今日から三連休を頂戴する。
毎年、此の時期は父親の実家である上田に帰省し、旧き良き時代の日本の夏の原風景を体験し、
僕としては、一年の内で愉しみにしている行事なのだが、今年は流石に、
僕の仕事が変わったので、父親も声を掛けて来ない…。
其れは其れで寂しく、矢張り、夏らしい景色、風情を体感したい。
十三日は墓に行き、御先祖を迎えに行く迎え盆、十五日は送り盆、
そんな習わしは後世に是非とも伝えたいものだが、今年は行けないのが残念だ…。
青々と稲穂が揺れる田圃、用水路の涼やかな水の音、山から聞こえる蜩の鳴き声、
遠くから流れて来る花火の地響き、盆ダンスの音頭の旋律、何れも、心を清らかにして呉れる。
と言う訳で、今年は何処にも行かず、行けず、家でヂッとしているのみ。
暇と成れば、する事も無い。
じゃっ、思い付き、気紛れで、晩御飯は自炊をしてみようかね。
何を作るかの当ても無く、スーパーマーケットへ向かう。
スーパーマーケットで、必ず凝視してしまうのが、鮮魚売り場。
如何も、刺身には目が無い様だ…。
図らずも、解凍物だが、鮪の叩きが有るではないか。
前日、「松屋」で頂いた「山かけネギトロ丼」が想起される。
良し、此れだ!
二日続こうが、何しようが、僕には関係無い。
好きな物、旨い物、食べたい物ならば、飽きる迄食べたいと言う、子供の様な性格なので…。
其の鮪の叩き、大和芋、薬味の葱、そして、酒の摘みの一品にと、浅蜊を購入する。
買い物を済ませて帰宅し、準備に取り掛かる。
当たり鉢で大和芋を擂るのは結構な重労働で、右手が馬鹿に成ってしまう…。
フライパンにバターを溶かし、刻んだ大蒜を入れて香りを出し、浅蜊を投入する。
塩胡椒で味付けをし、料理酒を回し入れ、蓋を落として蒸す。
山掛け葱トロ丼は、丼に御飯を装い、とろろと鮪の叩きを盛り付け、薬味の葱をあしらうのみ。
浅蜊バターは、些か、バターが焦げてしまった感は有るが、味付けも確りしており、
浅蜊のぷっくりとして、プリッとした食感も良く、此れは麦酒が進むわぃ。
丼は、如何しても鮪の良し悪しに大きく左右されるので致し方無いが、不味い訳が無い。
鮪は如何にも、サラダ油を加えてコッテリ感を増している様な感じだが、ジャンクさが良い。
とろろも、長芋ならばもっとサラッとしていようが、大和芋なので粘度が高く、
箸で持ち上げても切れない程だが、とろろフェチには堪らない。
ヅルヅルと汚らしい音を立てて掻っ込めば、男の料理の様な感じがして悪くない。
今回は随分と手抜きの割りには材料費が掛かったが、個人的には及第点を与えたい…。