「回転すし日本一」【なんば】 - 続・ＲＯＣＫ‘Ｎ’ＲＯＬＬ退屈男

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◆「回転すし日本一」【なんば】

　…大阪滞在二日目の仕事もやっとこさっとこで、普段よりは明らかに進捗が悪い。
　　今日は十九時に撤収し、宿へと戻る。
　　昨晩、皆で呑みに行ったので、今日は自由行動と相成る。
　　仲の良い者同士は一緒に食事に出掛ける様だが、僕は村八分で、
　　声も掛けられない（肥は掛けられそうだが…）ので、独りで喰い倒れに出掛ける…。
　　今宵は絶対に回転寿司で麦酒を遣り乍ら寿司を摘もうと決めていた。
　　なんば駅近くの「南海通り」と言う屋根付き商店街の中に、回転寿司店が数店在るのを昨日知ったからだ…。
　　其の中に在る、全皿一三〇円均一の「日本一」と言う店に飛び込んでみる。
　　まあ、全皿一三〇円均一の時点で「日本一」と言う事は有り得ないのだが…。

　◎「生ビール」四五〇円
　…入ると入口近くの席に通され、「ヨッコイ、ショーイチ」と言って腰掛ける。
　　先ずは、何は無くても麦酒を無いと話に成らないので、直ぐ様、発注する。
　　怪我をしていない方の手でジョッキを握り、「御疲れ様」と心で呟いてグイッと遣る。
　　嗚呼、此の一杯の為に働いている様なものだ…。
　　目の前を流れ過ぎる寿司を眺め、何を頂こうか思案するが、此れと言う物が無い…。

　◎「なまこ」一三〇円
　…一〇分程、目の前を通る寿司を遣り過ごし、漸く、其れらしい寿司が廻って来る。
　　海鼠を頂くのは豪い久し振りだ。
　　上にはポン酢を染み込ませた大根卸が載っており、其の儘、大口を開けて頬張る。
　　海鼠の歯を押し返す様な強烈な弾力が感じられ、正に珍味。

　◎「めかじきトロ」一三〇円
　…続いては、鬢長鮪を更に白くした様な目梶木のトロなる物にする。
　　本当は鬢長鮪の方が良かったのだが、鬢長鮪は一貫付けなので回避する…。
　　解凍し立てで凍っているのかと危惧したが、トロッとした舌触りで、
　　脂が十分過ぎる程に載っており、鬢長鮪を凌ぐ旨さ。

　◎「ねぎとろうずら」一三〇円
　…メニューの中に気に成る物が有り、板前さんに発注する。
　　軍艦の葱トロに鶉の玉子が落とされている物を想像していたが、其れを良い意味で裏切られる。
　　御飯の上に葱トロが握られ、其の中に埋もれる様にして鶉の卵黄が落とされている。
　　上から醤油を掛け、一口で無理して頬張ると、葱トロのコッテリとした脂の載りと、
　　鶉の卵黄の濃厚な味わいが渾然一体と成って、口の中で混ざり合って旨い。

　◎「馬刺し」一三〇円
　…此方には、レバ刺しが載った寿司が有り、肉類では此の馬刺しも有る。
　　一貫は赤身の部位で、もう一貫は脂の部位。
　　赤身の部位はしっかりとした噛み応えが有り、慣れ親しんだ馬刺しの感じ。
　　脂の部位は正に脂の塊で、脂の甘味が感じられ、新感覚の寿司と言った趣き。

　◎「まぐろ」一三〇円
　…普段、回転寿司店では滅多に頂かない鮪だが、他に選択肢が少ない上に、
　　板前さんの「握り立て」と言う言葉に反応したのか、自分の意に反して皿を取っていた…。
　　所詮、一三〇円均一の鮪なので、過大な期待は寄せるのが無粋と言うものだ。
　　ネットリとした赤身の味わいはするが、奥行きの浅い味が感じられてしまう…。

　◎「いくら」一三〇円
　…そろそろ、六皿目にして〆へと向かうべく、プリン体を発注する。
　　石油で作られたイクラと予想が出来つつも、プリン体フェチは如何せん堪え性が無い…。
　　口の中でプチプチ弾け、醤油漬けの味わいが其れらしく感じられれば其れで良い。
　　身体に毒な物質は目に見えやしないのだから…。