◎「らーめん」八二〇円
…先週木曜日。
世間様の夏休みも終了し、九月に入れば一気に閑散期。
仕事なんてそんなもの、楽な仕事なんて無いのよね…。
此の日は十四時出社と言う、御馴染み、小料理屋の女将の様な入り時間。
大概、此の出社時間の日は、普段は食べない、食べられない昼御飯を済ませ、
人間らしさを取り戻してから仕事に向かう様にしている。
毎日一食、然も、其の一食が夜中の一時じゃ、身体に良い訳が無い…。
そうは言っても、此の日は何だか食欲が無い。
食べようと思えば食べられそうだが、食べたい気持ちが起こらない。
若しや、本格的に心を病み始めたか、胃癌の初期症状か…。
市村正親も、食べる量が減って来たって言う話だし。
まっ、もう死んじゃっても良いかも知れないけど…。
とは言え、今日明日で直ぐに死ねる訳ではないので、取り敢えず向かう。
何処かって？
何時もの御決まりの新宿のあそこさ。
普段より三〇分早く到着すれば、「らあめん 満来」は大行列。
何なんだ！米騒動の様な行列は。
「おもいっきりテレビ」でみのもんたが何か言ったのか。
「らあめん 満来」の「チャーシューざる」で血液サラサラに成るとか…。
即座に諦め、暫く新宿の街を彷徨うも、食欲が無いので乗り気ではない。
仕方無く、東京テレポート駅へと向かい、現地で考えよう。
で、電車に乗車してテレポーテーションした所で、食欲は戻らず。
然し、空腹過ぎても仕事に障るので、取り敢えず、何かを食べよう。
良し、豚骨ラーメンの強烈な獣臭を嗅げば、食欲が増進されるかも知れない。
今年一月から二月に掛けて、毎日の様に通い詰めた此方に久し振りに。
商業施設の簡易的食事処密集地帯に在り、先ずは会計を済ます。
何時もの様に「ラーメン」にするが、消費増税で三〇円の値上げか…。
脇にずれ、其の場で出来上がりを待ち、受け取って席に着く。
う～ん、鼻腔に突き刺さる様な獣臭、否、家畜臭が何とも言えない。
食べる意欲が湧いて来たわぃ。
先ずはプースーから啜ってみようかしらね。
久留米ラーメンの手法である呼び戻し製法の取り方が特徴。
三日三晩、強火で煮込んだ豚骨一〇〇パーセントの濃厚な味わい。
嗚呼、矢張り旨い。
弱った胃袋が、豚骨スープの油膜で覆われる様な感覚。
口当たりが滑らかで、唇は朝から天麩羅喰ったデヴみたいにテッカテカに。
麺は、博多「トリオ製麺」と言う所の極細で真っ直ぐな低加水麺。
粉の風味を感じられるモソモソした食感なのだが、細いのでしなやかだ。
啜り心地が良く、噛むとモキっとした感触が返って来る。
紅生姜、辛子高菜を絡め乍ら食べ進める。
具の叉焼は少々残念。
悪くはないのだが、ブリっとした弾力の強めの物で、軟らかさを求めたい。
燻製の様な製法らしいので、こう言う食感に成るのか。
何時もなら、替え玉を二回はするのだが、今回は自重。
其れにしても何だな、偶に頂くと旨いわ。
此方の売りは、「かたい、くさい、うまい」。
硬くて臭いだけならうんこさんと一緒だが、旨いが加わるから良いのだ…。
