◆「ラーメン コトホギ」【大和田】
◎「限定1(カツオ香る醤油ラーメン)」七〇〇円
…今週は金曜日に休日が取れなかった為、火曜日休み。
周りの状況に依って休日が左右されると言うのは、如何も理不尽だ。
黙っていたって、土日祝日に休めるブルジョワジー様には分かるまい。
予定を前以って立てる事が出来ず、直近でないと分からなけりゃ、
誰かを誘うと言う気にも成らないし、誰からも誘われないのは当然。
こうして社会から隔離されて行く、此れは此の約一年半で痛感した。
世の中、人と言うのは実に残酷だ。
思い浮かばない事や知らない事=此の世に存在しない事。
つまりはそう言う事だ…。
さて、僕が此の世に存在しない事が証明された所で、話を戻そう。
こう言う事を書くと、「メンヘラ」認定されるんだろうな。
執拗い?
そうとも、とことん根に持つから、僕ぁ。
言っておくが、心は病んでいないし、手首に傷も無いので悪しからず。
其れはさて置き、再度、閑話休題。
昨晩は二十一時半に仕事を終え、二時間の道程をえっちらおっちら帰る。
風呂に入り、晩酌がてら晩御飯を済ませ、長椅子で潰れるのは御約束。
午前一時半過ぎに寝床に移動し、卒倒するかの如く気絶。
最近、本当、変な夢、悪夢に魘され、ガヴァっと起き、動悸に苛まれる。
何だか、寝乍ら寿命が縮まっている気がする…。
何度も悪夢に見つつ、朝は八時に目を覚まし、徐に起き出す。
午前中は極めて自堕落に過ごし、無駄に時間を費やす。
正午を廻り、そろそろ、昼御飯の心配をし始める。
取り立てて、食べたい物が無い時は困る。
暴力的なラーメンを食べたいが食べられない時は…。
当て所無く、自動車を走らせて、何とは無しに「中華そば 螢」へと向かう。
余り乗り気ではないのだが、他に此れと言う当てが見当たらず。
大和田駅を越え、暫くすると、新しいラーメン店を発見する。
白を基調とした小洒落た造りで、急遽、予定を変更する。
店に入る前に、基本情報を調べ、あっさり系のラーメン店だと判明。
偶には良かろうと、駐車場を見付け出し、いざ突撃。
店内に入ると、入口から奥に向かってカウンター席が伸びている。
右手の券売機と対峙し、暫し、睨めっこ。
「白醤油ラーメン」と「醤油ラーメン」が看板メニューの様だ。
然し、其の下の「限定1」、「限定2」、「限定3」と言うのが気に成る。
カウンター席の背後に有る黒板に、其の仔細が記されている。
「限定1」と言うのは、「カツオ香る醤油ラーメン」、
「白醤油と醤油のハーフ&ハーフミックスラーメン」、「柚子醤油そば」。
「限定2」は「溜まり醤油と荒挽こしょうのスパイシーブラックラーメン」、
「限定2」に五〇円を足すと、「痺れる辛さのゴマのまぜそば」、
「限定3」は「ゴマの辛いラーメン」らしい。
個人的に一番気に成ったのは、金曜日限定と言う「水出汁煮干しラーメン」。
嗚呼、今週も金曜日が休みだったらナァ…。
定番メニューは何時でも頂けるだろうから、初訪店ではあるが、
「限定1」の食券を購入し、カウンター席に着席する。
御店主が改札に来た際、「カツオ香る醤油ラーメン」に決定し、発注。
一〇分弱で、優しそうな好感接客の御店主が配膳して呉れる。
第一印象は昔乍らの中華蕎麦の雰囲気を漂わせた、凛々しい醤油ラーメン。
己の舌で、確りと味わう事にしよう。
プースーを一口啜れば、うん、ノスタルジィを感じさせるラーメンだ。
ラーメンが御馳走だった子供の頃、親に連れられて食べたラーメンの味。
然し乍ら、決して古臭い味わいなんぞ微塵も無い、普遍的な味わい。
其れ等の味わいを感じさせつつ、キリっとした醤油ダレと、
ガツンとしたパンチこそ無いが、ふんわりと薫る鰹出汁が確りと主張。
麺は中細で、綺麗に盛り付けされている。
シコシコした腰と言うよりは、モチッとして、プツッと千切れる食感。
気持ち、茹で時間短めの方が、個人的には好みだが、此のプースー、
此の佇まいのラーメンには、此の軟らかさが心地好いかも知れない。
叉焼も又、昔懐かしくて心憎い。
脂身と赤身の感じも、此のラーメンには非常にしっくり来る。
「ラーメン 二郎」の様な肉塊とは全く違うが、夫々に合った物が有る。
麺麻も存在感が有り、此れに関しては、昔懐かしいラーメンとは雲泥の差。
昔の麺麻は臭くて、子供の頃は食べられなかったが、今は好物だ。
葱もふんだんに盛られ、海苔も添えられており、中華蕎麦っぽさが有る。
此れに鳴門が入れば、東京ラーメンと言った括りなのだろうな。
思わず、プースーも全て飲み干し、冷えた心と身体を温める。
珍しい屋号だなと思い、辞書で調べてみると、「コトホギ」とは、
「言祝ぎ」と書き、「言葉で祝福する」と言う意味らしい。
日本語は難しいね、又一つ賢く成ってしまったよ…。