続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「三丁目 にしや食堂」【日進】

◆「三丁目 にしや食堂」【日進】

 …昨日。
  待ちに待った週末の休日だが、相変わらず、気分を害した儘で憂さは晴れない。
  然し、朝は八時過ぎには起床し、家中のカーテンを開け放つ。
  引っ越しして来て丁度一ヶ月経つが、築十七年と設備は旧いが、日当たりは良く、
  特に居間は南向きなので、ジュディ・オング宜しく、南に向いている窓を開けて光を取り込むと、
  何だか清清しく、目の前の畑で農作業をしている人が見えると、長閑が心が和む。
  天気も好く、溜まった洗濯物を遣っ付けて干せば、直ぐに乾きそうな陽気。
  十一時半に成り、徐に身支度を整え、外出する。
  昼御飯を摂りに、少し家から遠くなった此方を目指して歩き出す。
  未だ季節は夏なので、半袖で家を出れば、道行く人々が、僕を奇異な目で見る。
  「だって、暑いんだから仕方無いじゃないか!半袖で、何か御前達に迷惑掛けているのか!」と、
  心の中で文句を吐き乍ら、歩く事、二十二分。
  勝って知ったる此方へ、三週間振りの訪問と相成る。

 ◎「生ビール(中)」五〇〇円
 …地元の小学校のPTAのおっさん連中の間を潜り抜け、一番奥のテーブル席に陣取る。
  自動車で来れば訳無いものを、態々、二十二分も掛けて歩いて来たには訳が有る。
  そう、休日の最高の贅沢である昼酒を、チンカチンカに冷えた冷やっこいルービーで愉しむ為だ。
  偶の休み位、少し呑んだって良いじゃないのさ。
  と言っても、毎晩、何だかんだで呑んでいるのは忘れた振りをし、ジョッキを傾ける。
  歩いて汗をかいた後には、此の冷たさは最高の御褒美で、暑気払いには持って来い。
  嗚呼、幸せだナァ~。
  御通しは、子供の頃は全く食べられず、大人に成ってから好物に成った搾菜。

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 ◎「むつ煮魚定食」八〇〇円+「とろろ」二〇〇円
 …昼間の時間帯は、天敵の蟋蟀が居ないので、心置き無くゆったりとして酒が呑め、
  麦酒も二杯目に突入し、気分も良い心持ちで、些か酩酊する。
  さて、そろそろ食事を発注せねば成るまいなと、黒板の御薦めメニューと睨めっこ。
  世間様は何でも、南瓜祭りの真っ最中の様で、僕は其の手の祭りに参加した事は無いが、
  其れに因んだ「かぼちゃのメンチ定食」と言うのも有るが、南瓜が駄目なので回避。
  他には、「むつ煮魚定食」と、「青森産とろろセット」と言うのが有り、此の二つで大いに悩む。
  其れこそ、発熱しそうな位に…。
  悩みに悩んだ結果、「むつ煮魚定食」に、単品でとろろを付けて頂こうと女将さんに発注。
  運良く発注が通り、出来上がりを心待ちにする。
  そして、盆に乗せられて配膳されるのは、至高の定食と言って良かろう。
  キラキラと煮汁に脂が浮いたムツの煮魚は、此方では何度も頂いているが堪らない。
  それに、僕の大好物である所のとろろが組み合わさるだなんて、一寸、奥さん!
  早速、独り者にはとんと縁の無い煮魚から頂いてみようかしら。
  箸でいとも簡単に解れる身は、柔らかさの中に、むっちりとした食感を秘めている。
  此れがムツの良さだが、其れにしても脂が載って、蕩ける程に旨い。
  煮汁の甘辛さも絶妙で、「甘からず、辛からず、旨からず」と言うダチョウ倶楽部のギャグは使えず、
  思わず身悶えしそうな程に美味しく、慌てて御飯を掻っ込みたくなる。
  うん、煮魚の中で、ムツは可也好きだ。
  さてさて、とろろはと言うと、醤油をたっぷりと入れ、真っ白が一気に茶色く変色する。
  御飯の中心部に窪みを作り、其処にセメントを流し込むが如く掛ける。
  此れを汚らしい音を立てつつ、豪快に掻っ込むからこそ旨いのだ。
  ちまちまと音も立てずに食べるなんて、其れならばいっその事、食べない方がましだ。
  此れがとろろを食べる時の作法だろうに。
  ムツととろろと言う堪らない組み合わせを美味しく頂き、日頃の憂さを発散する。

にしや食堂 [ その他 ] - Yahoo!グルメ



住所: 埼玉県さいたま市北区日進町3丁目225
営業時間、定休日:日曜日
最寄り駅: 日進(埼玉県)
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※2011年6月3日時点の情報です。
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