続・ROCK‘N’ROLL退屈男

続・ROCK‘N’ROLL退屈男 B面⇒https://twitter.com/RandR_taikutsu

「ラーメン 凛」【渋谷】

イメージ 1

◆「ラーメン 凛」【渋谷】

 ◎「ポン酢」八〇〇円

 …昨日からの雨で、只でさえ暑くて不快なのに、其処へ蒸し暑さが加わり、
  発狂しそうな不快感に苛まれ、背広のズボンの裏地はベトベトで、嗚呼嫌だ。
  子供の頃、ステテコを穿く父親を見て嗤っていたが、今ではステテコが欲しい…。
  夜中はと言えば、例によって、布団に入って一時間程で尿意を催して厠に起き、
  そんな事を其の後も繰り返す有様で、本当、熟睡出来ていない。
  朝目覚めれば、グッタリとして、ボーっとして、正気に中々戻れない。
  況してや、外は又しても雨の気配で、其れだけで陰鬱な気分に成り、塞ぎ込みたくなる…。
  耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、身支度をやっとの思いで整え、満員電車に揺られて出掛ける。
  駅迄歩き、其れから人口密度の高い、密集した蒸し暑い電車に乗れば地獄絵図だ。
  汗を拭うのが忙しく、仕事をする前から疲労し、池袋駅に降り立ち、フーっと息を吐く。
  朝一から、パーソナルコンピューターと睨めっこで仕事を熟し、目はショボショボ。
  十二時半を過ぎ、午後から都内を巡らなければ成らず、序に昼御飯を済ます。
  最初の目的地、渋谷へと向かい、十三時を過ぎ、昼御飯とする。
  予め、目星は付けてある。
  「二郎」系の此方。
  以前、此方の系列では大井町の「のスた」に昨年六月に一度だけ訪れており、
  写真撮影が許可制で、面倒臭かったので記事にはしなかったが…。
  雨の渋谷の街を彷徨い、頭に叩き込んだ地図を思い起こし、警察犬の様に鼻を利かし、
  随分と分かり辛い路地の奥に「凛」と言う文字を発見し、何とか辿り着く。
  凡そ、「二郎」系には相応しくない店構えで、小洒落た酒場か、料理屋の様。
  中に入ると、運良く席が空いており、バーカウンターの様な席に腰掛ける。
  メニューは「しょうゆ」、「ポン酢」、「味噌」、「カレー」、「カレーチーズ」のみ。
  前回、「のスた」では「しょうゆ」を頂き、其の際にも迷った「ポン酢」を発注する。
  大蒜を入れるかと訊かれ、「御願いします」と礼儀正しく告げる。
  此方は料金先払いなので、発注すると直ぐに料金を徴収され、八〇〇円を支払う。
  席には予めコップが設えられており、一席毎に水の入ったピッチャーが用意されており、
  暑がりとしては有り難く、水を注ぎ、火照った身体が冷める迄、呷り続ける。
  店内にはロック・アンド・ロールなミュージックが流れており、
  カウンター内に置かれている音響機器に繋がれたのは、恐らくは店主の持ち物の粉塗れのi-Pod。
  そして、一頻り水も飲み飽きた頃、ラーメンが出来上がって運ばれて来る。
  昨今、有りと有らゆる「ラーメン 二郎」の亜流、有象無象が湧いて出て来ているが、
  此方のは正統派と言うか、見るからに安心感の有る佇まい、風格が感じられる。
  さて、割り箸、蓮華を手に取り、先ずはプースーから啜る。
  何せ、ポン酢だ。
  鮟鱇肝や白子、生牡蠣が此の上無く好きな僕としては、ポン酢も好きだ。
  酸っぱい物が嫌いなのだが、ポン酢だけは別格の様な感じで、ポン酢は素敵な飲み物だ。
  一口啜っての感想は、当たり前なのだが、「うん、ポン酢だ」と唸ってしまう。
  通常の「しょうゆ」のプースーにポン酢が加えられると言う此の代物だが、
  喩えるなら、水炊きの最後に飲み干すポン酢で、鍋の具材から出汁が染み出した様な感じで、
  単に酸っぱいだけでなく、動物系の出汁が出て、角が取れ、円やかに成った印象。
  そうは言うものの、「ポン酢」と言うメニュー通り、矢張りポン酢の味わいが強烈だ。
  此れは可也、賛否両論分かれる感じがするが、時間が経つと身体が欲する味の様な気がする。
  野菜増しの指定は出来ないが、野菜の盛りは結構良く、願ったり叶ったりだ。
  茹で加減も好みで、シャキシャキとクタクタの中間で、此の食感が好き。
  お次は麺。
  カウンター席の内側には製麺機が設えられており、日清製粉の強力粉オーションの袋が山積み。
  此の製麺機で打たれた自家製麺は、表面が微かにザラッとする口当たりで、
  平打ちの中太麺で、ムッチリ、ムニッとした食感で、粉の風味が感じられ、ボソボソ感が良い。
  ツルツルの麺も良いが、此の手の低加水の麺も、食べた気がするので好きだ。
  徐々にプースーに刻み大蒜が溶け出し、ポン酢の酸味と混ざり合い、何とも言えない旨さ。
  そして、「二郎」系で重要な地位を占めるのが豚。
  此方では「煮豚」と言う様で、此れが秀逸。
  脂身はトロットロのプルンプルンで、赤身はホロホロッといとも簡単に解れてしまう。
  味付けは薄目だが、スープに浸ってトロントロンに成った豚肉は堪らないものが有る。
  汗が引っ切り無しに噴き出し、拭うのも容易じゃない程だが、あっと言う間に完食し、
  是非とも、此方の全ての味を制覇しようと固く心に誓い、店を後にする…。