続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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伯養軒「笹巻きえんがわずし」【仙台】

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伯養軒「笹巻きえんがわ寿司」【仙台】

…日曜日からの三泊四日の仙台出張も、何とか恙無く最終日を迎え、仕事を終える。
 初日、二日目は雨に降られっ放しで、ズックもびしょ濡れ、恋人も濡れる街角だったが、
 昨日、今日は真夏の灼熱の陽気で、然も、空調の点かない場所での仕事の為、
 身体中の水分が放出され、乾涸びた蚯蚓の気持ちが良く分かる様な状態で、心身共に疲弊する…。
 然し、三泊もの間、仙台に滞在したのは初めてで、日曜日に到着するなり、
 牛タンを早速頂き、晩はしこたま酒も呑み、魚も頂き、其れなりに満喫する。
 欲を言えば、土地勘の有る人が居れば、もっと良い味に出会えたかも知れないが、
 国分町にも辿り着けない様な僕の様な人間は、如何こう言える資格は無い…。
 十七時過ぎに仕事を終え、仙石線に乗車して仙台駅へと戻って来る。
 後は、夢の超特急、東北新幹線で大宮に帰るだけだ。
 電車の時刻を見ると、僕の様な地位の低い人間は乗車拒否をされてしまう「はやて」しか無く、
 本来は東北本線を乗り継いで帰るべき階層なのだが、少し贅沢をさせて貰い、
 仙台駅発十八時〇五分の「やまびこ」三二〇号に乗車する事にする。
 少し時間が有るので、売店で贅沢にも、発泡酒や其の他雑酒ではない、正真正銘の麦酒を購入し、
 家に帰って晩御飯を食べるのも億劫なので、辨當を購入して車内で済ます事とする。
 前回は「網焼き牛たん弁当」を購入して、帰宅後に頂いたので、今回は牛タンは除外する。
 「鮭はらこめし」やら「うにめし」やら、魅惑的な物が多く、プリン体フェチの痛風患者は、
 如何しても雲丹の入った辨當に惹かれ、真っ先に手が伸びてしまう。
 そして、「うにめし」を手に持ちつつも、後ろ髪を引かれる思いで、他の辨當を物色している、
 「えんがわずし」と言う文字が目に入り、何だか無性に気に成り、一目で恋に落ちる。
 イエス、フォーリン・ラヴ…。
 普段、「鮨処 いっしん」に御邪魔しても、他に頂きたい物が多くて、縁側は順番が回って来ず、
 余り頂く機会が少ないが、決して嫌いではなく、寧ろ好きな程で、先日の土曜日は珍しく頂き、
 其の時の旨さの意識が、咄嗟にそうさせたのかも知れない…。
 新幹線に乗り込み、仙台駅を出発するが、十八時半を過ぎる迄は我慢する。
 そして、福島駅に着いた頃、十八時半を廻ったので、缶麦酒を開け、労を労う。
 長く、辛く、暑い四日間だっただけに、感慨は一入だ…。
 腹拵えもするべく、辨當の蓋を開けると、ビニール袋に覆われ、其れを剥いて出すと、
 笹に包まれており、正に「笹巻き」で、笹の葉を捲ると、鰈の縁側の真っ白な押し寿司が出て来る。
 付属の特選と言う昆布醤油を掛け、其れだけで既に美味しそうだ…。
 さて、麦酒の摘みに頂きましょうかね。
 厳選された烏鰈の縁側を秘伝の合わせ酢に漬け込んで作ったと言う此の代物は、
 先ず、縁側のコッテリとした脂の載りと、其の甘味が口一杯に拡がりを見せる。
 震災で甚大な被害を出した、南三陸は女川町で捌いたと言う縁側で、
 肌理細かい、決して執拗過ぎない脂の載りで、縁側特有の食感もしっかりと感じられる。
 「鮨処 いっしん」のマスターから以前に聞いた事が有るが、同じ鰈でも、油鰈と言うのも有り、
 其れは名前の通り、脂の載りは良いが、油臭味が有るので、烏鰈の方が重宝され、
 チェーンの回転寿司店でも殆どは、此の烏鰈の縁側を用いているとの事。
 其の食べ易さに納得していると、縁側の甘味と、酢飯の酸味が丁度良く混ざり合う。
 能書きには「銀シャリ」と記されており、宮城県産の米を使用している。
 そして、酢飯には紫蘇の実を混ぜ込んであると言い、仄かに風味が感じられる。
 縁側と酢飯だけだと、味が一本調子に成り勝ちだが、紫蘇の実が良い香り付けに成っていて良い。
 あっと言う間に頂いてしまい、震災からの復興を祈念しつつ、「やまびこ」号は大宮駅へと走る…。