続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「よし臓別館 銭場精肉店」【大井町】

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 ◎「黒毛和牛100%ハンバーグランチ(160g)」一〇〇〇円

 …一体、颱風は、今、何処で何をしているのだろうか。
  テレヴィヂョンの報道を観ていないので分からないが、随分と長くないか。
  降るなら降る、降らないなら降らないと、はっきりして貰いたいのだが、
  モワっとした蒸し暑さだけが際立ち、肝心の颱風の目は何処へやら…。
  昨晩は熱帯夜で、寝付きも悪く、夜中に何度も暑くて目が覚める。
  勿論、寝起きも悪く、朝はグッタリとしており、サザエさん症候群を引き摺ってみる…。
  駅迄の道程を歩けば、じっとりと汗が、重苦しく滲み出て来る。
  駅に着き、止め処無く噴き出して来る汗を拭っている間に、電車も到着してしまう。
  其の間、時間にして一〇分、ずっと汗を拭いっ放しと言う訳だ。
  電車に乗ってからも汗を拭い、何時の間にか大井町駅へと連れて来られる…。
  同僚の方々と合流し、汗も乾かぬ内に仕事に取り掛かり、今週の仕事始め。
  慣らし運転と言う訳にも行かず、仕事に没頭する。
  十三時に成り、一息入れるべく、昼御飯を摂る事にする。
  個人的には「キッチン ブルドック」でハンバーグかナポリタンの腹積もりだったが、
  ゆとり世代の若者が、八月一日にも訪れた此方に行きたいと譲らないので、
  仕方無く、大人の僕が引き、此方へ通算三度目の御邪魔と相成る。
  細い階段を上り、小洒落たバーの様な薄暗い店内へ、四人して潜入する。
  一番奥の四人掛けの席に通され、此の席も通算三度目。
  席に着き、何を頂くかを決めるのだが、此方の昼時のメニューは二種類しか無いと言って良い。
  「黒毛和牛100%ハンバーグランチ」と「黒毛和牛100%ステーキランチ」。
  他に、ミートソースのゲッティーと、ハンバーガーもメニューに一応は加えられている。
  ビフテキの方は一八〇〇円もするので、三回連続で「黒毛和牛100%ハンバーグランチ」で。
  其れでも、一〇〇〇円するので、昼御飯にしては石油王並みだ…。
  冷水代わりに出されるのは、肥満気味の腕白中年には嬉しい黒烏龍茶
  身体を冷却すると同時に、腹部に其の成分が行き渡る様に、じっくりと味わう。
  程無くして、先に生野菜が運ばれて来て、時間潰しに食んで待つ。
  続いてプースーが運ばれて来るが、プースーと言っても、中身は豚汁。
  生姜が効いていて、夏バテ解消に良いと、店員も以前話していた。
  御飯と共に、プースーも御替わり自由と言うのが有り難い。
  其れから暫く待ち、待望の肉塊が、鉄板に乗せられ、ヂウヂウ言い乍ら運ばれて来る。
  何時もは、若い綺麗な女性の店員が、ハンバーグを半分に切り、テレレを掛けて呉れるのだが、
  今回は男性店員で、切ったり、テレレをぶっ掛ける作業は此方で全て遣らねば成らない様だ。
  ナイフとフォークを取り、ハンバーグを真ん中で半分に切り、切った断面を鉄板に向ける。
  黒毛和牛一〇〇パーセントで、繋ぎは殆ど使用していない為、中は半生なので、
  鉄板で好みの加減に焼いて頂くと言う寸法だ。
  テレレは、予め運ばれて来た、ビーフシチューの様な、ドロッとしたデミグラスソース。
  箸に持ち替え、ハンバーグを切って頬張ると、鉄板と接していた表面は、
  カリッとして香ばしく、程好い焦げ目が食欲をそそる。
  中も火が粗方通り、肉汁がじわりと溢れ出して来る。
  肉の旨味がしっかりと味わえる様に、挽き肉は粗く挽いた物で、店で挽いていると言う。
  繋ぎは最低限の卵のみで、噛む度に上質な肉の旨味が口の中で拡がり、口内は肉だらけ。
  「肉肉しい」と言った感じで、挽き肉の粒子が口内で解れて行く。
  テレレの味も宜しく、じっくりと炒めた玉葱を基本に、数種類の野菜を煮込んだと言う。
  此れには御飯も進み、勿論、御飯には卓上の岩塩を振り掛け、塩分摂取を怠らない。
  しっかりと御飯とプースーを御替わり。
  丸で、貧乏な家の子の様に、此処ぞとばかり、晩御飯の分も頂こうと言う卑しい根性が直らない…。
  食後、〆に黒烏龍茶をもう一杯頂戴し、満腹に成り、午後の業務に戻る。