続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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実録 三月十一日

今回の東北太平洋地震で亡くなられた方、被害に遭われた方に、
心より御悔やみ、御見舞い申し上げます。

斯く言う僕は、金曜日の其の時、上大岡に居り、そろそろ池袋へ移動しようとしており、
其の前に電話を一本と、上司と電話をしている最中、受話器の向こうで池袋に居る上司が、
「揺れている」と言っており、「何言っているんですか?」と返した其の刹那、
気持ちの悪い横揺れが始まり、咄嗟に棚に掴まり、建物の五階だったが、
幸いにも建物が新しく、大きく、耐震設計されているとの事で事無きを得る。
其れから池袋に戻ろうとするも、京浜急行線は止まっており、
取り敢えず横浜迄戻ろうと、乗り合いバスの大行列に一時間程並び、
押し合い圧し合いで、大渋滞の中、三時間乗車して高島町の手前に差し掛かった所で痺れを切らし、
降車して横浜駅迄の道程を歩いて行くと、横浜駅ビルの通路の両端には大勢に人が座り込んでいる。
事の重大さを痛感しつつ、携帯電話の充電用の乾電池を求め様と、コンヴィニエンスストア二軒目で確保。
駅に戻り、パーソナルコンピューターを開いて情報収集に努め、結局、晩御飯も喰えず…。
相模鉄道東京急行横浜市営地下鉄が二十三時頃から運転再開をするも、
JRは早々に当日の運転はしないと発表し、乗客を何とか送り届けようと企業努力している私鉄に比べ、
親方日の丸、殿様商売体質が抜けない事が甚だ腹立たしく、遺憾の意を表したい。
はやぶさ」も良いが、もっと他に傾注してやる事が有るのでは無かろうか、JRさんよ!
横浜駅ビル「ジョイナス」の通路に移動し、暖房が入っているので凍えずに済み、
缶珈琲一本を飲んだだけで横に成ろうとするも、此の不安な状況下で眠れる訳も無く、
まんじりとも出来ずに刻々と時間が経過するのを待つのみ。
二十二時頃から、同じく川崎駅で足止めされている同僚の方と連絡を取り合っていた。
彼は住まいが藤沢なので、運転を再開し、夜を徹して運行している相模鉄道
小田原急行で帰れるので、其の事を連絡し、川崎駅から乗り合いバスで午前二時半頃に辿り着き、
落ち合い、無事を確かめ合い、帰れる術が有るのだからと見送る。
其の後、横に成り、寝ようと試み、うとうとし始めた時、トントンと肩を叩かれて起こされる。
先程の同僚の方が、晩御飯に何も食べていない僕を気遣って呉れ、
開いていた「すき家」で牛丼と豚汁を購入して差し入れて呉れる。
然も、生玉子付きで、其の味は涙が出る程に美味しく、有り難く、藤沢方向に向かって手を合わせる…。
マザー・テレサの様な慈悲を受け、其の後、少しでも体力温存しようと横に成るも寝られず仕舞い。
朝の四時頃に成ると、午前七時からJRが運転再開すると言う館内放送が流れたので、
五時に、夜通し運行している東急東横線に乗車して渋谷駅へと出る。
七時の運転再開を前に、少しでも先に進み、渋谷から埼京線で帰ろうと言う寸法だ。
然し、時間は六時前で未だ早いので、作戦変更し、地下鉄銀座線で上野駅へ移動し、
高崎線で帰る事にし、上野駅に到着し、其の時を待つ。
六時半頃に、七時から京浜東北線の運転を再開すると言うので、一番線に停車中の京浜東北線に乗車。
そして、待てど暮らせど、線路の安全点検を行っている、故障の踏切の動作確認をしている、
運転再開後の計画をしている、と言う案内放送が繰り返されるのみ。
遂に、最終的な安全確認が終わったので運転再開すると言う放送が入ったと思ったら、
再度、運転再開後の計画をしていると言う放送に変わり、車内からは怒り混じりの溜息、失笑が漏れる。
大体、仕事を行うに当たって、時間がどれ位掛かるかと言うのを計算し、開示するのが普通だろう。
其れが、同じ案内放送を繰り返すのみで、今、何をしていて、其れはどれ位掛かるかと言う、
一番大事な事柄が乗客に示されないと言うのが腹立たしく、報連相が成っていない企業である事を露呈…。
七時に運転再開と、変に期待を持たせ、糠喜びをさせた罪は大きい。
結局、二時間も車内で缶詰に遭い、時速三十五キロメートル以下の徐行運転で再開。
順調に走行するも、南浦和駅で時間調整と言う、見通しの立たない停車が続き、
此れ又、具体的な案内放送は無く、数十分の停車後に発車し、大宮駅に辿り着く。
然し、大宮駅から先が運転されていないので、徒歩で一時間近く歩き、昼前に二十七時間振りの帰宅。
電子レンジの上に置かれていたオーブントースターが落下した程度の被害でホッとする。
其の後は泥の様に眠り、晩に漸く、テレヴィヂョンで事態の凄惨さを知る事に成る。
僕自身、海無し県で生まれ育ったので、海には馴染みが薄いのだが、
津波の驚異、恐ろしさをまざまざと見せ付けられ、地震で怖いのは揺れもそうだが、津波であると実感…。
東北地方には同僚の方も居たり、同僚の方の出身だったり、仕事で何度も訪れているので、
他人事とは思えず、一刻も早い人命救助、全容解明、復興を切に願うばかりである…。