続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「えぼし麺 菜良」【茅ヶ崎】

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 ◎「あえそば」七五〇円

 …もう、ぐったりだゎ。
  何でこんなに、気が狂いそうな暑さなのかしら。
  夜だって、落ち落ち寝ても居られやしない。
  流石に、此処最近は冷房設備の無い寝床では寝られないので、冷房設備の有る部屋で寝ているが、
  其れでも、寝る迄には時間が掛かり、寝てたとしても何度も目が覚め、
  其の度に時計を見て、未だこんな時間かと、嬉しいやら哀しいやらホメイニ師やら…。
  勿論、朝起きればぐったりとしており、須賀川からの出張の疲労も抜ける訳も無く、
  今週最後の一日を、何とか最期の力を振り絞って、頑張って身支度を整える。
  然しだ、此の止め処無く噴き出して来る汗は一体、何なんだ。
  一体、僕が何をしたって言うのだ。
  汗さえ出なければ、暑さは耐えられる。
  不快な汗が出るがばかりに、ストレスが募り、精神的に崩壊しそうな心持ちに成る…。
  駅迄の道程を、十二キログラム有る鞄を肩で背負い、歩けば其れだけで三途の川が見えそう。
  電車を待つ間、只管に汗を拭うが、手持ちのタオルじゃ間に合いそうも無い。
  嗚呼、バスタオルを持って来れば良かった…。
  満員電車に乗り込み、えっちらおっちら、降り立ったのは南国・茅ヶ崎
  暑いのが大嫌いな僕としては、此の方面は鬼門と言って良かろう。
  降り立った途端、鼻から椰子の木が生えそうな感じで、半裸にネクタイで来れば良かった…。
  目が潰されそうな灼熱の殺人光線が容赦無く降り注ぎ、肌を刺す様で痛い。
  タモリじゃなくてもグラサンを掛けたい。
  茅ヶ崎駅を降りれば、駅前には何やら幟が沢山立っている。
  「社会を明るくする運動 主唱 法務省」だと。
  一体、何を如何したら社会が明るくなるんだよ!
  消費税は上がるし、給料は上がらないし、血圧は下がらないし、尿酸値も下がらない…。
  社会を暗くしているのは御上だろうに。
  主唱が法務省とは、ちゃんちゃら可笑しく、臍でティーを沸かすよ。
  暑さも相俟って思考回路が可笑しい中、仕事に雪崩れ込み、同行の新人に作業指示を振りつつ、
  引っ切り無しに噴き出して来る汗を拭いつつ、黙々と仕事をする。
  ともすれば、此の暑さで食欲が落ち勝ちだが、今日は敢えて、ガッツリ食べると決める。
  十三時に成り、昼休憩を入れ、茅ヶ崎と言えば御馴染みの此方へ、此の暑さの中、無謀にも出掛ける。
  店に着くと、店内は生憎の満席で、此の炎天下の中、外で待たされる。
  黒いシャツを着ていたら、尋常ではない程の汗で、塩が取れるだろう。
  専売公社時代だったら、逮捕される位に塩を精製してしまうに違い無い…。
  一〇分強もの間を外で待ち、其れから中で待つ様に促され、店内に入れば外と変わらず暑い。
  地上から階段を三段下りる店内の為、半地下の様な感じで暑さが籠もるのか。
  未だ、外の方が風が有るので楽で、凡そ、冷房が効いているとは言い難く、
  此の暑がりの汗っかきがラーメンを啜るには、頗る劣悪な環境と言って良い。
  そんな中、メニューを見れば、夏の新メニューで冷やしの「ぶっかけみそ」と言うのも有り、
  此の暑さじゃ大いに惹かれるも、無難に、何時も通りの「あえそば」を全増しで発注。
  発注後、数分で席が空き、二人してテーブル席に腰掛ける。
  待っている間に既に水を飲んでいるが、此の水も冷たくないので、一向に汗が引かない…。
  何かの苦行の様な蒸し暑い店内で、心頭滅却する事も出来ず、煩悩に塗れているので暑さに参っていると、
  五月十七日以来、二ヶ月振りの見た目の悪い、凡そ、旨い食べ物とは思えない暴力的な丼が眼前に。
  不細工極まり無い見た目だな…。
  先ずは、丼の中央に落とされた生玉子を割る様に、全体をざっくりと混ぜ合わせる。
  最近、和え蕎麦、混ぜ蕎麦、油蕎麦の類は確りと混ぜず、ザッと混ぜ、味が均一化しない様にしている。
  飽きない様、箸を入れた場所に依って味が変わる方が良い様な気がする。
  いざ、丼の中の内容物を一気に喰らう。
  野菜はシャキシャキとクタクタの中間の僕好みの茹で加減で宜しく、其れに生玉子がドゥルっと絡む。
  味が円やかに成り、滑らかな口当たりが口内を支配する。
  然し、直ぐに有りと有らゆる味が、怒涛の様に押し寄せて来る。
  醤油ダレの甘辛さが濃い目に効いており、黒胡椒の爽やかなピリッとした辛味、
  一味唐辛子の刺激的な辛味、揚げ大蒜のカリッと香ばしい味わい、粉チーズと思いきや、
  ちゃんとした蕩けるチーズのコク、大蒜の刺激、背脂の甘味と、兎に角、色々な味わいが目紛しい。
  此れには麻薬性、中毒性が有り、分かっちゃ居るけど止められないのだ。
  若しかしたら、数々の具と一緒に、芥子の実でも入っているのか…。
  冗談は兎も角、麺を引っ張り上げれば、縄の様な太さの物が出て来る。
  内蒙古産のかん水を使用した極太自家製麺で、茹で時間に五、六分要すると謳っており、
  表面はザラッとして、食感はモッチモチで、弾力が堪らない。
  其れにしても、啜るのと同時に汗が出て来るので、忙しいったら有りやしない。
  もう、どれ位の汗が出たか分からない程で、「あえそば」を啜るのは立派な運動だ。
  美味しいのだが、こう成ると、苦痛以外の何物でもない…。