「三丁目にしや食堂」【日進】 - 続・ＲＯＣＫ‘Ｎ’ＲＯＬＬ退屈男

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　◎「とろろ芋と豚バラネギの黒こしょう炒め定食」七五〇円

　…昨日。
　　一週間が経つのが妙に永く感じられ、疲労が一気にドッと出る。
　　朝、目覚ましに叩き起こされずに寝て居られる悦びを噛み締める。
　　とは言え、貴重な休日なので、有意義に時間を活用しないと勿体無いので、
　　九時には寝床から這い出し、家中のカーテンを開け、眩しい陽光を採り入れる。
　　先週、土砂降り中、僕に極めて近しい人の祝言に出掛けたのとは、打って変わって好天だ。
　　折角なので、洗濯を済ませ、正午に買い物がてら家を出る。
　　野暮用を済ませ、十三時にも成り、漸く、昼御飯の時間のタイムと相成る。
　　此処最近、週末の度にバタバタしてしまい、御邪魔したくても中々動けずに居たので、
　　十一月十一日以来、凡そ一ヶ月振りの御無沙汰で、此方の暖簾を跳ね上げる。
　　昼時の混雑時から少し外れた所為か、何とか空席も有り、事無きを得る。
　　念の為、僕の天敵の姿を確認するが、居ない様なのでホッと胸を撫で下ろす…。
　　席に着き、此の日は自動車での訪店なので、麦酒はグッと堪える。
　　耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ…。
　　と成ると、行き成り食事を発注する。
　　さて、此の日の御薦めはと言うと、黒板には「とろろ芋と豚バラネギの黒こしょう炒め定食」とな。
　　決定！
　　もう、此れ以上、他にメニューを逡巡する必要は一切無い。
　　何せ、「とろろ芋」、「豚バラ」と言う単語が並んでいるだけで十分だ。
　　恐らくは塩ダレで味付けされているであろうから、此方の塩ダレメニューに関しては一目置いている。
　　其れを発注し、出来上がる迄の間、冷水を呷ったり、運動新聞を読んだりして時間を潰す。
　　そうこうしていると、芳しい香りを漂わせ乍ら、盆に乗せられて定食が遣って来る。
　　一ヶ月と間が空いてしまった事を心から悔やむ程、此方の定食は魅惑的だ。
　　予想通り、塩ダレで味付けされた其れは、胡麻油の芳しい香りが鼻腔を擽る。
　　棒状に切られたとろろ芋、豚バラ肉、葱、木耳が炒め合わされている。
　　とろろ芋は、シャキシャキ、サックリとした歯触りで、ヌメっとしたヌルヌル感が卑猥で良い。
　　如何も、根が下品なもので、そう言う発想しか湧かないので申し訳無い…。
　　其れにしても、とろろフェチの僕からしたら、此れは堪らない。
　　とろろフェチを自認する割りには、とろろ芋、山芋、大和芋、長芋の区別は分からない。
　　一々、調べる程の元気も無いので悪しからず…。
　　味付けは、胡麻油の効いた塩ダレで、此方では数々の此の味付けの炒め物を頂いて来ており、
　　其のどれを取っても、御飯のおかずとして最高で、無論、酒の摘みとしても文句無しの味。
　　深谷出身の僕としては嬉しい、たっぷりの葱のシャキシャキ感と、此の塩ダレが絶妙の組み合わせ。
　　其処に豚バラ肉が加わるのだから、誰が如何考えたって、旨くない訳が無い。
　　否、旨いに決まっている。
　　此れに、僕仕様で、別皿にマヨネーズとタルタルソースを付けて下さるのが有り難い。
　　其の儘でも十分に美味しいのだが、マヨネーズが加わると、コッテリ感ならずとも、
　　円やかなコクも付加され、旨さが何倍にも増幅されるから堪らない。
　　徐々にとろろ芋のぬめりが染み出し、とろみが付いて来るのも面白い。
　　其れにしても、とろろ芋と言うのは、擂っても良し、こうして切っただけでも良し、
　　其れに加え、亜鉛を含んでいるので、男性自身にも良いと言うから素敵。
　　肌に付いて痒くならなければ、一度で良いから、とろろ風呂に入りたい程…。
　　勿論、醤油と白米持参で…。

～御負け～
　毎年恒例十二月一〇日は、大宮の冬を告げる、武蔵一之宮・氷川神社の大湯祭。
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