続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」【新橋】

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◆「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」【新橋】

 ◎「黒カレー肉そば(大)」一〇〇〇円

 …木曜日。
  気付けば、三月も終わろうとしている。
  何だか、毎日、気が滅入る事が多く、脆弱な心はいとも簡単にもっきり折れる。
  怒られる事ばかりで、自分の能力の低さは心得ており、自分が全て悪いのだが、
  ガツンと言われると、矢張り、ぐしゃっと音を立てて、心が拉げる…。
  生きる事に向いていないと、都度、思い知らされる。
  愈愈、駄目かも分からんね…。
  さて、話は遡って三月三〇日。
  此の日も朝は池袋に出向き、心を捻挫し、午後から出掛ける暮らし。
  すっかり、食欲も殺がれてしまい、生きる気力を喪失してしまったが、
  こう言う時こそ、心に栄養を呉れて遣ろうと、確りと昼御飯を頂こう。
  乗り換えのバシシンで、懸案の此方に、三月一日以来、一ヶ月振りの再訪。
  次は此れを頂こうと宿題にしていた物が有る。
  カレー界の「ラーメン 二郎」解釈の「カレーは飲み物。」の姉妹店で、
  同じく新橋に在る「港屋」を模した蕎麦屋である此方で、
  「カレーは飲み物。」と蕎麦の組み合わせを頂かずには居られなくて。
  十四時過ぎに到着し、券売機で「黒カレー肉そば」の釦を、
  麺の量が同一価格なので、「大」にしてみよう。
  食券を提示し、カウンター席は満席の為、テーブル席に相席する様に促される。
  先客の御仁に詫びを入れ、着席し、再度、冷水を汲みに席を立つ。
  厨房内は男性二名、女性一名体制で、ハイ・ファイ・セットと同じ編成。
  冷水を呷り、一足先に蕎麦を手繰る相席の先客の啜る音を聞き乍ら待つ。
  一〇分程で、女性店員氏が盆に乗せて蕎麦を配膳して呉れる。
  いやはや、何とも、暴力的で蠱惑的な佇まいが、傷心の僕を癒して呉れる。
  こう成ったら、食欲が無いとか言っている場合ではないと切り替える。
  蕎麦を手繰り、カレーに浸して、いざ啜る。
  至極当たり前なのだが、一口目の感想は、「おおっ!カレーだ!」。
  正月に「カレーは飲み物。」でも頂いた「黒い肉カレー」其の物だ。
  其処に、「肉そば」の甘辛く煮込まれた牛肉が入り、上には生クリーム、
  粉チーズが塗されており、欧風な感じも見て取れる。
  蕎麦はと言うと、前回の「とろろ肉そば」で衝撃を受けたが、
  平壌冷麺を思わせる強烈な腰と弾力が印象的だったが、今回はそうでもないか。
  茹で加減、調理担当の違いからか、然程、歯を押し返す様な腰は影を潜める。
  蕎麦には天かす、白胡麻、刻み海苔が纏わり付き、其れがカレーと融合する。
  何とも不思議な感覚、味わいで、合うんだか、合わないんだか、
  僕の中では最後迄、結論が出なかった…。
  中盤、卓上の無料の生玉子を割り入れ、蕎麦と白身を絡ませ乍ら、
  ドゥルドゥルさせ、思わずニヤッとしてしまう。
  旨いは旨いのだが、飽きが来てしまう感覚は否めないか。
  味付け玉子は半熟のプルンとした物で、黄身が濃厚に蕩ける。
  生玉子と味付け玉子の二重の悦びに、傷んだ心が少しばかり回復。
  最後はつけ汁、否、カレールウを飲み干し、満腹で店を出る。
  個人的には、此方では矢張り、辣油の入った蕎麦を頂くのが妥当か。
  何せ、「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」だから…。