続・ROCK‘N’ROLL退屈男

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「大黒鮨」【柴又】

◆「大黒鮨」【柴又】

 …先週土曜日。
  土曜日に休めたのは、一体、どれ位振りだろうか。
  十一ヶ月振りかしらと、記憶を呼び起こすのも厄介な程に全身が疲労している。
  身体中が常に怠く、肩凝りが慢性化し過ぎて、気持ちが悪く吐き気を催しそう…。
  念願叶って、待望の土曜日休みの此の日も、身体は怠くて重い。
  然し、たった一日の休日、家でヂッとしているのは勿体無い。
  昨年迄、黄金週間に訪れるのが年中行事だった、柴又散策へ出掛ける。
  僕が最も好きな街の一つであり、心癒される街。
  正午過ぎに柴又駅へと降り立ち、先ずは昼酒と腹拵え。
  柴又と言えば、此方を差し置いて、他に行く気は無い。
  中学生の時分より御邪魔している此方へ、一年振りの訪店。

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 ◎「生ビール(中)」六五〇円
 …暖簾を潜り、昭和の雰囲気の店内の空気感を身体中で受け止め、
  何時ものテーブル席に腰掛け、ヨッコイ、ショーイチ。
  女将さんに挨拶をし、先ずはルービー発注。
  駅寄りの硝子戸を少し開け、外気を取り込み、街の空気を五感で愉しむ。
  矢張り、世間様と同じに休むと言うのは、此れこそ人の道、正義だ。
  麦酒をグイッと呷れば、日頃の鬱憤が一目散に逃げて行く。
  土曜日の午後、好きな街の好きな店で味わう麦酒は、言う迄も無く最高だ。
  御通しは薇の煮物と、鰊の酢〆に柳葉魚の卵の梅酢〆を合体させた物。

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 ◎「日替り特製にぎり」一五五〇円
 …さて、シースーを発注しよう。
  此処最近は専ら、「日替り限定品」と記された此れを頂いている。
  寿司七貫と玉子が盛り込まれている。
  其れにしても、金の寿司桶とは。
  何処かの助平椅子みたいだな…。
  先ずは玉子から。
  普段は滅多に頂かないが、甘味が程好く、偶に頂くと旨いもんだな。
  ふんわりとして、麦酒の苦味とも良く合う。
  烏賊はむっちりとした歯触りで、噛めばねっとりとして旨味が強い。
  獲れ立ての物も良いが、寝かせて熟成させた方が旨い。
  小鰭江戸前寿司には欠かせまい。
  〆具合は絶妙で、酸味が疲労した身体にスッと染み入る様だ。
  帆立貝は随分と肉厚で、採算を心配してしまう。
  プリッとして、貝特有の深い甘味が押し寄せて来る。
  白身の魚は真鯛だろうか。
  上品な旨味の中に、淡白過ぎない適度な脂の乗りが有る。
  高級な赤貝もちゃんと居る。
  コリコリ、クニュッとした食感が最高で、磯の風味と生の貝の滋味が堪能出来る。
  鮪は中トロが二貫。
  矢張り、寿司の華だけあって、旨さは格別としか言い様が無い。
  諄過ぎない脂が、口内の温度で蕩ける。
  ずっと、延々と味わっていたい程だ。

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 ◎「サバの押しずし」七七〇円
 …此方では「特製にぎり」だけでは飽き足らず、必ずもう一品。
  店内の貼り紙には「お土産に」と記されているが、店内で頂かせて貰っている。
  普通の〆鯖の寿司も良いが、押し寿司も中々如何して、好きだわぃ。
  表面には白板昆布が乗り、酢飯の間には生姜と椎茸の煮物が挟まっている。
  此れ又、〆加減の塩梅が宜しく、堪らない物が有る。
  〆過ぎて酸っぱく、身が真っ白に成ってしまっている鯖は御免だ。
  鯖の旨味、生姜の辛味と酸味、煮椎茸の甘味が混然一体と成って卑怯だ。
  思わず、麦酒を御替わりし、貴重な休日と、旨い寿司をじっくりと味わう。