続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「とんかつ よしえ」【水戸】

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◆「とんかつ よしえ」【水戸】

 ◎「朝セン焼定食」一一〇〇円

 …金曜日。
  前日の津田沼に引き続き、此の日は水戸で引き継ぎ。
  一昨年八月に引き継がれて以来、随分と水戸には通ったものだ。
  夢の超特急「スーパーひたち」に乗車し、其の非日常が良い気分転換に成っていたが、
  其れも、此の日を以って最後と成ると思うと、少なからず寂しさが有る…。
  同僚の方と引き継ぎを熟し、十三時に昼休憩を挟む事とする。
  何時もは、ラーメン店四店が集結している一画で済ますのが常だが、
  人と一緒だと自由も利かず、其の点では難が有る…。
  不意に、「チョウセンヤキって知ってますか?」と訊かれ、そんな響きの食べ物は知る由も無く、
  況してや、こちとら朝鮮人でもないので「知りません」と答えると、
  何時の間にやら、其れを頂きに行く事に決定していた。
  水戸駅南口を出て、桜川を渡り、僕は黙って付いて行く。
  あそこだと指差された先には、「よしえ」と言う屋号が目に入る。
  「よしえ」と言えば、紅茶の美味しい喫茶店かと思いきや、「とんかつ」と記されている。
  先程は「チョウセンヤキ」とか言っていたよなと思いつつ、揚げ物なのか、焼き物なのか、
  僕の頭の中は不可思議な事で一杯で、訝しげに後を追って店内に入る。
  店内は大衆食堂の様な雰囲気で、メニューは大体が一〇〇〇円を超えるが、
  高級店と感じられる要素は丸で無く、庶民的で、地元に愛されていると言った趣きの佇まい。
  四人掛けの席に着席し、黒板に記されたメニューを見遣れば、勿論、一番上には豚カツの名が。
  「上トンカツ定食」が一五〇〇円と成っており、嗚呼、豚カツが食べたいとそそられる。
  然し、同僚の方は直ぐ様、「朝セン焼」を発注しており、僕は初めてなので大人しく、
  「同じ物を」と言って、摩訶不思議な「朝セン焼定食」を発注する。
  厨房内では、「朝セン二丁!」と言う掛け声が響いている。
  如何も、「朝セン」と言う名前が悪く、生粋の日本人としては少なからず拒絶反応は否めない。
  差別や偏見は良くないのは重々承知だが、竹島を不法占拠されている状況では致し方有るまい…。
  さて、そうこうしている内に、盆に乗せられた「朝セン焼定食」が遣って来る。
  何なんだ!此の暴力的で、猥雑で、決して上品とは言い難い料理が乗っている。
  大陸由来の野蛮な感じに戸惑いつつも、此の手の料理は食欲をそそるので嫌いではない。
  寧ろ、大好物で、いざ喰らわんと箸を取る。
  其れにしても、目を惹くのが大量のぶつ切りの長葱。
  此の太さ、大きさは、風邪を引いた時に尻の「*」に捻じ込むと治ると言われている位の長葱だ。
  先ずは此の長葱を頬張れば、表面は焼き目が付いて、バリッとした歯応えで、
  中はトロッと柔らかく、甘味が有って、深谷出身の僕としては有り難い。
  味付けはと言うと、ピリ辛と言う程は辛くなく、甘辛と言う程は甘くはない。
  恐らくは生姜、大蒜、豆板醤の類は入っているであろう。
  何だか、大学生時分に頂いた、大学近くの定食屋の生姜焼き定食の味を思い出す。
  此の手の塩っぱい味付けの炒め物は御飯が進むので良い。
  具は他に、分厚く切られ、脂身がプルプルで旨い豚バラ肉、野菜は玉葱、人参、ピーマン。
  上には大量の白胡麻が振り掛けられており、風味を芳しくして呉れている。
  バリバリと野菜を遣っ付け、豚バラ肉は後からじっくりと味わう様にして頂く。
  此れにマヨネーズが添えられていると殊更に良く、其の点、未だ分かってないな…。
  味噌汁は豚汁で、白菜の御香香は確りとした量で、中々に立派だ。
  一一〇〇円と言う価格からしたら、少々割高な感じがするが、旨けりゃ許せる。
  最後の水戸で、まさか此の手の物を図らずも頂く事が出来、水戸に別れを告げる…。