「鮨処いっしん」【日進】 - 続・ＲＯＣＫ‘Ｎ’ＲＯＬＬ退屈男

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◆「鮨処いっしん」【日進】

　…昨日。
　　世間様は五連休とやらで浮かれ気分だが、こちとら三連休。
　　然も、疲労の蓄積で腰の痛みに魘され、朝は八時に目が覚めてしまう。
　　寝過ぎも腰に負担が掛かる為、早々に起き、風呂に入り、洗濯物を遣っ付け、
　　「ぶらり途中下車の旅」をぼんやり見詰めて時間を過ごす…。
　　午後、木曜日に紛失したコンタクトレンズの作り替えに出掛ける為、痛い腰を摩って外出。
　　昼御飯は此方でと決めていた…。

　◎「生ビール（中）」五八〇円
　…十二時半に店に入ると、如何やら、此の日、最初の客の様子。
　　マスターは奥で仕込みの最中の様で、ママさんから「御茶と麦酒、どちらですか？」と訊かれ、
　　其りゃ、勿論、黄金色の液体、麦酒を御願いする。
　　背徳の昼酒、此れが何とも堪らない。
　　連休の初日らしい過ごし方だ…。

　◎「あんこう肝」五一〇円
　…おぉっ！早くも「あんこう肝」の文字が、壁に貼り出されたメニューに見られる。
　　漸く、此の季節が訪れたか…。
　　此方で頂く酒の摘みとしては、真鱈の白子と双璧を為す逸品。
　　例の如く、ポン酢をなみなみと浴びせ掛け、数ヶ月振りに頂く。
　　適度な固さと、蕩ける様な柔らかさを併せ持つ絶妙な感じ。
　　コッテリと濃厚な味わいが、舌に纏わり付く様な感じで、麦酒と実に良く合う。
　　目には目を、プリン体にはプリン体を…。
　　残ったポン酢は全て飲み干し、此れから訪れる冬に思いを馳せてみる…。

　◎「味噌汁」無料
　…昼間は無料で味噌汁がサーヴィスされる。
　　前回は甘海老が入った物だったが、今回は魚の目玉の部位が入った粗汁。
　　皮の感じから、間八か若鰤だろうと思われる。
　　ゼラチン質のプルプルとした部位をしっかりと摂取し、素肌美人に成ってみる…。

　◎「みる貝」無料
　…不意にマスターが、海松貝好きの僕に話し掛けて来る。
　　普段、此方で何時も頂いているのは「白みる」と市場で呼ばれている物らしいが、
　　昔は「黒みる」と言う物が主流で、現在は其れが稀少に成っているらしい。
　　そして、今回、其の「黒みる」を仕入れたらしく、貝フェチの僕に振舞って呉れる。
　　貝紐、「みる舌」の部位を出して呉れ、湯掻いた物らしく、キュッと言う歯応え。
　　仄かな甘味がじんわりと感じられる。

　◎「小鰭」一六〇円
　…此処最近は「新子」が入荷しているので、頂ける時にしっかりと頂いておく。
　　何時もは一貫に二枚付けだが、今回は身が小さい為か、豪勢に三枚付け！
　　三枚重ねで新子が載っているのは、中々、壮観だ…。
　　柔らかな口当たりの若々しい新子は、青い感じが残るが、其れが又宜しい。
　　酸味が疲れた身体に妙に心地好い。

　◎「〆さば」二三〇円
　…マスターが「今日の鯖は五つ星だよ」と絶賛し、松輪の鯖と言っても分からないのではと言う。
　　何でも、市場では産地が「大阪」と記されていたらしい。
　　大阪のどの辺りで獲れるのだろうと悩んだが、淡路島に近い辺りだろうと勝手に結論付ける…。
　　マスターの言葉通り、真冬でもない此の時期に、此の鯖は凄い！
　　口に入れるなり、しっとりとした口当たりで、吃驚するのは其の甘さ。
　　脂がしっかりと載っているので、其の分、甘味が強く感じられる。
　　身も、うっすらと桃色で、松輪鯖と似ている。

　◎「鰯」一六〇円
　…今回の鰯は、身がパッツパツとの事。
　　ムッチムチの鰯なんぞ、堪らない…。
　　トロンとした舌触りだが、青魚の風味がしっかりと味わえる。
　　光物の旨さが堪能出来る見事な鰯だ。

　◎「生サンマ」二三〇円
　…居酒屋へ行けば、何処も彼処も秋刀魚の塩焼きを置いている位に秋刀魚が豊漁なのだろう。
　　時期的にも、脂が十分に載っている頃合いなのだが、生の秋刀魚も実に旨い。
　　トローッと濃厚な味わいが口一杯に拡がり、身体も蕩けそう…。
　　身が濃い桃色をしており、脂の載りが見ただけでも分かる。