続・ROCK‘N’ROLL退屈男

続・ROCK‘N’ROLL退屈男 B面⇒https://twitter.com/RandR_taikutsu

「静岡カンカン酒場」【静岡】


 …昨日。
  月曜日の晩は、高等学校時分の悪友と午前零時半迄呑み、家に帰って荷造りをする。
  翌火曜日からの静岡出張に備え、深夜に下着を詰める侘しさったら無い…。
  朝は七時前に起床し、朝から既に熱い中、トランクケースを転がして駅へと向かい、
  高崎線京浜東北線を乗り継ぎ、東京駅に辿り着き、「ひかり四六五号」に乗車し、
  東静岡駅前に聳え立つ、等身大の「機動戦士ガンダム」を尻目に静岡駅に到着。
  熱帯の様に照り付ける陽射しに参り乍ら、此処から僕の長い一日が始まる…。
  一〇時半から仕事を開始し、休む暇も無く、昼御飯も摂らずに十五時半迄続け、
  此の食べる事しか考えていない僕が、十五時半だからと昼食を諦め、
  新静岡駅から静岡鉄道に乗車して更に静岡市内を移動して仕事に向かい、
  結局、十八時半過ぎ迄、一切食べずに仕事を熟し、静岡駅前の宿へと転がり込む…。
  野暮用を済ませ、此の日の最初の食事と、暑気払いをせずには居られず、
  土地勘の無い中、居酒屋を探し歩き、一軒の入り易そうな店を見付けて飛び込む。
  勿論、狙いは静岡名物の御田…。

 ◎「サントリーザ・プレミアムモルツ」四八〇円
 …一見だが、飛び込みで入り、カウンター席の端っこに陣取り、間髪入れずに麦酒を発注。
  此の暑さ、呑まずに居られますかいね…。
  此の日の最初の食事とも言うべき麦酒は、胃袋へと清清しい迄に速やかに直行する。
  小さ目のジョッキがあっと言う間に無くなりそうな程。
  御通しの柿の種をボリボリ齧りつつ、此の日一日の辛さを想起していると、
  店内の有線放送からは、僕が此の世で一番好きな曲、「君は天然色」が流れて来る。
  此れで一気に疲労の疲れが吹っ飛びそうだ…。
  図らずも、大滝詠一師匠の六十二回目の誕生日、七月二十八日の前日とは。

 ◎「ハイボール」二八〇円
 …いとも簡単に麦酒が空いてしまい、お次は此方の一押しと思しきハイボールを発注。
  店内には「角ハイボール」の貼り紙がされており、麦酒にしろサントリー色が強い。
  シュワシュワを炭酸が弾けて運ばれて来るハイボールは、清涼感が有って良い。
  炭酸は通常の一.七倍の強炭酸を使用している様で、余計に爽やかだ。
  なぎら健壱でなくとも嬉しく成ってしまう…。

イメージ 1
 ◎「大根」九〇円
 ◎「黒はんぺん」一二〇円
 ◎「牛すじ」一二〇円
 ◎「たまご」九〇円
 ◎「半熟たまご」一二〇円
 …静岡に来たならば、名物のロイクーな御田を頂きたいのが常と言うもの。
  五品の盛り合わせも有るが、此処は矢張り、自分の好きな物だけを選択したい。
  そして、厳選に厳選を重ねた結果、上記の五品を発注。
  此方の御田の拘りは、「牛筋と鶏皮で出汁を取った黒いスープに、鰹出汁、昆布出汁、
  鰯、煮干し、鯖節をブレンドし、静岡特産の黒はんぺんや創作おでんが入っているのが特徴。
  独特の甘味の有るスープは素材の味を引き立て、ついついもう一本と食べてしまう味に仕上げました」、
  としてあり、夏場の暑い時期だが、何と無く惹かれるものが有る…。
  静岡御田の特徴である魚粉の振り掛けが掛かった状態で登場。
  先ずは大根から。
  真っ黒に色が染み、つゆも十分に吸っており、頬張るとつゆが口一杯に溢れそうになる。
  名物の黒半片は、鰯や鰺や鯖が原料の為、其れらしい味わいがし、もっちりとして旨い。
  牛筋はゼラチン質の部位はプルンとネットリとしてトロトロで、赤身の部位はホロッと解れる。
  ギュッと噛み締めたくなる味わいで、御田の具には欠かせない。
  そして、板東英二も大好きであろう玉子は、其れこそ真っ黒に変色している。
  一口齧れば、中もしっかりと味が染みており、固茹での黄身がモソモソする感じが良く、
  時折噎せそうに成るが、味が非常に宜しく、幾つでも食べたい衝動に駆られる。
  最後は、一体、如何やって煮込むのかが不思議な半熟玉子。
  とは言え、幾らかは黄身に火が通っているのだろうと言う予想とは裏腹に、
  ラーメンの煮玉子並みに黄身がトロットロで、不覚にも、黄身を皿に打ち撒けてしまう失態を犯す。
  まさか、そんなにも半熟とは思わないもの…。
  溢れ出した黄身を掬い取る様にして残らず頂く。

イメージ 2
 ◎「豚バラ」一四〇円
 ◎「鶏もも」九〇円
 ◎「海老」一四〇円
 ◎「豚しそ」一四〇円
 ◎「ホルモン」一四〇円
 …此方は御田の他にも、串揚げも名物の様で、随分と心惹かれるメニューが多い。
  野菜メニューには目も呉れず、蛋白質メニューの中から五品を発注する。
  能書きには、「串揚げには米油を使用し、さらっと香ばしい風味と口当たりの良さは、
  何より胃凭れし難いのが特徴。更に、豆乳入り麺麭粉を使用し、素材の旨味を引き立て、
  サクッとした食感に仕上げた」と言う。
  卓上のソースをぶっ掛け、先ずは豚バラから。
  齧るなり豚の脂身から染み出す脂で口中が大洪水。
  執拗さは全く無く、脂身の甘味が堪能出来る。
  鶏腿肉は正にチキンカツで、焼き鳥を揚げ物にした感じで、鶏肉のプリプリ感が出ている。
  海老は小振りな海老フライと言った趣きで、尻尾迄バリバリ齧られる。
  「豚しそ」は薄切りの豚バラ肉を紫蘇で巻いた物で、脂身のジュワッと拡がるが、
  紫蘇のサッパリとした味わいが絶妙に絡み合う。
  そして、最後のホルモン。
  モツをフライにすると言うのは珍しく、人生初ではないだろうか。
  弾力の有るホルモンはプリンとして、口の中で暴れる様な感じ。

イメージ 3
 ◎「鶏かわ」一四〇円
 ◎「牛すじ」一四〇円
 ◎「たまご」九〇円
 …御田の旨さに触れ、ついつい御替わりをしてしまう。
  気に成っていた「鶏かわ」と言うのを発注してみる。
  此れ又、プルプルで、味も十分に染み渡り、期待に応えて呉れる。
  まさか、鶏皮が焼き鳥以外で食べられるとは…。
  御替わりの牛筋は、言わずもがなの旨さ。
  玉子も文句無しで、ホクホクして最高。
  シュワッと弾けるハイボールと実に良く合う。

イメージ 4
 ◎「のりたまごかけご飯」二八〇円
 …御田、串揚げ、そしてハイボールを頂戴し、昼御飯を抜いたが腹も膨れつつあり、
  そろそろ〆の心配をしてみるが、其れにぴったりの物をメニューに発見。
  「のりたまごかけご飯」の文字が…。
  御飯、割る前の玉子、浅葱、そして、玉子振り掛けが夫々出て来る。
  てっきり、「丸美屋」の「のりたま」と予想したが、同じ「丸美屋」だが「たまごふりかけ」…。
  此れ等を御飯の上に掛け、玉子掛け御飯専用の醤油をぶっ掛け、後は掻っ込むだけ。
  ヅルヅルと音を立て、噎せそうになり乍ら掻っ込めば、玉子の黄身の円やかさ、
  玉子掛け御飯専用醤油の仄かな甘味、「たまごふりかけ」のジャンクな味わい、
  此れ等が渾然一体と混ざり合い、安っぽさの中に旨さが有る。
  矢張り、玉子掛け御飯は日本人の心だな…。

 此の日は麦酒一杯、ハイボール三杯を頂き、御田、串揚げを堪能しても三〇〇〇円とは安い!