…木曜日。
一〇連休の黄金週間七日目も、家で至って自堕落に過ごし、もう夕刻だ。
東京讀賣巨人軍は負けるし、連休も終盤だし、こんな歳だし、親も歳だし、貴方しか居ないし…、
大黒摩季の「ら・ら・ら」からの抜粋は兎も角、晩は外に出てみる。
其の昔、日進に「和彩楽酒 かもん」、宮原に移って「和匠喜酒 かもん」と言う店が在り、
日進時分には週に数度、宮原に移ってからも最低でも週に一度は必ず訪店していた店で、
諸般の事情で、今年一月七日、縁起の悪い事に、僕の誕生日を以って目出度く閉店してしまう。
其のマスターが、再度、宮原近辺で開店するべく、物件探しをしていたが、
物件自体が少ない場所柄、諦め、今度、川口に在る此方で料理人として勤め始める。
其の連絡を受け、一月下旬に一緒に呑んで以来なので、馬鹿面を見に出掛けてみる。
川口の超一流百貨店「そごう」の裏手の路地に在る此方は、しゃぶしゃぶを売りにしている様だ。
念の為、誤解の無い様に付け加えておくが、従業員は全員、(多分)ちゃんと着衣している。
其の手の店に行った事は無いが、或る意味、本物の「肉」、生の「肉」、肉襞を見乍ら、
しゃぶしゃぶを食べると言うのは、難しい気がして成らないのだが。
第一、目の前にそんな「肉」がうろちょろしてちゃ、気が散ってしゃぶしゃぶどころじゃ無いし、
下手をすると、興奮して自分の「胡麻ダレ」が出てしまう…。
そんな猥談は兎も角、建物の二階へと階段を昇り、店内に入ると、相変わらずの顔が居る。
「相変わらず馬鹿か?」と何時もの挨拶をし、テーブル席に着席する…。
一〇連休の黄金週間七日目も、家で至って自堕落に過ごし、もう夕刻だ。
東京讀賣巨人軍は負けるし、連休も終盤だし、こんな歳だし、親も歳だし、貴方しか居ないし…、
大黒摩季の「ら・ら・ら」からの抜粋は兎も角、晩は外に出てみる。
其の昔、日進に「和彩楽酒 かもん」、宮原に移って「和匠喜酒 かもん」と言う店が在り、
日進時分には週に数度、宮原に移ってからも最低でも週に一度は必ず訪店していた店で、
諸般の事情で、今年一月七日、縁起の悪い事に、僕の誕生日を以って目出度く閉店してしまう。
其のマスターが、再度、宮原近辺で開店するべく、物件探しをしていたが、
物件自体が少ない場所柄、諦め、今度、川口に在る此方で料理人として勤め始める。
其の連絡を受け、一月下旬に一緒に呑んで以来なので、馬鹿面を見に出掛けてみる。
川口の超一流百貨店「そごう」の裏手の路地に在る此方は、しゃぶしゃぶを売りにしている様だ。
念の為、誤解の無い様に付け加えておくが、従業員は全員、(多分)ちゃんと着衣している。
其の手の店に行った事は無いが、或る意味、本物の「肉」、生の「肉」、肉襞を見乍ら、
しゃぶしゃぶを食べると言うのは、難しい気がして成らないのだが。
第一、目の前にそんな「肉」がうろちょろしてちゃ、気が散ってしゃぶしゃぶどころじゃ無いし、
下手をすると、興奮して自分の「胡麻ダレ」が出てしまう…。
そんな猥談は兎も角、建物の二階へと階段を昇り、店内に入ると、相変わらずの顔が居る。
「相変わらず馬鹿か?」と何時もの挨拶をし、テーブル席に着席する…。
◎「サッポロ生ビール」五八〇円
…先ずは、何は無くても、麦酒を発注。
店こそ初めて訪れるが、知った顔が居るので、何だか全くの初めてと言う気がしない。
此の日の口開けに麦酒をグイッと呷り、一〇連休の七日目の打ち上げを開始する。
店内は、小上がりは六人席と四人席、テーブル席は四人掛けと、二人掛けが二つ。
小ぢんまりとしているが、綺麗にされており、ゴキブリが出た「かもん」とは大違いだ。
客の目の前で殺虫剤でポアする店って…。
…先ずは、何は無くても、麦酒を発注。
店こそ初めて訪れるが、知った顔が居るので、何だか全くの初めてと言う気がしない。
此の日の口開けに麦酒をグイッと呷り、一〇連休の七日目の打ち上げを開始する。
店内は、小上がりは六人席と四人席、テーブル席は四人掛けと、二人掛けが二つ。
小ぢんまりとしているが、綺麗にされており、ゴキブリが出た「かもん」とは大違いだ。
客の目の前で殺虫剤でポアする店って…。
◎「まぐろブツ」六八〇円
…此方は先述の通り、しゃぶしゃぶや鋤焼を主に提供する店なのだが、
流石に、しゃぶしゃぶなんて石油王か皇室関係でもないと頂けないので、普通に摘みを頂く。
マスターが加わって以降、前の「かもん」の様な感じにするべく、魚や、一品料理も加え、
メニューも刷新した様で、今後は屋号も変更し、しゃぶしゃぶだけに拘らない店にする様だ。
と言う訳で、矢張り、酒を頂く時の初っ端は魚が有り難い。
此の日の御薦めが記された手書きのメニューの中から、鮪のぶつを発注。
前の「かもん」では何て事無い普通の感覚だが、此方で鮪を発注するのは些かの抵抗が有る…。
ツマを切るのが面倒臭いので、若布だけで我慢しろ等と、客を客とも思わない悪態にもめげず、
鮪が出て来るのを大人しく待ち、しゃぶしゃぶ屋で鮪の刺身を頂いてみる。
中トロの脂の載った部位で、口内でトロッと蕩け、酒の摘みとしては最高だ。
ちゃんとした鮪の刺身より、ぶつの方が酒呑みとしては雰囲気が出て好きだ。
◎「和牛ビーフシチュー」九八〇円
…ブルジョワジーじゃないのでしゃぶしゃぶは頂けなくても、肉は頂いてみたい。
「かもん」でも何度も頂いたデミグラスソースメニューに、此方の肉が加わると言う、
何とも蠱惑的な感じに魅せられ、「和牛ビーフシチュー」を発注。
マスター曰く、端肉の部位だと言うが、其れを感じさせない位にトロットロで柔らかく、
木製の匙で簡単に切る事が出来る程で、箸でチマチマ千切り乍ら酒を呑むには持って来い。
腕白中年は如何も、デミグラスソースには滅法弱い様だ。
脇に添えられた仏蘭西麺麭に乗せて頂くのも一興。
◎「チーズとアンチョビのパン」五八〇円
…メニューを眺め、チーズフェチとしては頂いておきたいのが此れ。
仏蘭西麺麭に、鰯の塩漬け発酵オリーブ油漬け、チーズを乗せて焼いた物。
子供の頃、「アンチョビ」と聞いて、活躍しなさそうな助っ人外国人選手かと思ったが、
今と成ってはちゃんと学習して知っている…。
アンチョビの塩気と、チーズの塩気、高血圧患者には堪らない塩気。
此れは葡萄酒が呑みたくなってしまうが、貴族ではないので止す…。
一頻り、麦酒二杯、緑茶ハイ二杯、濁り梅酒を頂戴し、時刻も二十二時に迫ろうと言うので、
又の機会を御贔屓に、取り敢えず、今回は顔見世と言う事で退散する。
又の機会を御贔屓に、取り敢えず、今回は顔見世と言う事で退散する。