続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「ヘッドフォンコンサート」/大滝詠一

http://www.tokyovalley.com/yahoo_blog/article/article.php
夢に迄見た、大滝詠一氏の伝説の「ヘッドフォンコンサート」の音源を、
ひょんな事から手に入れ、大興奮し乍ら夜中に聴いた。
大概、世を儚んでいる僕だが、流石に此ればかりは生きていて良かったと思った…。

一九八一年十二月三日、渋谷公会堂で行われた世界初の試み「ヘッドフォンコンサート」。
客席全てにFMウォークマンが備え付けられ、観客は持参したヘッドフォンを差し込んで聴く。
PAとスピーカーを通さず、館内にFM電波を飛ばし、其れを受信する。
周波数は78MHz、 電波管理法に基づき半径一〇〇メートルの範囲に限られていたが、
ラジカセ持参で会場の外にも客が集まり、場外向けのFM電波を録音出来たりもしたそう。
目の前で演奏される音を、別室でエンジニアの吉田 保が調整し、
FM電波を介してクリアな音で聴けるとは何とも羨ましい…。

コンサートは、大滝詠一氏自ら「ワン、トゥー、ワン、トゥー、スリー、フォー」とカウントし、
「FUN×4」でスタート。
此の後の全曲、氏のカウント入りなのが嬉しい。
歌声は、力が抜けていると言うか、可也軽い感じ。
只でさえ、レコードの歌声が、鼻から抜けて湯船で歌っている感じと揶揄される事が多いのに、
更に、湯船に浸かって頭に手拭い迄載せている様な感じが何とも堪らない…。
A LONG VACATION」の楽曲が続いた後の「青空のように」が最高。
「雪やコンコン」や、後の「君は天然色」に繋がるサウンドの実験作として作った曲が、
こうして、「君は天然色」が作られた後に再現されているのを聴けるとは感慨も一入だ。
第二部の冒頭では、此れ又、世界初の試みで、ステージでミックスダウンの実演を行う。
24チャンネルのコンソールを持ち込んで「恋はメレンゲ」を使って実演。
細野晴臣のベース、林 立夫のドラム、松任谷正隆のピアノ、鈴木 茂のギター、4リズムのトラックを
解説し乍ら出し入れし、コーラス、バンジョー、ピアニカ、ギロ等を重ねて行き、
エコーを加えて行く過程を披露し、更に、即興でミックスダウンした
「想い出は霧の中」をバックに歌うと言う、マニア垂涎モノ…。
此のコンサートの一番の出色と言えば、「今日歌ったら、もう一生二度と歌う事は無いだろう」と、
歌い始めた松田聖子に提供した「風立ちぬ」。
此れを聴けた悦びで、夜中に独りで翻筋斗打って、身悶えし乍ら興奮した。
スペシャルゲストとして、NIAGARA TRIANGLEの佐野元春杉 真理が登場。
佐野元春のバックでは伊藤銀次がギターを弾き、観客からは大歓声。
エンディングが近くなると、メンバー紹介。
レコーディングメンバーをそっくり其の儘揃えた様な超豪華メンバー。
ドラム、ベース、パーカッション、ピアノ、キーボード、アコースティックギターエレキギター
順番に各自のパートをプレイし、最後に全楽器が揃って紡ぎ出されたサウンドは「君は天然色」。
もう、座り小便して馬鹿に成って、明後日の方向に飛んで行きそうだ…。
氏が、三連のリズムを外し「三連はリズムが難しい…」と歌の途中で言っている通り、
スタジオで緻密に作られたサウンドをステージで、レコードと遜色無く再現出来る彼等は凄い!
コンサート本編の最後を飾るのは「さらばシベリア鉄道」。
歌終わりのエンディングでは、リードギター村松邦男のギターが唸る唸る。
アンコールは、再度、佐野元春、杉 真理が登場しての「A面で恋をして」。
もう、お腹一杯で感涙に咽び泣きそうだ…。

★「HEADPHONE CONCERT」(一九八一年十二月三日)/大滝詠一
(第1部)
 1.FUN×4
 2.Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語
 3.Velvet Motel
 4.スピーチ・バルーン
 5.外はいい天気だよ
 6.青空のように
 7.カナリア諸島にて
 8.指切り
 9.雨のウェンズデイ
10.恋するカレン
11.ナイアガラ・ムーンがまた輝けば
(第2部)
12.恋はメレンゲ(ミックスダウン実演)
13.想い出は霧の中(ミックスダウン実演、歌のみライヴ)
14.CONFIDENTIAL
15.BLUE VELVET
16.風立ちぬ
17.街で見かけた君(杉 真理)
18.SOMEDAY(佐野元春
19.A面で恋をして(NIAGARA TRIANGLE)
20.君は天然色
21.さらばシベリア鉄道
EC.A面で恋をして(NIAGARA TRIANGLE)

Dr:島村英二、Ba:長岡道夫、Eg:鈴木 茂村松邦男、Ag:吉川忠英安田裕美
Key:国吉良一難波弘之、Per:鳴島英治、川瀬正人、Cho:伊集加代子鈴木宏子、和田夏代子
ゲストミュージシャン(佐野元春のステージ):伊藤銀次、ダディ柴田