続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「支那そば 一本気」【水戸】

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◆「支那そば 一本気」【水戸】

 ◎「鶏魚介つけめん(めん1.5倍)しょうゆ」八〇〇円

 …金曜日。
  先月から、此れで何度目かの水戸担当と相成り、約一ヶ月振りに出掛ける。
  以前、茨城県全てを担当していた折は、屡、水戸駅前に宿を取り、
  晩は「居酒屋 てんまさ」に独りで出掛け、鮟鱇肝を肴に一杯引っ掛けたものだ…。
  と言うのは今や昔の話で、今は日帰りなので、そう言う訳にも行かないのが残念だ。
  上野駅九時丁度発の「スーパーひたち」十一号に乗車し、梅と納豆の街・水戸を目指す。
  茨城県に入ると、車窓からは屋根に覆いをした家々が散見され、件の震災の影響が色濃く残っている。
  何だか、随分と前の事の様にも感じられるが、未だ五ヶ月しか経っていないのだ…。
  水戸に着き、此の日も朝一から、すべき仕事がポロポロと表出し、独り黙々と没頭する。
  独りだと気が楽な面は有るが、遣り終えないと帰れないと言う緊張感が有る。
  一息入れるべく、十三時に成ったので、昼休憩を挟む事にする。
  行く先は決めてある。
  六月に開店した、水戸駅直結の南口のビルヂングに、ラーメン店が四店入居している。
  千駄木の大行列店「TETSU」の新店、「TETSU 壱の木戸」、
  「うまいぜベイビー」で御馴染みのロイクーなラーメン、「なんつッ亭」、
  元「ラーメン二郎 町田店」店主が富士市に出店した、「二郎」とは全く異なる「らぁめん大山」、
  そして、今から一〇年程前、埼玉は朝霞に店を構えていた時分に一度だけ訪れた事の有る、
  此方、「支那そば 一本気」の四店で、今回は懐かしさも有って「支那そば 一本気」に。
  矢張り、「TETSU」が一番人気の様で、最も行列が出来ており、十五名近い。
  一方の「一本気」はと言うと、先客五名程の待ちなので、先に食券を購入して待つ。
  一度だけ訪れた時は、「比内鶏つみれそば(醤油)」を頂き、豪く感動した様に覚えている。
  今回も其れを頂こうかとも思うも、当時は八〇〇円だったが、今は九三〇円も取る様だ。
  此れは石油王かブルジョワジーでもないと、とてもではないが手が出ない高級品なので、
  予定変更し、蒸し暑さも相俟って、「鶏魚介つけめん」でさっぱりとしてみよう。
  食券を購入し、店外の行列の最後尾に付くと、暫くして、直ぐに店内に通される。
  前には家族連れなので、一人の僕は先にカウンター席に通されたと言う寸法…。
  食券を手渡すと、若い女店員は耳が不自由なのか、筆談で僕に問い掛けて来る。
  先ずは、醤油か塩かを訊かれ、醤油を指差して答え、冷盛りか温盛りかを訊かれ、冷盛りで御願いする。
  厨房内では、主要な調理をしているのは女性で、昨今の女性の社会進出には目を見張るものが有る。
  戦後に強く成ったのは、女性とパンツの護謨だと言うのも頷ける…。
  旧い小噺はさておき、一〇分程でつけ麺が目の前に差し出される。
  つけ汁は、昨今の流行りの様な濃厚で茶濁している物とは違い、清んでおり、さっぱり系の見た目。
  麺はやや黄色を帯び、中太麺と言った感じで、緩やかな縮れが見て取れる。
  其の麺を箸で手繰り、つけ汁にサッと潜らせ、ヅルヅルと啜る。
  つけ汁は思ったよりも味付けが濃い目で、甘味、酸味、辛味がしっかりと付いている。
  然し、何れかが突出している言う感じではなく、均整が取れた味わいとでも言おうか。
  其の甘、辛、酸の味の後、此方の売り物である、秋田県比内地鶏を使用していると言うだけ有り、
  鶏油の円やかな深いコクと風味が、魚介の香りと一緒にフワッと薫る様な感じ。
  何せ、此方にはラーメンの他に、親子丼も置いている程なので、鶏には拘りが感じられる。
  上品な芳醇な風味とでも言おうか、甘味さえも感じさせ、鶏肉の奥深さを痛感する。
  麺は適度な腰と弾力が効いており、つけ汁の粘性が低く、サラッとしている分、
  此の太さの麺が合っており、スルスルッといとも簡単に入って行ってしまう。
  つけ汁には短冊状の薄切りの叉焼がふんだんに浮かんでおり、脂身の旨味が染み出している様で、
  叉焼自体の存在感は薄いものの、中々に秀逸で、此れだけ入っていると嬉しい。
  具は他に麺麻と海苔で、満足度は先ず先ずと言った所か。
  思いの外、濃い口のつけ麺を堪能し、最後は其の濃い味のつけ汁を、スープ割りなんぞせず、
  男らしく、グイッと、原液の儘に飲み干し、比内地鶏のエキスを体内に摂り入れる。
  次回は久し振りに「なんつッ亭」でロイクーなメンラーだなと決意し、店を出る腕白中年だとさ…。