「麺や 松」【足利】

◆「麺や 松」【足利】

　…足利での初日の仕事は十九時に終了し、四名でＪＲ足利駅前の宿に転がり込む。
　　晩御飯を摂りに出掛けようと言う事と成り、僕が予め下調べをしておいた此方へ。
　　「ラーメンデータベース」上で、足利市の括りで最も評点の高い店の様だ。
　　ＪＲ足利駅前に在り、周辺は寂れてしまっているものの、立地は良さそうだ…。

　◎「瓶ビール（一番搾り中瓶）」五〇〇円
　…他の三人が誰も呑まない中、僕だけ麦酒を発注する。
　　メニューに「生ビール」と有ったので発注すると、ジョッキは夏期限定と言う意味不明さ…。
　　仕方無く瓶麦酒にし、「一番搾り」と「スーパードライ」を選択出来ると言うので、
　　別段、取り立てて贔屓にしている訳ではないが、「一番搾り」を選択する。
　　小さ目のコップに注ぎ、グイッと呑み干すと、疲労の疲れも吹っ飛ぶかの様だ…。

　◎「ネギ味噌ラーメン」七〇〇円＋「半熟煮玉子１／２」五〇円
　…ラーメンはと言えば、本日の御薦めとして、味噌ラーメン数種類が掲げられている。
　　日によって御薦めのラーメンの味が異なるのだろうか…。
　　「辛いネギ味噌ラーメン」と言うのも有るが、辛いと困ってしまうので普通のにする。
　　そして、麺は「手打ち」と「細麺」を選択出来ると言うのだが、
　　生憎、「手打ち」が残り一人前しか無いと言うので、味噌ラーメンには合わないと思いつつも、
　　「細麺」に甘んじ、他の人に「手打ち」は譲る。
　　序に、トッピングで玉子も付けてみる。
　　然し、半個を五〇円で出すのなら、一個丸々を一〇〇円で出した方が有り難いのだが。
　　彼是と突っ込みたい箇所は多々有る…。
　　独りで麦酒を遣り、他の方々との仕事談義に加わりつつ、ラーメンの出来上がりを待つ。
　　店主一人で切り盛りしている様で、十五分程で運ばれて来る。
　　其の名の通り、上には白髪葱がこんもりと盛られている。
　　蓮華で味噌味のスープを啜ると、味噌の塩気や酸味だけの味しかしないかと思いきや、
　　他にも様々な材料を混ぜ込んでいると見え、甘味が感じられ、先ず先ずの出来。
　　味噌ラーメンはともすると、味噌の濃い味で強引に押し切る店も有るが、
　　こうして他から醸し出される甘味が感じられないと旨くない。
　　大量の白髪葱の下には萌やしが盛られており、シャキシャキとした歯触り。
　　懸案の麺は、博多ラーメンの様な細麺で、味噌ラーメンを頂いている気分には成れない…。
　　決して不味くはないのだが、味噌ラーメンには味噌ラーメンらしい麺が有り、
　　黄色くて縮れの効いた麺を想像してしまうと、其の乖離に残念さが感じられる。
　　具の叉焼は網で炙っている様で、香ばしさが感じられ、叉焼自体の出来も良い。
　　脂身はプルプル、赤身はしっかりとした噛み応えが有り、味も染みている。
　　麺麻は特筆すべき点は無いが、麦酒の摘みとして頂く。
　　半熟煮玉子は、黄身がトロッとした具合で、其の点では及第点。
　　嗚呼、此れが一個丸々ならば、ガブリと齧り付く愉しみが有ったのに。
　　スープは全て飲み干し、血圧上昇を怠らない…。

　　足利に来たと言う事で、御当地ソングとでも言うべき「渡良瀬橋」をどうぞ。
　　中学生、高校生時分、森高千里女史は皆の憧れの的だったナァ…。

森高千里 [PV渡良瀬橋]