続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「元祖 豚丼のぱんちょう」【帯広】

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◆「元祖 豚丼のぱんちょう」【帯広】

 ◎「豚丼(竹)」九五〇円+「なめこ椀」二〇〇円

 …帯広滞在二日目。
  昨晩、とかち帯広空港に降り立った際は、気温が一〇度と言うのに驚いたが、
  今朝は抜ける様な青空が拡がり、頗る天気が宜しい。
  宿を一〇時前にチェックアウトせねばならず、今日、帯広入りする他の同僚の方々の到着迄、
  何処で時間を潰そうかと散々思案し、帯広駅の待合室で読書に耽る…。
  十一時半過ぎに、外へ出、駅前のベンチに腰を下ろし、光合成をする。
  寒暖計は二十四度を示しており、昨晩との気温差は十四度!
  此の環境の変化に、コアラだったら糞が出なくなってしまい、肛門を揉んでやらねばなるまい…。
  午後からの仕事に備え、昼御飯を摂らねばならない。
  今回の帯広での個人的な重要任務は、名物の「豚丼」を喰らう事。
  死ぬ思いで大嫌いな飛行機に乗っけられて遣って来た以上、愉しませて貰わねば損だ…。
  と言う事で、事前に上司からも是非ともと薦められていた、「豚丼」発祥の店に決めていた。
  帯広駅前に店を構え、其の名も「ぱんちょう」。
  「ばんちょう」ではなく「ぱんちょう」で、思わず、「ぱんちょう伊東です」と似てない物真似をしたくなる…。
  常に観光客で賑わっていると言う情報通り、正午前と言うのに、店頭には三〇名の大行列。
  東京のラーメン店並みの行列に、一瞬、行く気が失せるが、気を取り直して行列の最後尾に付く。
  丸で、埼玉と同じ様な陽射しが容赦無く照り付け、豚肉同様、此方も一緒に焼けてしまいそう…。
  外で並ぶ事、三〇分。
  店内に案内され、テーブル席に着く。
  店内は、六人掛けが四卓、四人掛けが二卓、二人掛けが一卓と、全てテーブル席のみ。
  其の中の二人掛けの席に通され、相席と成る。
  メニューを見せられ、発注をする。
  此方のメニューは当然、「豚丼」のみで、ランク分けされている。
  御飯の量は一緒で、豚肉の量で差別化を図っているらしい。
  一番下の「松」が肉四枚、「竹」五枚、「梅」六枚、「華」七枚と言う様に。
  通常、松竹梅は「梅」が一番下だが、此方は逆に成っている。
  何でも、此方の御婆さんの名前が「ウメ」らしく、「梅」が上に成っていると言う美談らしい…。
  と言う訳で、間を取って「竹」と、味噌汁が別なので、好物の滑子の味噌汁も併せて発注。
  今朝の八時半に、宿で朝食をガッツリ頂き、とろろや唐揚げが有るものだから、
  御飯を二膳も頂いてしまい、全く以って、空腹感と言うものは感じていないのが心苦しい…。
  一〇分程待ち、御丁寧に蓋をされた丼が運ばれて来る。
  並び始めから、「頂きます」迄は延べ四〇分待ち…。
  丼からは豚肉が食み出していると言う豪快さ。
  蓋を開け、豚丼との御対面を果たす。
  此れを見て、空腹ではないから食べられないと言っては、腕白中年の名が廃る。
  勢い良く喰らい付く事としよう。
  其れにしても何だ、緑の豆が余計だな…。
  そんな嫌がらせにもめげず、豚肉を頬張る。
  炭火焼きの香ばしい香りを孕みつつ、脂身からはジュワ~っと脂が溢れ出し、
  其れで居て、パサパサとした変な硬さは全く無く、しっかりとした噛み応えが有り乍ら、
  牛肉の様に柔らかいと言う、何とも堪らない旨さだ。
  サックリとした軽い歯触りの脂身の旨さは格別。
  何度も記すが、安部譲二先生の名言「豚の脂身を我慢して迄、長生きしたくないよね…」、
  此の言葉には、実に奥深い、脂身に対する愛情が感じられ、色紙に認めて貰いたい程だ…。
  肉の表面にはしっかりと網焼きの焦げ目が付き、刑務所の檻の中で日焼けした囚人の様な模様が見える。
  タレは甘辛くて濃い味だが、くどい甘さや、舌が痺れる様な辛さは無い。
  濃厚乍ら、意外とあっさりしており、腕白中年の好む味だ。
  御飯にもタレが十分に染み、タレだけで御飯を掻っ込みたくなる。
  鰻のタレと同じ発想だ。
  牛肉も旨いが、豚肉も中々如何して、味わい深いものが有る。
  さて、別で頼んだ滑子の味噌汁はと言えば、滑子は小振り乍ら、プリッとした食感。
  ツルっと、ヌメっと、口の中にするりと収まる。
  滑子は味噌汁の王様だな…。
  帯広名物である豚丼を、然も、其の発祥の店で頂くと言う、良い機会に恵まれて幸せだ。