◆「private restaurant 0760」【大宮】
…一一月一一日。
一並びの此の日、世間では「ポッキー・プリッツの日」らしい。
と言う訳で、其の御祝いに、偶には背伸びをした外食を。
以前、「鮨処 いっしん」のママさんから、他の客が行った話として、
随分と変わった店が在ると訊き、調べていたのが此方。
二階建ての小さな事務所兼倉庫の様な佇まいで、凡そ、飲食店とは思えない。
建物脇のアルミサッシの扉を開けると、上へと続く階段が。
恐る恐る階段を上り、二階に着くと更に扉が。
開けて入ると、外観からは見当も付かない程の小洒落た雰囲気の店内。
仄暗い照明で、十九時前と言う事も有り、静かな雰囲気。
席は、二階が椅子で、一階が長椅子から選択出来、一階へと通して貰う。
さて、些か据わりが悪いが、酒宴を開宴しようかね…。
◎「プレミアムモルツ」六四八円
…さて、先ずはルービーを発注。
「ルービーとか、幾つだよ!」とか言われる前に言っておくが、三十八だ。
緊張し乍ら待っていると運ばれて来る。
矢張り、こう言う所はジョッキじゃ出て来ないわね。
上品な器に注がれた黄金色のプリン体。
肌理細かな泡と、芳醇な香りと苦味が心地好い。
御通しは胡桃豆腐。
◎「生小松菜と日光豚炙りベーコンのサラダ」八九六円
…ざっと纏めて食べ物を発注し、最初の到着が此れ。
普段、宗教上の理由で野菜は食べないのだが、偶にはね。
シーザーサラダと言う事で、ズーチー好きとしては見逃せない。
千葉県で特別栽培されたと言う、生で食べられる小松菜は、
特有の青っぽいほろ苦さは有るものの、大人の味わいと言った趣き。
ベーコンは生ハムの様な趣きが有る。
ドレッシングもコクが有り、粉チーズと相俟って濃厚。
…麦酒が進む様にと、酒好きには堪らない酒の当てを発注。
先ずは、「鰹の酒盗」から。
言わずもがな、塩辛と並んで、酒呑みの肴としては有名。
大韓民国で言えばチャンジャの様な感じで、塩気と仄かな生臭さが良い。
「鮫軟骨梅肉和え」はコリコリとした歯触りで、梅の酸味が爽やか。
グルコサミンとかコンドロイチンが摂取出来たかしら…。
「蛍烏賊の沖漬け」、此れはもう鉄板。
日本酒が呑みたく成ってしまう。
◎「間八」九一八円
…此の日の主役はタンしゃぶだが、刺身も頂いておきたい。
スーパーマーケットに行けば、必ず刺身売場を視察する。
此の日の刺身は間八のみと言う事で、最近、個人的に間八ブームなので、
大いに歓迎、願ったり叶ったり。
神奈川県は三崎産と言う事で、酢橘だかカボスだかを搾って頂く。
厚味は無く、比較的薄切り。
薄い所為か、間八特有のシコッとした歯触りが感じられないが、
白身の持つ旨味が凝縮されており、柑橘類の酸味とも合う。
◎「フォアグラの西京漬け~焼き九条葱とマッシュポテト~」一二九六円
…もう、折角なので、清水の舞台からバンジージャンプしてしまおう。
フォアグラ…。
憧れの的だ。
僕自身の肝臓も、脂肪肝に近いがね…。
西京漬けと言うのが珍しく、西京味噌の甘味が何とも言えない。
焼き魚でも西京漬けが好きで、風味が宜しいわね。
表面はカリッと香ばしく、中はこってりと濃厚なフォアグラの旨味全開。
西京味噌、良い味を出している。
◎「M シャプティエ ペイドックルージュ」三二四〇円
…日本酒に移行したい所だが、此の後、タンしゃぶなので、
クーニーには赤葡萄酒、そんな蘊蓄染みた拘りは毛頭無いのだが、
こう言う時位は、普段呑み付けない物を頂いてみよう。
葡萄酒のメニューはぴんから、もとい、ピンキリだが、一番安い物を…。
能書きに依ると、銘醸ワインの生産者として名高いM.シャプティエ社が、
より気軽に楽しめるワインとして手掛けた物で、美しい赤色、赤い果実や、
ブラックカラントを思わせる香り、果実味に溢れ、フレッシュで呑み易い、
と言うのが売りの様で、素人からしたら何のこっちゃ…。
まあ、酔えりゃ何でも良い。
◎「牛たん葱しゃぶセット」一九四四円*二人前
…さて、主役の御出座し。
普通のしゃぶしゃぶも良いのだが、タンしゃぶと言うのは中々に珍しい。
存分に、舌を絡ませ、濃密に牛とデープキッスをしよう。
そして、嬉しいのが五種類の葱と一緒に頂くと言う。
栃木の「白美人葱」、京都の「九条葱」、博多の「青ねぎ」の五種。
此れ等を、鍋の中に湛えられたテールスープにぶっ込む。
牛タンをしゃぶしゃぶし、葱を巻き、ポン酢で頂く。
猫舌だと数年前に気付いた癖に、口内を火傷しそうに成る駄目中年。
サッと火を通した牛タンの食感は、キュッと引き締まり、
程好く脂も乗っており、身悶えしてしまうね。
◎「おかわりロース」一一六六円
…牛とデープキッスを終えた所で、もう少し堪能したい。
牛タンの御替わりも良いが、「牛たん葱しゃぶ」と並んでもう一つの名物、
「日光豚しゃぶしゃぶ」も気に成り、其方の肉の御替わりも可能との事。
ロースとバラが有り、店員氏の御薦めのロースを発注。
牛肉も良いのだが、いやいや、豚肉も中々如何して。
豚肉の脂身と言うのは、筆舌に尽くし難い物が有るな。
諄さは無く、身も心も蕩けてしまいそうだ。
◎「のっけ寿司」一二九六円
…此の辺りから記憶は怪しいが、頂いたのは覚えている。
雲丹やら、イクラやら、鮪やら、鯛やら、蟹やら、嬉しくなってしまうね。
旨くない筈がないのだが、記憶が…。
もっと事細かに伝えたいのだが如何せんポンコツなもので。
葡萄酒は効くね…。
其れにしても、此の店構えじゃ、先ず気付かないわ。