昨年十二月一日に今の住まいに越して来て以来、ずっと構想が有った。
折角、広い広縁が有るのだから、何かを置いて、寛げる癒しの空間を作りたいと。
そう思いつつ、八ヶ月も経ってしまう。
つい此の間、マッカーサーが来たと思ったら、もう御盆だ。
何も設置していなくても、風呂上がりに広縁に出て、ぼんやりと夜風に当たってみたり、
遠くにぼんやりと瞬く、「ソニックシティ」の赤い点滅灯を眺めたりしている。
季節は僕の大嫌いな夏だが、そんな夏を乗り切るべく、広縁で癒されたいと思いつつ、
手始めに先週、木製の縁台を購入する。
そして、目高を飼おうと、小さ目の甕を購入し、水を張り、一週間天日に晒してカルキを抜く。
準備も整い、今週、目高を買いに行く。
農産物直売所の様な所で、「楊貴妃」と言う種類の橙色の目高一〇匹を五〇〇円で購入し、
「縞泥鰌」と言う種類の様で、其れ等を甕に入れ、鑑賞する。
此れが、思いの外、癒されると言うか、ずっと見ていても飽きないのだ。
今迄は、焚き火の炎、洗濯機の中を廻る洗濯物、青山愛アナウンサー位しか、
見ていて飽きない物は無かったが、元気良く泳ぎ回る目高を見ていると、優しい気持ちに成れる。
周りが薄暗く成り始めた頃、広縁に出て、縁側に腰掛け、蚊取り線香を焚き、
目高と泥鰌をぼんやり見乍ら、缶麦酒を開ければ、何だか夏も悪くないなと言う気がして来る。
此れで、外で油蝉ではなく、蜩が啼いて呉れると乙なのだが、山が無いと駄目か…。
そして更に今日、目高と泥鰌だけでは飽き足らず、貝フェチなので「淡水蜆」も三匹購入。
然し、今し方、一匹の泥鰌が元気が良過ぎて、甕から飛び出してしまった様で、
僕が気付いた時には虫の息で、先程、天に召されてしまった…。