み干す様に押し流す。
遅れて摘みの麺麻と叉焼の和え物が運ばれ、摘み乍ら一杯飲る。
良く冷えていて実に旨いが、現実は変わらない…。
…ラーメンはと言うと、「煮干そば」、「煮干そば（白醤油）」と、
此の「濃厚煮干そば」の三本立てで、濃厚民族なので此れに決まり。
そして、むしゃくしゃしたら叉焼を増してしまう悪い癖…。
麦酒も残り四分の一に成った所で、煮干しの馨しい香りを漂わせての御出座し。
塞ぎ勝ちな心だが、思わず、此のセメント色のプースーに心躍ってしまう。
もう、泥と言うか、汚泥と言うか、へどろと言うか、良いわね。
先ずは蓮華でプースーから啜ろう。
とろみの有る、粘度やや高目のプースーは、其の物ずばり煮干し。
ガツンとパンチの効いた煮干しの風味が鼻腔を駆け抜け、舌を撃ち抜く。
煮干しの蘞みや苦味、雑味が良い方向に活かされており、此れだと膝を打つ。
此れぞ、僕が求めていた理想の煮干しラーメン。
塩気も強過ぎず、円やかさも感じられ、此れは理想形だ。
麺はと言うと、自家製麺を謳っており、通常、硬めで提供していると言う。
加水率低目の中細麺は、噛むとバツっと千切れ、腰が効いていて実に旨い。
粉の風味も感じられ、煮干しのプースーとの絡み、持ち上げも良い。
「バリカタ」でも対応して呉れると言うが、其れも気に成るな。
具の叉焼は見るからにホロホロで、実際に頂けば、赤身は噛み応えも有りつつ、
ホロっと繊維に沿って解れる軟らかさが有り、脂身はトロントロンに蕩ける。
実に素晴らしく、「ジャンプ」には及ばないが、此れは、準「ネ申月豕」認定！
他にはたっぷりの葱、刻み玉葱、「高級黒バラ海苔」が入る。
後半、卓上に置かれた、「ＤＡＮＧＥＲ」と記された「内臓オイル」を投入。
煮干しの内臓と大蒜を合わせた物との事で、苦味が増し、パンチが更に加わる。
最後はプースーも全て飲み干し、プリン体も漏れ無く摂取する駄目人間…。
