続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「スパゲッティーのパンチョ」【渋谷】

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◆「スパゲッティーのパンチョ」【渋谷】

 ◎「ナポリタンチーズ(中盛)」七五〇円

 …昨晩から断続的に雨が降り、明け方は涼しくなると思いきや、然程、涼しくない。
  寧ろ、蒸し暑く、其れと相俟って、朝の五時半過ぎには、開け放った窓からは、
  隣家の換気扇の排気口から、一体如何して、こんな時間から…と首を傾げたくなる、
  コッテリとした脂っこい揚げ物の油の臭いが充満して来る。
  最早、此れは立派な公害、異臭騒ぎと言って差し支えなかろう。
  幾ら腕白な僕でも、寝起きで揚げ物の香りは嗅ぎたくはない…。
  何とか頑張って二度寝をし、再び起きて身支度を整え、駅迄の道程を歩く。
  一見、涼しそうな感じだが、肌に纏わり付く様な気持ちの悪い空気で、
  駅に辿り着く随分と前から汗が止め処無く噴出し始め、早くもタオルの出番。
  駅に着いても汗が一向に止まらず、病的な迄にびっしょりと汗をかき、不快極まりない。
  池袋駅に着く迄、完全には汗は引かず、既に衣服は湿り、帰って風呂に入りたい…。
  そう言う訳にも行かないので、グッと堪え、黙々と仕事に没頭する。
  十二時半を過ぎ、毎週木曜日は御決まりの、山手線を一周する仕事の為、
  何時もの様に、最初の目的地である渋谷へと向かう。
  普段であれば、言う迄も無く、「ラーメン 凛」へと出掛けるのだが、
  一通りメニューを頂き、然も、此の吐き気のする様な蒸し暑さの中、とてもラーメンは食べられない。
  と言う訳で、「ラーメン 凛」へと向かう道すがら、何時も気に成っていた店を初訪店。
  御徒町や池袋で見掛けた事の有る、ゲッティー、然も、ナポリタンの専門店。
  今と成っては、随分と小洒落たゲッティーが多いが、日本生まれのゲッティーと言えば、
  此のナポリタンを措いて他に無く、本場の伊太利亜では「ナポリタン」は通じないらしいし…。
  雑居ビルヂングの細い階段を二階に上がり、自動扉を開けて入ると、券売機が出迎えて呉れる。
  メニューはナポリタンとミートソースのみで、夫々、トッピングが乗った物が数有る。
  其の中で、僕と言えば此れだろうと言う、「ナポリタンチーズ」と言う釦を押し、食券を購入。
  若くて綺麗で、覇気の有る婦女子店員に食券を手渡すと、麺の量を訊かれる。
  五〇〇グラム有ると言う中盛りで御願いし、井のヘッド通りが見下ろせる窓側の席に腰掛ける。
  程無くして、先ずは粉チーズの容器が運ばれて来る。
  背中の厨房からは、フライパンで炒める音が絶え間無く聞こえている。
  一〇分強で、先程の女店員がゲッティーを配膳して呉れる。
  おおっ、聞きしに勝る、何とも魅惑的な食べ物だ。
  量と言い、色と言い、艶と言い…。
  ナポリタンの上には、恐らく蕩けるであろうチーズがばら撒かれ、其処へ更に粉チーズを振り掛ける。
  卓上のフォークを手にし、西洋人気取りで、不器用にゲッティーに喰らい付く。
  麺は太麺で、茹で時間は長めと見え、柔らかい食感で、昔懐かしい感じと言えなくも無い。
  味付けはと言えば、赤茄子の酸味は強くなく、甘目のケチャップで、子供の好きそうな味わい。
  と言う事は、必然的に僕の様な腕白中年の好物でもある。
  徐々に熱でチーズが蕩け、円やかなコクを加えて呉れる。
  そして、粉チーズも加わり、チーズフェチには至福の時が訪れる。
  口の周りを汚し乍ら一心不乱に、夏休み中の子供の昼御飯の様に啜る。
  具はナポリタンの王道と言うべき、ウィンナー、玉葱、ピーマン。
  此れは鉄板だ…。
  卓上には目玉焼き無料券、粗挽きウィンナー無料券が置かれており、又来いと誘惑している。
  間違い無く、再訪する事だろう。