◆「九州じゃんがら 原宿1F店」【原宿】
…土曜日。
つい此の間、マッカーサーが来たと思ったら、もう卯月だ。
此の週末は三連休を宛がっているので、心成しか、気持ちは上向きだ。
然し、全般的に気分は塞ぎ勝ちで、心は木曜日にもっきりと折られた儘だ…。
偶の休日、伸びに伸び切った頭髪を切り落としに出掛けよう。
十四時半からの予約を前に、昼御飯をちょいと済ませて置きたい。
目的地は、高田馬場の「らーめん よし丸」。
鶴ヶ島に在った時分に何度も通ったが、移転後は三度しか御邪魔出来ていない。
二〇一六年一〇月十五日以来、五ヶ月半振りに向かえば、じぇじぇじぇ!
まさかの「臨時休業」の貼り紙に、思わず其の場で膝から崩れ落ちそうに…。
家を出る直前に呟きを確認するも、そんな事は呟かれておらず、
如何言う訳だか、こう言う悲運や不幸に見舞われ勝ちで、駄目な時は駄目だな。
すっかり意気消沈してしまい、如何でも良くなってしまい、取り敢えず原宿へ。
もう、何処でも構わないので、すっかり観光地化した此方へ。
何時もは正午前後なので、大行列で断念する事が多いが、此の日は十三時過ぎ。
何時もより行列も少なく、最後尾に接続し、五分程で店内に入り、
レジで先払いをし、食券を受け取り、席が空くのを待ち、食券回収…。
◎「生ビール(中)」五八〇円
…一〇分弱で着席し、店員氏が麦酒を注ぐも、混雑で暫く放置されてやきもき。
だって、厨房内の見える場所に、其の儘にされた麦酒が見えるんだもの…。
グッと堪え、店員氏が気付く様にと、精一杯の超能力を送り、
何とか気付かれ、待望の麦酒と御対面し、グイッと呷る。
堀江淳なら、彼奴を呑み干すのだろうが、僕は憂さを呑み干す…。
一息吐いた所で、直ぐにラーメンが運ばれて来る。
もう一寸、ゆっくりした後でも良いのだが、厨房内の都合も承知している。
◎「ぼんしゃん全部入り」一一八〇円+「替え玉」一五〇円
…発注したラーメンは、此方では此れと決めている。
彼是、十八年位前に、初めて此方で「ぼんしゃん」を頂いて以来、
「じゃんがら」ではなく、「ぼんしゃん」に御執心だ。
東の横綱が、東京でも受け入れられる様に臭味を抑えた「じゃんがら」なら、
麦酒を其処其処に、先ずはプースーから啜る。
昔はもっと獣臭が漂っていた気がするが、今や、物足り無さは否めない。
然し、コラーゲンたっぷりで、プースーの表面が外気に触れて冷めると、
膜が張って行くのが目に見え、コッテリ感が窺える。
「よかろうもん」や「田中商店」、「ぼたん」の様な野性味溢れる、
養豚場の様な家畜臭が濛々と立ち上るラーメンに慣れてしまったからな…。
麺はと言うと、麦酒に夢中に成っていた時間の所為か、随分と軟らか目。
前回も軟らかかったので、硬さの指定をしないと軟らかいのだろう。
するすると入って行き、しなやかな印象が有り、モソモソ感は無い。
具は角肉、味付け玉子、明太子、木耳、叉焼、葱。
何れも、麦酒の摘みとして成立するが、大体、明太子を箸で突き、
麦酒を呑むと言う繰り返し作業が好きだったりする。
終盤、卓上の辛子高菜、紅生姜、当たり胡麻を投入して味を変える。
そして、麺を食べ終え、替え玉の食券を提示し、「粉落としで」と告げる。
麺上げ笊で直接丼に入れられた麺は、粉っぽさ、ポキポキした食感は有るが、
「よかろうもん」の「スーパー粉落とし」の様な衝撃は無い。
腹を壊しそうな、生の麺の様な感覚が堪らないのだが…。
最後はプースーを飲み干し、中華人民共和国人に混じって退店する。