「鮨処 いっしん」【日進】

◆「鮨処 いっしん」【日進】

　…昨晩。
　　日中は何時も通り、極めて自堕落に過ごす。
　　滅多に観ないテレヴィヂョンを点け、我が讀賣巨人軍の「左様なら勝ち」を見届け、
　　久し振りに溜飲を下げ、良い心持ちに成り、其の儘、午睡をするも、
　　寝汗の不快感で碌に眠れず、夏に対して激しい憤りを覚える…。
　　其の後、仕事をし、「笑点」を観、サザエさん症候群を患い、時間は十九時半。
　　週末最後の御愉しみに、毎度の此方へと御邪魔するのが習慣…。

　◎「生ビール（中）」五八〇円
　…店に入ると、座敷席は六人が犇めき合い、占拠されている。
　　仕方無く、カウンター席の一番奥に陣取り、ゆっくりと落ち着く事にする。
　　此の日の口開けと成る麦酒は、自動的にママさんが運んで来て呉れる。
　　昼御飯に「ケンタッキーフライドチキン」を摘みに一杯遣ろうとも考えたが、
　　堪えた御蔭で、美味しく麦酒を頂ける。
　　麦酒はどんな環境で呑んでも旨いわな…。

　◎「あんこう肝」五一〇円
　…摘みも自動的にママさんが持って来て呉れる。
　　壁に貼り出されたメニューを見た際、此の事は否が応でも予想出来る。
　　今回の鮟鱇肝は、形がしっかりとしており、海のフォアグラたる所以が分かる。
　　本物のフォアグラ自体、僕の三十五年の人生に於いて、片手で足りる程しか目にしていないが、
　　見るからにフォアグラで、此れにポン酢をなみなみと浴びせ掛けて頂く。
　　箸で割って口に放り込むと、コッテリし過ぎておらず、鮟鱇肝の旨味が感じられ、
　　まったりとしたコクが心地好く、執拗過ぎず、諄くないので頂き易い。

　◎「新子」二三〇円
　…今週もちゃんと新子が有る。
　　先週は一枚で握られていたが、今週は二枚付けだ。
　　マスター曰く、今回のは余り良くないというが、新子は此の時期しか頂けないので貴重だ。
　　若々しい柔らかさが有り、塩気も効いており、小鰭とは違った味わいが良い。

　◎「〆さば」二三〇円
　…続いては何時も通りに〆鯖を頂く。
　　鯖は夏場は脂の載りが薄いが、此れからは味に期待が持てる時期に突入する。
　　とは言え、此方の鯖は、夏場と言えども、遜色無く頂けるので、通年で旨い〆鯖が頂ける。
　　酸味は仄かで、鯖の脂の旨味、甘味が感じられ、しっかりと仕事がされた逸品だ。

　◎「鰺」二三〇円
　…光物を続け、金曜日、土曜日と「居酒屋 やず」でも頂いた鰺を。
　　初夏から鰺は物凄い脂の載りを見せ、トロ鰺とも言うべき程だったが、
　　今回のも脂の載りは十分に堪能出来る代物で、トロンとした口当たりと、プリっと言う弾力。
　　矢張り、此方は目利きが良いので、仕入れる物が違う。

　◎「鰯」一六〇円
　…更に光物攻勢を続けよう。
　　鰺と並んで、鰯も初夏から、物凄い事に成っている。
　　見るからに脂の載りが分かると言うのは秀逸で、実際に頂けば、其れを裏切らない旨さ。
　　口内の温度で、肌理細かい脂が溶け出す様な感覚で、青魚特有の風味も良い。

　◎「まぐろ」二三〇円
　…生憎、秋刀魚が売り切れてしまったと言い、激しく悔やんでみる。
　　毎週欠かさず御邪魔しているのに、偶にしか来ない客に浚われてしまうとは…。
　　気を取り直して、鮪を発注してみると、今回のは宮城県は塩竈産と言う。
　　被災地でも鮪の水揚げが行われる様になったかと思うと、復興の息吹を感じる。
　　中トロと言って良い部位で、脂の旨味と、ネットリとした鮪の味わいが堪らない。

　◎「やりいか」三二〇円
　…鮪を頂いたので、其れと対に成るのは烏賊が相応しい。
　　此方では、常時置かれている「甲いか」とは別に、偶に槍烏賊、若しくは墨烏賊が入荷する。
　　烏賊の旨味が十分に出る様にと、少し寝かせてから出される烏賊は、
　　サックリとした歯応えと、ネットリとした奥の深い甘味が最高だ。

　◎「すじ子」三二〇円
　…気付けば、時刻は二十一時を廻っており、客は僕のみ。
　　閉店時間の二十一時半を前に、〆に掛からねば成らず、先ずは御決まりの筋子を。
　　子供の頃から魚卵が好きで、御握りは鱈子でないと嫌だった程なので、筋子も大好きだ。
　　鮭ではなく、姫鱒の筋子は、プチプチと勢い良く弾け、濃密な味わいが拡がる。

　◎「煮穴子」三二〇円
　…大トリは、何時もの如く、此方の一番人気メニューの煮穴子で。
　　此の煮穴子だが、危うく、喰い逸れる所だった。
　　家族連れで、御会計の事を「御愛想」と言ってしまう、物を知らない母親の娘が、
　　狂った様に穴子を食べ尽くそうとしており、マスターが気を廻して、僕の分を残しておいて呉れる。
　　親も親なら、子も子だ。
　　幾ら旨いからと言って、チェーンの一〇〇円回転寿司じゃ有るまいに、
　　周囲の事も考えず、自分だけ喰えりゃ良いとばかり、同じ物を何度も食べるのは下品だし無粋だ。
　　トロばかり食べる馬鹿と一緒。
　　危うく災難を蒙る所だったが、無事に珠玉の穴子を頂く事が出来、マスターに感謝。

　此の日は麦酒四杯を頂戴し、しっかり八皿平らげ、御満悦で酩酊状態で帰宅する…。

回転ずしいっしん　[ すし ] - Yahoo!グルメ

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住所： 埼玉県さいたま市北区日進町2丁目1616-5
営業時間：11:30～14:30、17:00～21:30、定休日：水曜日
最寄り駅： 日進(埼玉県)
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※2011年6月13日時点の情報です。
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