続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「天国のキッス」/松田聖子

午前中、南平で仕事を熟し、八王子で昼御飯を摂った後、福井へと移動を開始する。
JR横浜線で新横浜駅へと行き、十四時五十二分発「ひかり五一七号」に乗車し、米原駅へ。
其処から在来線に乗り換え、北陸線特別急行しらさぎ十一号」に揺られる。
在来線の特別急行に乗るなんて何時以来だろうと考えても、思考が遡れない程に年老いてしまった様だ。
車中、パーソナルコンピューターで仕事を少しし、充電が切れる予告が見え、電源を落とす。
日曜日から読み始めたハードカヴァーの本も、米原駅到着寸前に読み終えてしまい、
心の弱った中年は、手持ち無沙汰で、見慣れない車窓を眺めるより他無かった…。
不意に鞄の中からi-Podを取り出し、耳元を賑わせてみる。
始めはシャッフル再生していたが、車窓の風景と何の脈絡も感じられないのが嫌に成り、自ら選曲を始める。
北陸地方と言う短絡的な印象から、何だか物悲しさを感じてしまい、
少し気が早いとは感じたものの、此処数日の朝晩の涼しさから、「秋の歌」のプレイリストを探る。
と成れば、迷う事無く再生するのは「風立ちぬ」。
一通り聴いた後、同じく松田聖子と言う理由から、土曜日に観たテレヴィヂョンを思い出す。
日本放送協会教育テレヴィヂョンの「佐野元春のザ・ソングライターズ」。
其の番組を観たのは初めてだったが、ゲストが松本 隆と言う理由からだった。
言わずもがなだが、はっぴいえんどのドラマーとしてデヴューの後、
商業作詞家として大成功し、昭和を代表する作詞家の一人で、松田聖子プロジェクトの首謀者の一人。
丁度、其の番組の回は、松本 隆の二夜目で、松田聖子プロジェクトの話が主だった。
其の中で、松本 隆、自らが認める、聖子作品の傑作は「天国のキッス」だと言うのが驚きだった。
僕の様な「ナイアガラー」からすれば、「風立ちぬ」と言って欲しいが、
世間的な評価を鑑みると、「赤いスイートピー」かなと思いきや、「天国のキッス」…。
作曲に、はっぴいえんど時代の盟友・細野晴臣を初めて迎えた作品。
当時の細野晴臣は、御存知の通り、YMOとして一斉風靡し、テクノポップの祖の様な存在。
他の歌手への提供作品として、「ハイスクール・ララバイ」や「風の谷のナウシカ」等が有ったが、
時代を牽引する様な、超人気アイドルが歌う歌に、果たして「テクノ歌謡」が合うのか…。
然し、心配を他所に、松田聖子史上、「最大の実験作」とも言われる「天国のキッス」が完成する。
細野晴臣の作る打ち込みの曲に、如何言う訳だか、松田聖子の歌声が違和感無く乗る。
其れは、松田聖子の表現力の豊かさがそうさせるのかも知れないが、此れが頗る良い。
此の曲は、今聴いても、極めて心地好く、コマーシャルで深田恭子がカヴァーするのも頷ける。



  作詞:松本 隆 作曲:細野晴臣

Kiss in blue heaven もっと遠くに
Kiss in blue heaven 連れていって
ねえ DARLIN’

ビーズの波を空に飛ばして
泳げない振りわざとしたのよ
ちょっとからかうはずだったのに
抱きしめられて気が遠くなる

Kiss in blue heaven 雲の帆船
Kiss in blue heaven 乗せて行って
ねえ DARLIN’ 

おしえて ここは何処?
私生きているの?
天国に手が届きそうな
青い椰子の島

愛してるって言わせたいから
瞳をじっと見つめたりして
誘惑されるポーズの裏で
誘惑しているちょっと悪い子

Kiss in blue heaven もっと遠くに
Kiss in blue heaven 連れていって
ねえ DARLIN’

おしえて ここは何処?
海の底かしら?
熱帯の花が招いている
二人だけの島

Kiss in blue heaven もっと遠くに
Kiss in blue heaven 連れていって
ねえ DARLIN’